うつ病の治療歴がある乳がん患者の生存率はなぜ低いのか?非標準治療との関係

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うつ病などの精神疾患ががん患者さんの予後に関係することは以前より知られていました。

例えば、これまでにも「うつ病があると乳がん患者さんの予後(生存率)が悪くなる」という関連性を示した報告はありました。しかし、多くの患者さんについての大規模な研究は少なく、またその理由に関しても不明でした。

今回、デンマークから報告された大規模な研究結果によると、うつ病の治療歴がある乳がん患者さんは、非標準治療を受けることが多く、その結果、予後が悪いということが示されました

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うつ病の治療歴がある早期乳がん患者における生存率の検討

このたびデンマークの研究グループから、うつ病と乳がんの予後との関連性を調査した大規模な研究結果が報告されました。

Survival After Early-Stage Breast Cancer of Women Previously Treated for Depression: A Nationwide Danish Cohort Study.  Journal of Clinical Oncology – published online before print November 14, 2016. DOI: 10.1200/JCO.2016.68.8358

この研究では、1998年~2011年にデンマークで早期乳がんと診断された女性患者45,325名を対象とし、うつ病の治療歴と生存期間との関係を調査しました。全患者のうち、744名(2%)はうつ病に対する治療歴(入院まはた外来)があり、6,068例(13%)は抗うつ薬の処方を受けていました。

調査の結果、以下の結果が得られました。

乳がんの診断前に抗うつ薬を内服していた患者では、ガイドラインですすめられていない非標準治療を受けるリスクが有意に増加し、全生存率および乳がん特異的生存率がともに有意に悪化していた

●サブグループ解析(全患者のうち、特定のグループ内における解析)では、必要とされる術後補助療法(アジュバント療法)を受けなかった患者において、とくにうつ病と生存率低下との関係が強かった

以上の結果より、「うつ病の治療をしたことがある早期乳がん患者では、ガイドライン以外の非標準治療を受けるリスクが高まり、おそらくその結果、治療成績が悪化して生存率が低下する」と結論づけています。

がんに対する標準治療、非標準治療とは?

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ここで、標準治療と非標準治療について説明します。

標準治療とは、多くの臨床試験などの結果をもとに、専門家が集まって検討を行い、安全でかつ最も効果が高いと合意が得られている治療法のことです。つまり、エビデンス(根拠)にもとづいた現時点での最善の治療法が「標準治療」といえます。

一方、非標準治療とは標準治療以外の治療法のことで、先進医療、代替治療、食事療法、サプリメントなどが含まれます。

現在、多くのがん(乳がん、肺がん、胃がん、食道がん、大腸がん、膵臓がん、など)についてガイドライン(治療指針)が発行されており、その中で推奨される標準治療について詳しく書かれています。詳しくは、こちら(日本癌治療学会 がん診療ガイドライン)を参照ください。また最近では患者さん向けのガイドラインも増えてきました。

乳がんに限らず、がんの治療では、まず標準治療を受けることが重要です標準治療の効果がみられなった場合、あるいは標準治療の補助として非標準治療を取り入れるのがよいと思います。よくマスコミなどで紹介される「最先端の治療」は標準治療よりもいいと思われがちですが、必ずしもそうとは限りません。また、「XX療法でがんが消えた」とか、「〇〇を飲むだけでがんが完治する」などと詐欺まがいの宣伝をする代替治療や民間療法には注意が必要です。

この研究結果は、非標準治療ではなく、標準治療を受けることの重要性を示していると考えられます。


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