膵臓がんに新しい分子標的薬レファメチニブ(Refametinib)の効果期待:第I/II相臨床試験

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膵臓がんはきわめて予後が悪い難治がんであり、転移を認める進行膵臓がんの平均の生存期間は未だに6~8ヶ月程度です。一刻も早く効果の高い抗がん剤の開発が必要です。

膵臓がんでは90%以上にKRAS遺伝子の変異がみられ、MAPK(マップキナーゼ)経路が活性化されています。MAPK経路の活性化は、がん細胞の無秩序な増殖や転移を促進しています。このため、この活性化された経路をターゲットにした治療法に期待が寄せられています。

レファメチニブ(Refametinib)はMEK1とMEK2の選択的な阻害剤であり、このMAPK経路を阻害する分子標的薬として開発されました。

今回、レファメチニブをゲムシタビン(ジェムザール)と併用する新しいレジメンが、進行膵臓がんに効果が期待される第I/II相臨床試験の結果が報告されました。

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膵臓がんの遺伝子異常

膵臓がんは「遺伝子病」と呼ばれるほど、遺伝子変異が多いがんとして知られています。このうち、とくに下に示す4つの遺伝子に変異が集中していることがわかっています。

遺伝子名 役割 異常の頻度 主な働き
KRAS がん遺伝子 90-95% 細胞の増殖促進、細胞死の抑制など
CDKN2A/p16 がん抑制遺伝子 80-90% 細胞周期、老化の調節
TP53 (p53) がん抑制遺伝子 75% DNA損傷チェックポイント(細胞周期停止、アポトーシス導入)
SMAD4 (DPC4) がん抑制遺伝子 50-55% 細胞増殖の抑制など

このうち、KRAS遺伝子の変異は膵臓がんで最も多い遺伝子異常であり、およそ90~95%にみられます。

KRAS遺伝子は「がん遺伝子」と呼ばれ、がんのスピードを速めるアクセルの役目をはたす遺伝子です。つまりKRAS遺伝子に変異がおこると、アクセルが踏みっぱなしの状態となり、車が暴走するようにがんがどんどん進行するのです。

KRAS遺伝子に変異がおこると、異常RASタンパク質が増加し、MAPK(マップキナーゼ)経路という細胞のシグナルのスイッチが入ります。これによって細胞増殖が促進されたり、細胞死が抑制されるようになります。その結果、がんが増大し、転移するのです。

現在、このような活性化された経路を標的とした分子標的薬の開発がすすめられています。

今回、このKRAS遺伝子変異によって活性化されるMAPK経路(MEK1/2)をターゲットにした分子標的薬レファメチニブが、進行膵臓がんに対して有効である可能性を示す臨床試験の結果が報告されました。

新規分子標的薬レファメチニブの進行膵臓がんに対する臨床試験

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この度、進行膵臓がんに対するレファメチニブ(Refametinib、BAY 86-9766)と標準的抗がん剤であるゲムシタビン(ジェムザール)の併用療法の第I/II相臨床試験の結果がTargeted Oncology誌に報告されました。

この試験では、90人の進行(局所進行または転移性)膵臓がん患者がレファメチニブとゲムシタビンの併用療法を受けました(第I相が10人、第II相が80人)。最大用量として、レファメチニブ50 mgを1日2回内服+ゲムシタビン(1000 mg/m2 /週)の投与が可能でした。

Phase I/II Study of Refametinib (BAY 86-9766) in Combination with Gemcitabine in Advanced Pancreatic cancerTarget Oncol. 2016 Dec 14. [Epub ahead of print]

結果を示します。

■ 治療に伴う副作用は、血小板減少、疲労感、貧血、および浮腫などであり、重篤なものは認めなかった。

■ 奏功率(部分奏効)は23%(14/60人)であった。

■ 病勢コントロール率(部分奏効+安定)は73%(44/60人)であった。

■ 奏功率、病勢コントロール率、無再発生存期間、および全生存期間において、KRAS遺伝子変異が認められない患者でより治療効果が高い傾向であった(例えば、KRAS遺伝子の変異がない患者における奏功率は48%であった)。

以上より、進行膵臓がんに対するレファメチニブとゲムシタビンの併用療法は、安全かつ効果が期待できる治療であると結論づけています。

特に、KRAS遺伝子変異がない患者でより効果の高い可能性が示されましたが、今後より多くの患者での検討が必要であるとしています。

国内外でのレファメチニブの承認は先のことになるとは思いますが、今後の第III相臨床試験の実施および結果が待たれます。


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