【医師が解説】乳がん骨転移の余命(生存期間)は?研究報告より

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がんが進行すると、他のいろいろな部位や臓器に転移をおこします。このうち、骨に転移することを骨転移といいます。

骨転移は乳がん患者さんに比較的多いとされ、一般的に予後が悪いといわれています。ただ最近では転移性の乳がんに対する治療法が改善し、徐々に生存率も改善してきています。

はたして乳がんが骨転移した場合の余命(生存期間)はどのくらいなのでしょうか?過去の研究報告を調べてみました。

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骨転移の頻度は?

がんの中には、骨転移しやすいがんと、しにくいがんがあります。がんの種類別の骨転移の頻度は以下のようになっています。

乳がん:65~75%

●前立腺がん:65~75%

●甲状腺がん:40~60%

●肺がん:30~40%

●膀胱がん:40%

●腎がん:20~35%

●悪性黒色腫:14~45%

●消化器がん:5%

骨転移診療ガイドライン(日本臨床腫瘍学会 編、南江堂)より引用

このように、乳がんと前立腺がんで特に多いことがわかります。逆に、胃がんや大腸がんなどの消化器がんには比較的少ないのが特徴です。

骨転移の症状

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骨転移は初期には無症状のことも多く、実際に骨転移が最初に診断された時には27~60%が無症状であったと報告されています。

骨転移の症状は、痛み、圧迫骨折、病的骨折などがあります。また切迫骨折、病的骨折、高カルシウム血症では緊急な対応が必要となります。

骨転移の診断

骨転移の診断は、X線撮影、CT、MRI、骨シンチグラフィー、PET/CT検査などを併用して行います。

また、血液検査で高カルシウム血症を認めた場合には骨転移が存在する可能性があります。

骨転移の治療

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1.原発がんに応じた治療

もともとのがん(例えば乳がん)に対する治療(抗がん剤や分子標的薬など)を行います。

2.手術

脊髄圧迫症状が認められる転移性脊椎腫瘍や手足の骨(四肢長管骨)への転移に対して、痛みや神経症状を軽くする目的で手術が行われることがあります。

また、一か所だけの骨転移の場合には、腫瘍を切除する手術が有効な場合もあります。

3.装具による固定

病的骨折の予防や治療のために装具による固定を行うことがあります。

4.放射線治療

骨転移の痛みに対しては放射線外照射が有効で、痛みの緩和や消失が期待できます。

5.骨修飾薬(BMA)

骨転移に関連した合併症(病的骨折、脊髄圧迫、高カルシウム血症など)を抑える目的で、ゾレドロン酸、パミドロン酸、デノスマブといった骨修飾薬の投与が行われます。これまでの多くの研究により、これらの骨修飾薬は、骨転移に関連する症状を有意に減少させることがわかっています。

6.鎮痛薬

骨転移の痛みに対しては、非オピオイド鎮痛薬やオピオイド鎮痛薬が有効です。

骨転移の余命(生存期間)

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一般的に、骨転移を認めるがんは予後が悪いといわれています。乳がん骨転移の生存期間についてはいくつかの研究報告があります。

デンマークの国立患者登録データベースによると、乳がん患者35,912人のうち1,494人(約4%)に診断時に骨転移があり、骨転移を認めない乳がん患者の5年生存率が75.8%であったのに対し、骨転移を認める乳がん患者の5年生存率はわずかに8.3%であったとのことです。

Survival in breast cancer patients with bone metastases and skeletal-related events: a population-based cohort study in Denmark (1999-2007). Breast Cancer Res Treat. 2011 Sep;129(2):495-503. doi: 10.1007/s10549-011-1475-5. Epub 2011 Apr 2.

ただし、骨転移の有無と予後との関係は、他の臓器への転移の状況によって変ります。

すなわち骨転移のみの乳がん患者と他の臓器への転移がある乳がん患者さんの比較では、骨転移のみの患者のほうが予後が良好であることが報告されています。

例えば、イギリスにおける7,064人の乳がん患者(うち589人(22%)に骨転移)を対象とした研究では、骨転移と内臓転移を認めた患者の生存期間(中央値)が1年未満であったのに対し、骨転移だけの患者の生存期間は2.3年でした。

Incidence of bone metastases and survival after a diagnosis of bone metastases in breast cancer patients. Cancer Epidemiol. 2014 Aug;38(4):427-34. doi: 10.1016/j.canep.2014.05.005. Epub 2014 Jun 10.

このように、乳がんは骨転移があるだけで予後が悪いというわけではなく、他の部位への転移があるかどうかが問題となります。

また、転移性乳がんに対する治療は日々進歩しており、パルボシクリブPARP阻害剤免疫チェックポイント阻害剤など、新たな薬物治療が次々と開発・導入されています。

近い将来、骨転移を認める乳がん患者さんの治療成績が向上し、生存期間も延長することが期待されます。


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