DHA(ドコサヘキサエン酸)は分子標的薬/抗がん剤の効果を高める

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最近、新たな抗がん剤として、様々な分子標的薬(ぶんしひょうてきやく)が開発され、実際に使われるようになってきました。

レゴラフェニブ (Regorafenib;商品名スチバーガ) は分子標的薬のひとつで、血管新生(がんの成長に必要な血管をおびきよせる作用)やがんの増殖に関係するチロシンキナーゼ(タンパク質のチロシン残基を特異的にリン酸化する酵素)を阻害する作用がある経口マルチキナーゼ阻害薬です。

現在、レゴラフェニブは転移性大腸がん消化管間質腫瘍(GIST)に対して承認されていますが、肝細胞がんなど他のがんに対しても適応申請や臨床治験中であり、今後ますます適応が拡大される可能性があります。

今回、フィッシュオイルの主成分であるDHA(ドコサヘキサエン酸)がこのレゴラフェニブのがん治療効果を高めるという報告がありましたので紹介します。

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DHAがレゴラフェニブの治療効果を高める

これまで、レゴラフェニブをはじめキナーゼを阻害する分子標的薬が開発され、多くのがん治療に効果をあげています。

しかしこれらの分子標的薬も万能ではなく、その弱点として、治療中にがんが抵抗性を示す(効かなくなる)ことがありました。したがって、治療効果を高める(あるいは持続させる)新たな戦略が必要です。

カリフォルニア大学のWeiss氏らによる研究グループは、腎臓がんに対するレゴラフェニブとDHAの併用効果について実験を行いました。

Addition of DHA Synergistically Enhances the Efficacy of Regorafenib for Kidney Cancer Therapy(DHAの併用は腎がん治療におけるレゴラフェニブの効果を高める). Mol Cancer Ther. 2016 May;15(5):890-8. doi: 10.1158/1535-7163.MCT-15-0847. Epub 2016 Feb 26.

その結果、以下のことがわかりました。

● ヒト臍帯静脈内皮細胞(HuVEC)を用いた実験により、レゴラフェニブとDHAの併用によって血管新生が強力に阻害された。

● レゴラフェニブとDHAの併用によって、腎臓がん細胞の生存が相乗的に減少した。

● マウスの腎臓がんモデルにおいて、レゴラフェニブとDHAの併用は腫瘍の増殖を相乗的に抑制した

つまり、レゴラフェニブとDHAの併用治療は、腎臓がんに対して、それぞれの単独治療よりも強力な抗腫瘍効果(相乗的効果)を発揮することが分かりました。

DHAはフィッシュオイルの成分で、その安全性が確立されています。著者らは、今後レゴラフェニブの治療中に食事やサプリメントによってDHAを併用投与する臨床試験へとつながる結果であると結論づけています。

DHAの抗がん剤による治療効果を高める作用(転移性乳がん患者における臨床試験)

これまで、DHAなどのオメガ3系不飽和脂肪酸は、抗がん剤治療中や放射線治療中のがん患者さんの栄養状態を改善したり、副作用を軽減する作用があるという報告が多くあります。

また実際のがん患者さんにおいて、DHAが抗がん剤治療の効果を高めるという報告があります。

Improving outcome of chemotherapy of metastatic breast cancer by docosahexaenoic acid: a phase II trial.(ドコサヘキサエン酸は転移性乳がんに対する化学療法の治療成績を改善する:第二相試験) Br J Cancer. 2009 Dec 15;101(12):1978-85. doi: 10.1038/sj.bjc.6605441. Epub 2009 Nov 17.

この第II相臨床試験では、アントラサイクリン系抗薬剤による抗がん剤治療(FEC)を受けている転移性乳がん患者25人に対して、1日1.8gのDHAを投与しました。

その結果、奏功率は44%、平均生存期間(中央値)は22ヶ月、また一部の患者では血中DHA濃度が高く保たれており、これらの患者の生存期間は34ヶ月にも達したとのことです。つまり血中DHA濃度が高いほど生存期間が長い傾向にあったとのことです。


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