HER2陰性進行乳がんに新たな治療薬Ribociclib(リボシクリブ)の有効性証明

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進行乳がんの治療成績はいまだ満足のいくものではなく、転移・再発乳がんは切除可能な局所再発を除いて治癒は極めて困難であり、化学療法後の10年生存率はわずか5%です。

乳がん患者さんのうち、治療標的となるHER2(ハーツー)陽性の割合は15~20%程度であり、残りのHER2陰性乳がんに対する有効な治療戦略が必要です。

今回、HER2陰性の進行乳がんに対して画期的な分子標的治療薬の治療効果が報告されました。今後の乳がんの治療指針が変る可能性があります。

ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン(NEJM)に発表された論文によると、リボシクリブ(CDK4/6阻害剤)とレトロゾール(アロマターゼ阻害薬)との併用が、治療抵抗性の進行乳がんの無増悪生存期間(治療中にがんが進行せず安定した状態である期間)を延長したとのことです。

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リボシクリブとレトロゾール併用による進行乳がんに対するランダム化第3相試験

Ribociclib as First-Line Therapy for HR-Positive, Advanced Breast CancerN Engl J Med. 2016 Nov 3;375(18):1738-1748. Epub 2016 Oct 7.

この試験(MONALESSA-2)では、29カ国223施設によって実施されました。

ホルモン受容体(HR)陽性、ヒト上皮成長因子受容体(HER2)陰性の閉経後進行乳がん患者(全668例)に対し、リボシクリブ+レトロゾールによる併用治療(リボシクリブ群334例)と、レトロゾール+プラセボ群(プラセボ群334例)にランダムに割り付けました。

第一回中間解析の結果、無増悪生存期間はリボシクリブ群でプラシボ群よりも44%も有意に延長しました(ハザード比0.56)

治療開始12ヶ月後の時点での無増悪生存率は、リボシクリブ群で72.8%、プラセボ群で60.9%、18ヶ月後の無増悪生存率はそれぞれ63.0%、42.2%でした。

安全性(副作用)については、好中球減少、白血球減少がリボシクリブ群で多い結果でした。 

以上の結果より、HR陽性、HER2陰性の閉経後進行乳がんに対するファーストライン治療(最初に行うべき治療)として、リボシクリブとレトロゾール(フェマーラ)の併用が期待できる新たな治療法であると結論づけています。

リボシクリブの作用機序

リボシクリブは、細胞周期(一つの細胞が二つに分裂する過程で起こる一連の事象)を調節するサイクリン依存性キナーゼ(CDK)4/6を標的とした分子標的薬です。

このサイクリン依存性キナーゼ(CDK)4/6は、細胞周期を移行させる蛋白質サイクリンに依存する蛋白リン酸化酵素の複合体で、G1期からS期への移行を進めるアクセル役として機能しています。がん細胞では、細胞周期の回転を止めないで無秩序に増殖するのが特徴です。

リボシクリブは、このCDK4/6の働きを阻害することで細胞周期のS期への突入を阻止し、増殖を停止、細胞死を誘導すると考えられています。

同種の薬として、パルボシクリブやアベマシクリブがあるが、日本では承認されていません(パルボシクリブは国内承認申請中)。

今後、日本においてもこれらの分子治療薬が承認され、進行乳がん患者の治療に使えるようになることが期待されます。


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