グルコース(ブドウ糖)を取り込む膵臓がんは予後不良:術前FDG-PETと生存期間との関係

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がん細胞はブドウ糖(グルコース)をエネルギー源として成長します。つまり、がん細胞では糖を代謝する解糖系(かいとうけい)という回路が活性化しており、これをワールブルク効果(Warburg effect)といいます。

実際、がん細胞は正常細胞に比べ3~8倍ブドウ糖を取り込む性質があり、これを利用した検査がFDG-PET検査です。現在、FDG-PETはがんの術前検査として、また転移や再発の検査などで使われています。

さて、今回は膵臓がんにおけるFDG-PETの取り込みと予後との関係を調べた日本からの論文を紹介します。

「ブドウ糖の取り込みが多いがんでは生存期間が短い」との結果であり、FDG-PETの予後因子としての有用性と、がんを兵糧攻めにする糖質(ブドウ糖)制限食が膵臓がんに対して有効である可能性を示した研究報告だと思います。

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FDG-PET検査とは?

FDG-PET検査とは、腫瘍細胞が正常細胞に比べてより多くのブドウ糖を取り込む性質を利用した画像検査です。

この検査では、18F-FDG(フルオロデオキシグルコース)という検査薬を投与します。FDGはブドウ糖類似物質であり、ブドウ糖と同様に細胞に取り込まれ、解糖系で代謝されずに細胞内に蓄積されていきます。FDGの18Fは放射線(γ線)を発生し、このγ線を捉えて画像化したものがPETです。

つまり、FDGがどの部位にどのくらい取り込まれたかを、全身にわたって調べることができます

日本消化器病学会のウェブサイトによると、がん診療においては、FDG-PET検査は次のような目的で使用されています。

1. 良悪性の鑑別

2. 癌の病期診断

3. 再発診断:形態画像より早期に発見でき、非常に有用

4. 治療効果判定(保険適応外)

5. がん検索(自費)

術前のFDG-PETにおけるグルコースの最大取り込み値と膵臓がんの予後との関係

日本(熊本大学)からの研究チームは、膵臓がんの術前FDG-PET検査の結果と患者予後について調査した結果を、2017年2月のAnnals of Surgical Oncology誌に報告しています。

この研究では、切除手術を行った膵臓がん138名について、術前のFDG-PET検査の結果(補正した最大取り込み値、cSUV-max)、がん組織におけるグルコーストランスポーター・タイプ1(Glut-1)というグルコースの輸送に関与する重要なタンパク質の発現、および患者予後(生存期間)との関係を調べました

Preoperative High Maximum Standardized Uptake Value in Association with Glucose Transporter 1 Predicts Poor Prognosis in Pancreatic CancerAnn Surg Oncol. 2017 Feb 8. doi: 10.1245/s10434-017-5799-1. [Epub ahead of print]

以下に結果を示します。

●膵臓がん組織におけるGlut-1の発現は、50%の患者さんにみられた。

Glut-1が陽性であったグループは、陰性であったグループよりも生存期間が有意に短かった(生存期間の中央値は、陽性群23ヶ月 vs 陰性群42ヶ月)。

FDG-PET検査の最大取り込み値(cSUV-max)が高い(>2.5)グループは、低い(≦2.5)グループと比べて有意に生存期間が短かった(下図)。

PETと膵癌予後

●Glut-1の発現はcSUV-maxと相関していた。

多変量解析(複数の要因を同時に分析する手法)では、cSUV-max高値(および男性、リンパ節転移、CA19-9高値)が独立した予後因子であった。

以上の結果より、FDG-PET検査におけるcSUV-maxの高値は、膵臓がんの切除後の予後を予測する因子として有用であるとしています。

つまり、ブドウ糖の取り込みが多い膵臓がんは予後が悪いという結果でした

膵臓がんにおけるケトン体ダイエットの可能性

この報告からも、やはりブドウ糖をたくさん取り込むがんは悪性度が高いことが考えられます。逆にいうと、がんのエサであるブドウ糖を与えない食事によって、がんの進行を食い止めることができる可能性があります。

残念ながら、現在膵臓がんに対して糖質制限食やケトン体ダイエットが有効であるとするエビデンス(医学的根拠)はありません

しかしこれまでの研究では、膵臓がんを始めさまざまな進行がん患者に対するケトン体ダイエット(ケトジェニックダイエット)ががんの進行を遅らせたり、生存期間の延長効果をもたらすという報告もあります。

詳しくはこちらの記事をどうぞ(「ケトン食(ケトジェニックダイエット)が末期がんを救う:最新の研究結果」

今後、臨床試験において膵臓がん患者さんに対するケトン体ダイエットあるいは糖質制限食の効果が示されるのを期待しましょう。

参考:「すべてのがん患者さんへ!楽しくゆるい糖質制限食のすすめ」

参考:「主食・スイーツをあきらめない!がんサバイバーの糖質制限ダイエットを強力にサポート」


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