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サプリメントは本当にがんに効くのか?動物実験からの新たなエビデンス

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「サプリメントは本当にがんに効くのか?」ということに関しては、未だに議論があるところです。また飲むとしたらどのサプリメントがいいのか?についてもいろいろと意見が分かれるところです。

私自身はがんの治療におけるサプリメントの効果を信じていますし、無理のない範囲でおすすめしています。

もちろん「サプリメントでがんが治る」という極端な意見を述べるつもりはありませんし、実際にサプリメントががんの治療に有効だとするエビデンス(この場合、ランダム化比較試験などによる証明)は現在のところありません。

また臨床試験を推し進める製薬会社の利益が期待できない状況においては、サプリメントの抗がん作用を証明するエビデンスは今後もおそらく出てこないでしょう。

ただ、試験管や動物実験、あるいは症例報告のレベルではサプリメントのがんに対する効果は十分示されており、これも無視できない事実です。

今回、アミノ酸、クエン酸、カルニチン、コエンザイムQ10、亜鉛およびビタミンなど複合サプリメントの抗がん作用についての動物実験のデータが追加報告されました。

がんに対する複合サプリメントの効果:動物実験データ

B16 melanoma cell

藤田保健衛生大学の研究チームは、B16メラノーマ(皮膚がん)を移植した担癌マウスを用いて、複合サプリメントのがんに対する効果を調査しました。

Effects of Combined Treatment with Branched-Chain Amino Acids, Citric Acid, L-Carnitine, Coenzyme Q10, Zinc, and Various Vitamins in Tumor-Bearing Mice. Biol Pharm Bull. 2017 Mar 1;40(3):266-271. doi: 10.1248/bpb.b16-00638. Epub 2017 Jan 26.

このメラノーマ細胞を移植したマウスを10匹ずつ2つのグループ(サプリメント群とコントロール群)に分けます。

サプリメント群には様々なサプリメント成分を配合したゼリー(インナーパワー、大塚製薬)を与えました。

この複合サプリメントには、

  • マルチビタミン(ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンB12、ビタミンE)
  • ミネラル(亜鉛、銅)
  • クエン酸
  • 分枝鎖アミノ酸(BCAA)
  • コエンザイムQ10
  • L-カルニチン

が含まれています。

一方、コントロール群にはブドウ糖液を与えました。

両群において、摂取した食餌の量、全身の健康状態、筋肉の重さ、移植したがんの重さ、肺転移の有無、および生存期間について調査しました。

結果を示します。

■ 食餌の摂取量は、コントロール群に比べてサプリメント群で有意に多かった

■ 舌骨上筋の重量は、コントロール群に比べてサプリメント群で有意に高かった

■ 生存期間の中央値は両群間に有意な差を認めなかったものの、移植した部位の腫瘍の重量は、コントロール群に比べサプリメント群で有意に低かった(下図)。 

サプリメントによるメラノーマ腫瘍重量低下

■ がんの肺への転移は、コントロール群では4例(40%)にみられたが、サプリメント群では1例にもみられなかった(P = 0.013)

以上の結果より、複合サプリメントの投与は筋肉量(筋力)の維持につながり、より長期にわたって食餌摂取が可能となり、結果的に腫瘍の増殖および転移を抑えた可能性が示されました

 

必ずしもサプリメントががんの増殖・転移を直接抑制した訳ではないかもしれませんが、サプリメントによって全身状態(筋肉など)を良好に保つことによって免疫力が高まった結果、がんの進行が抑えられたのではないかと思います。

こういった意味からも、がん患者さんにおいては、栄養状態の改善と筋肉/筋力を維持するためにサプリメントが重要であることが考えられます。

ちなみに、この実験ではがんに対する積極的な治療は行っておりませんが、もし抗がん剤治療などを行っていれば、生存期間に差が出ていた可能性もあります。

ただし、実験モデルとしては様々なサプリメントの複合であることより、果たしてどの成分が本当に有効であったかについては定かではありません。

今後の検討課題だと思います。

インナーパワー(大塚製薬)

ちなみに、この実験で使われている複合サプリメント配合のゼリー(インナーパワー)は大塚製薬から販売されており、以下の公式通販サイトから購入可能です。

興味がある方はこちらからどうぞ。

インナーパワー

まとめ

ビタミン、ミネラル、アミノ酸などの複合サプリメントが、マウスの全身状態をより良好な状態に保ち、がんの増殖と転移を抑制することが示されました。

もちろん動物実験での結果をそのまま人に当てはめることはできませんが、サプリメントががんの治療に有効であることを示すエビデンスの1つとして評価したいと思います。


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  • この記事を書いた人

佐藤 典宏

医師(産業医科大学 第1外科 講師)、医学博士。消化器外科医として診療のかたわら癌の基礎的な研究もしています。 標準治療だけでなく、代替医療や最新のがん情報についてエビデンスをまじえて紹介します。がん患者さんやご家族のかたに少しでもお役に立てれば幸いです。

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