抗がん剤治療中の急な発熱の原因は?発熱性好中球減少症(FN)について

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抗がん剤治療の一般的な副作用として、骨髄抑制(こつずいよくせい)があります。これは、骨髄の血液をつくる働きが低下している状態で、赤血球、白血球、および血小板の数が減少します。

このうち、白血球、なかでもその60~70%をしめる好中球があるレベルまで減ると発熱をともなうことがあり、これを発熱性好中球減少症(febrile neutropenia: FN)と呼んでいます。

発熱性好中球減少症は、ときに急速に重症化して命にかかわることもあるため、早めに気づいて受診と治療が必要です。

今回は、発熱性好中球減少症について、その症状、原因、治療および予防法について解説します。

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発熱性好中球減少症(FN)の定義

正常な場合、白血球は血液中に4,000〜9,000/μL(1μL=1mm3あたり4,000〜9,000個)あり、そのうち好中球は2,000〜7,500/μLあります。

発熱性好中球減少症とは簡単に言うと「好中球が少ない時に熱が出る状態」のことであり、ガイドラインによると以下のように定義されています。

①好中球数が500/μL未満、又は1,000/μL未満で48時間以内に500/μL未満に減少すると予想される状態で、かつ②腋窩温37.5℃以上(口腔内温38℃以上)の発熱を生じた場合

多くの抗がん剤の好中球減少のピーク(ナディア:nadir)は10~14日頃にくることが多いですが、7日目頃にくるものもあります。また抗がん剤(組み合わせ:レジメン)によって発熱性好中球減少症のリスクが高いものと、低いものがあります。

詳しくはあなたが受けている抗がん剤治療について、主治医に聞いてみてください。

発熱性好中球減少症(FN)の症状

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発熱性好中球減少症の症状は、発熱(腋窩温37.5℃以上)とそれに伴う悪寒、寒気、震え、頭痛、関節痛などが主なものです。

これらの症状がある場合、すぐに主治医や治療を受けている医療機関に相談してください。採血検査などが必要です。

また感染症によって、いろいろな部位に以下の様々な症状を伴うこともあります。

部位 症状
口腔 口のなかの発赤・腫れ・痛み、歯の痛み
上気道 鼻水、のどの腫れ・痛み
肺・気管支 咳、痰、息苦しさ
消化器 腹痛、下痢、吐き気
肛門 肛門周囲の発赤・腫れ・痛み
尿路 尿のにごり、排尿時痛、残尿感

がん情報サービス(骨髄抑制:白血球減少(感染しやすくなる))より一部改変

発熱性好中球減少症(FN)の治療

発熱性好中球減少症に対しては、適切な抗菌薬(グラム陰性桿菌に対して抗菌作用のあるβ-ラクタム系抗菌薬)の投与を速やかに開始します。

感染している部位が明らかな場合には、その部位に好発する微生物を考慮して抗菌薬を選びます。ただ、検査をしても感染の原因が判明するのは全体の約20%程度です。

発熱性好中球減少症では、感染の原因がはっきりと断定できない場合でもすぐに抗菌薬治療を開始することが重要であり、それによって死亡率が低下することがわかっています。

治療は、原則として好中球数が500/μL以上に回復するまでは継続します。発熱性好中球減少症が長引くリスクの高い症例では、深在性真菌症を考えて抗真菌薬を投与することがあります。

発熱性好中球減少症(FN)の予防

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ガイドラインでは、抗がん剤治療を受けている患者さんに推奨される感染予防策として、以下のことをあげています(一部抜粋)。

手洗いもしくはアルコールなどによる手指消毒を行う(推奨グレードA)

●好中球減少時の食材はよく加熱する(推奨グレードC1)、生の果物や野菜は十分に洗浄する(推奨グレードA)。

●がん薬物療法中は、シャワー浴などで皮膚の清潔、うがい、歯磨きで口腔内の清潔を保つ(推奨グレードA)。

●好中球減少時に患者に隔離もしくはガウン、マスク、手袋などの着用は必要ない(推奨グレードC2)。

●好中球減少時は部屋に植物、生花、ドライフラワーを置かない、またペットとの同居は推奨されない(推奨グレードD)。

基本的には、手洗い、うがいをしっかり行い、清潔に保つことが大切とのことです。

食べ物に関しては、エビデンスはないそうですが、(好中球減少時には)よく加熱されたものが望ましいとのことで、お刺身などの生食については避けるべきであるとのことです。

また、以前はよく言われていましたが、好中球が少ないときに患者さんを隔離したり、人混みをさけたり、あるいはマスクを着用したりする必要はないようです。

ちなみに、推奨グレードとはいわゆる「お勧めの強さ」のことです。グレードAは「強い科学的根拠があり、行うよう強く勧められる」るもので、B、C1、C2となるにしたがって推奨の強さが弱くなります。グレードDは、「無効性あるいは害を示す科学的根拠があり、行わないよう勧められる」ものです。

参考資料

発熱性好中球減少症(FN)診療ガイドライン(日本臨床腫瘍学会(編)2012年発行)


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