転移性膵臓がんに対するベストの1次+2次化学療法の生存期間は13.5ヶ月!

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転移性膵臓がんに対してはさまざまな抗がん剤による治療が試されてきましたが、有効なものがほとんどなく、最も効果が高いとされるゲムシタビンを使っても生存期間(中央値)はわずか5~6ヶ月でした

しかし、海外からの大規模臨床試験(MPACT試験)により、nab-パクリタキセル(アブラキサン)とゲムシタビンを併用する新しい組み合わせによって、ゲムシタビン単独よりも有意に生存期間を延長することが報告されました。

このMPACT試験における二次治療(一次治療が効かなくなったときの次の治療)の治療成績を評価した結果がこのたび報告され、最も効果的な一次治療+二次治療を受けた患者の生存期間(中央値)は13.5ヶ月と良好な成績でした。

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転移性膵臓がんに対するNab-パクリタキセル+ゲムシタビンまたはゲムシタビン後の二次治療

大規模第3相臨床試験(MPACT試験)では、861名の転移性膵臓がんの患者を対象とし、1次治療としてnab-パクリタキセル+ゲムシタビンの併用とゲムシタビン単独を比較し、nab-パクリタキセル+ゲムシタビンが有意に生存期間を延長(全生存期間の中央値8.5ヶ月)することを発表しました(N Engl J Med. 2013 Oct 31;369(18):1691-703)。

このMPACT試験において、1次治療の後に受けた2次治療別に生存期間を検討しました。さらに、多変量解析により生存におよぼす治療効果の影響と予後因子を検討しました。

Second-line therapy after nab-paclitaxel plus gemcitabine or after gemcitabine for patients with metastatic pancreatic cancerBr J Cancer. 2016 Jul 12;115(2):188-94.

以下の結果が得られました。

●二次治療の大多数(347例中267例、77%)がフッ化ピリミジン製剤(5-フルオロウラシルまたはカペシタビン)を使用していました。

●全生存期間(一次治療へのランダム化から死亡までの期間)は、一次治療でnab-パクリタキセル+ゲムシタビンを受けた患者では12.8ヶ月であり、一次治療でゲムシタビン単独を受けた患者の9.9ヶ月よりも有意に長かった(P =0.015)。

●nab-パクリタキセル+ゲムシタビン後に二次治療でフッ化ピリミジン製剤を使用した患者の全生存期間は13.5ヶ月であり、ゲムシタビン単独治療後に二次治療でフッ化ピリミジン製剤を使用した患者の全生存期間は9.5ヵ月であった(P =0.012)。

●多変量解析を用いた解析では、一次治療後の生存率延長に関連する有意な因子は、一次治療にnab-パクリタキセル+ゲムシタビンの併用を受けたこと、二次治療を受けたこと、長い一次治療による無増悪生存期間、カルノフスキー・パフォーマンスステータス(一般全身状態スコア)が70以上、および一次治療終了時の好中球/リンパ球比が5以下であった。

以上の結果より、転移性膵臓がんに対して2次治療は有効であること、また現時点での臨床上最も有効な治療方針の一つとして、1次治療としてnab-パクリタキセル+ゲムシタビン、2次治療としてフッ化ピリミジン製剤を使った治療が考えられるという結論でした。

日本における転移性膵臓がんに対するベストの一次治療、二次治療は?

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この研究報告をふまえ、日本における転移性膵臓がんに対する抗がん剤治療について考えてみます

膵臓がんに対する標準治療の指針である膵癌診療ガイドラインでは、以下のようになっています。

遠隔転移を有する膵癌に対して推奨される一次化学療法はFOLFIRINOX 療法、またはゲムシタビン塩酸塩+ナブパクリタキセル併用療法が推奨される(グレードA)。

ただし,化学療法に十分な経験のある医師のもとで,全身状態(PS)や骨髄機能などより,これらの治療法が適切と判断される症例を選択して実施する。

これらの治療法が適切と判断されない場合は,ゲムシタビン塩酸塩単剤治療,ゲムシタビン塩酸塩+エルロチニブ塩酸塩併用治療,またはS-1 単剤治療が推奨される(グレードA)。

つまり、日本における転移性膵臓がんに対する1次治療としては、nab-パクリタキセル+ゲムシタビン併用療法あるいはFOLFIRINOX(フォルフィリノックス)療法(大腸がんで使われる抗がん剤の組み合わせ)が推奨されています。ただし、FOLFIRINOX療法は副作用も強いため、比較的若年の全身状態の良い患者さんが対象となります。

また、二次化学療法については、

二次化学療法のレジメンは一次治療に応じて、一次治療がゲムシタビン塩酸塩ベースの治療であればフッ化ピリミジン薬を中心とした治療を、一次治療がフッ化ピリミジンベースの治療であればゲムシタビン塩酸塩を中心とした治療を選択する(グレードC1)。

となっています。二次療法についてはまだエビデンスが少ないため、確立されたものはないのが現状です。

また日本では、転移性膵臓がんや術後の補助療法としてS-1(ティーエスワン)が使われ、良好な治療成績が確認されていますので、フッ化ピリミジン製剤としてはS-1が標準になります。

今回の研究結果から考えると、現時点における日本での転移性膵臓がんに対するベストの治療戦略は、1次治療としてnab-パクリタキセル+ゲムシタビン併用あるいはFOLFIRINOX療法、2次治療としてはS-1がベストではないでしょうか?

いずれにしても、以前は転移性膵臓がんの生存期間はわずか6ヶ月でしたが、今ではその倍の12ヶ月を超えるようになってきました。まだまだ満足のいく数字ではありませんが、患者さんにとって希望となる結果だと思います。


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