がん放射線治療も個別化の時代へ!?遺伝子モデルで予測できる放射線感受性と予後

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分子標的治療薬の登場により、個々のがん患者さんにとって効果の期待できる最適の治療だけを行う「個別化治療」あるいは「プレシジョンメディシン(精密医療)」という言葉が聞かれるようになってきました。

抗がん剤治療の分野では、がんに対する治療効果を患者さんごとに事前に予測し、それに見合ったオーダーメイドの治療を行う時代なのです。

この時代にあって、がんの3大療法のひとつである放射射線治療については、未だ個別化治療の時代は到来していません。つまり、放射線の治療効果を事前に予測する手段は確立されておらず、がんの部位によって、すべての患者さんに同じ線量の放射線が使われているのが現状です。

今回、海外からの研究チームは、遺伝子解析によって放射線感受性(放射線が効くかどうか)を予測するモデルを作成し、実際に放射線治療を受けた様々ながん患者(乳がん、肺がん、膵臓がんなど)における治療結果を予測できるかについて調査しました。

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遺伝子ベースによる放射線治療の個別化

A genome-based model for adjusting radiotherapy dose (GARD): a retrospective, cohort-based study. Lancet Oncol. 2017 Feb;18(2):202-211. doi: 10.1016/S1470-2045(16)30648-9. Epub 2016 Dec 18.

米国の研究者らは、放射性感受性に深く関わる複数の遺伝子の発現をもとに、ゲノム調整放射線量(genome-adjusted radiation dose; GARD)とよばれるモデルを作成しました。

このGARDは、過去に見つかった放射線感受性に関わるいくつかの遺伝子の発現強度によって計算され、「GARDの値が高ければ放射線治療が効きやすく、逆にGARDの値が低ければ放射線が効きにくい」というモデルです。

そして、20の臓器から採取された8,271例の腫瘍組織サンプルにおける遺伝子発現解析の結果(多くの遺伝子のオン・オフの状態)から、それぞれの腫瘍組織でのGARD値を計算しました。

さらに、このGARDが実際に放射線治療の効果を正しく判定できるかどうかを、乳がん、肺がん、膵臓がん、および脳腫瘍(膠芽腫)を対象とした5つのコホート研究で確認しました

結果を示します。

■ がんに対して照射された放射線線量は一定であるにもかかわらず、8271例の腫瘍組織のGARD値には(1.66から172.4まで)非常に幅があった。
■ GARD値はがんの部位によって異なり、その中央値は脳腫瘍(神経膠腫)と肉腫で低く、一方、子宮頸がんと頭頸部がんで高かった
■ 同一部位のがんの中においてもGARD値に大きな幅があり、GARDは、乳がん、肺がん、膠芽腫、および膵臓がんに対する放射線治療の結果を予測することが可能であった
■ 乳がんのコホートでは、GARD高値グループはGARD低値グループと比較し、5年(無遠隔転移)生存率が有意に良好であった(下図)

GARDと乳癌の予後

これらの結果は、遺伝子ベースのGARDモデルによって、放射線治療の効果が期待できる患者を識別することが可能であることを示しています。

これまでは、がんの臓器別(部位別)ごとに、放射線が効きやすい症例に対しても、効きにくい症例に対しても一定量の放射線(例えば膵臓がんでは合計でおよそ50グレイ)を照射していました。したがって、例えば放射線が効きにくいがん患者さんではあまり効果がみられず、逆に副作用で苦しむといったこともありました。

今後は、遺伝子解析によって個々の患者さんのがんに対する放射線の効きやすさを調べ、適切な放射線量を決定することで効率よく治療を行えるようになる可能性があります。

放射線も個別化療法の時代へ変っていくことになりそうです。


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