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「がんと闘う」よりも「前向きに生きる」すすめ:「がんが自然に治る生き方」より

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ニュースなどで「がん闘病(とうびょう)」という言葉をよく耳にするように、「がんとは闘うもの」という先入観があります。

一生懸命がんと闘い、治療が上手くいったら「がんに勝った」、逆に治療が上手くいかず不幸な結末を迎えたら「がんに負けた」ということになります。

しかし、がん治療とは「闘い」なのでしょうか?毎日、憎きがん細胞をやっつけることばかり考えることが、がんの治癒につながるのでしょうか?

「がんが自然に治る生き方」の著者ケリー・ターナー博士によると、がんから劇的な寛解を遂げた人々は、「がんと闘う」という攻撃的な気持ちよりも、愛やよろこび、幸福感を感じるために「今を前向きに生きる」という意識を持つように心がけていたとのことです。

がん患者さんが「前向きに生きる」とはどうゆうことでしょうか?実践のポイントやがん治療に与える影響を含めて解説します。

がん患者さんが「前向きに生きる」とは?

がん患者さんにとって、「ぜったいに自分でがんを治す」という気持ちをもつことは大切です。ただ、人によっては「がんと闘う」という気持ちよりも、がんを受け入れて「前向きに生きる」ことのほうがより効果的な場合もあるようです。

「前向きに生きる」とは、ストレスや恐れ、怒り、後悔、悲しみといったネガティブな感情を手放し、幸せ、よろこび、愛といったポジティブな感情を日々感じるように努力することです。

じつは前向きに生きることは、非常に重要なからだの変化をもたらすのです。

前述のケリー・ターナー博士によると、愛やよろこび、幸福を感じると、脳内の分泌細胞から身体を治癒させるセロトニン、リラキシン、オキシトシン、ドーパミン、エンドルフィンなどのホルモンが大量に血中へと放出され、これらのホルモンは細胞に次のような指令を出すそうです。

●血圧や心拍数、コルチゾール(ストレスホルモン)の分泌を下げる
●血流をよくする
●呼吸を深くして、細胞に酸素を行きわたらせる
●食べたものをゆっくり消化し、栄養の吸収をよくする
●白血球と赤血球の活動を促し、がん細胞と闘う免疫システムを強化する
●感染のない状態にする
●がん細胞の有無を精査して、あれば取り除く

つまり、「がんをやっつける」という攻撃的な姿勢ではなくても、「前向きな感情」を持つことで、結果的にはがん細胞を排除することが可能であるとしています。

「前向きに生きる」実践ポイント

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では、実際にはどうしたらがん患者さんが前向きに生きることができるのでしょうか?ケリー・ターナー博士による実践のポイントを私なりにアレンジしてみました。

がんが自然に治る生き方――余命宣告から「劇的な寛解」に至った人たちが実践している9つのこと

1.1日のはじめに笑う(または感謝の気持ちをもつ)

笑って1日をはじめましょう。お気に入りの漫画、コメディービデオ、ユーチューブを見ましょう。

あるいは枕元に「感謝の日記」を置いておき、朝目が覚めたらすぐに、ありがたいと思うことを5項目、書き出してみましょう。

2.ニュース(とくにネガティブなニュース)はなるべく見ないようにする

テレビなどでは連日殺人事件や芸能人ががんで亡くなった報道など、ネガティブなニュースであふれています。できるだけニュースは見ないようにしましょう

3.コメディーなど笑えるものを見る

最低でも1週間に1回は、コメディー映画やお笑い番組などで大笑いましょう。DVDレンタルショップのコメディーの棚を、端から全部制覇するというのはいかがでしょうか?

笑うことで免疫力が高まり、がん治療に役立ちます。

4.一緒にいて楽しい人とつきあう

自分の人間関係を見直し、「元気にしてくれる人か、疲れる人か」を考えてください。疲れる人とすごす時間は減らし、元気にしてくれる人となるべく多くの時間をすごしましょう。

5.活動的になる

日々の暮らしのなかで、すぐ実践できる楽しみを見つけてください。たとえば、運動、自然のなかのウォーキング、ガーデニング、カラオケ、踊る、瞑想する、料理、昔の友達に電話する、誰かにプレゼントをあげる、など。

週に3回は実践し、よろこびを味わうよう、自分に課してください。

6.寝る前に確認する

毎晩寝る前に、「今日、5分間だけでも幸せな時間をすごしたか」を確認してください。

もしできていれば、そのことを思い出して感謝してください。できていなければ、最初の項目に戻り、笑ってみるか、何かに感謝の念を抱いてから眠りについてください。

以上です。

最後に

「前向きに生きる」ことを実践し、進行がんから寛解した1例を紹介します。

エフラット・リブニーは、49歳のときに卵巣がんのステージ3Cと診断されました。現代医療、代替医療、さまざまな治療に取り組みました。けれども彼女がもっとも力をそそいだ取り組みの一つが、「より前向きに感じて生きる」ということでした

「がん治療に取り組みはじめてすぐに、わたしは、これは闘いではないと気づきました。これは人生の新たな一章で、私はこれを受け入れ、なじんでいくしかないのだと。そのためには、人生を感謝とよろこびと楽しみに満ちたものにするしかない、と思いました。・・・・(中略)・・・よろこび、楽しみ、親切、感謝。それがわたしにとっての薬になりました。

エフラットはもう12年も再発なしにすごしています。

もちろん、いろいろな考え方があります。

「がんと闘う」ことを目標にすることで治療をがんばれる人はそれでいいと思います。

ただ、「がんと闘う」という気持ちがしっくりこない人は、「前向きに生きる」ことを試してみてはいかがでしょうか?


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  • この記事を書いた人

佐藤 典宏

医師(産業医科大学 第1外科 講師)、医学博士。消化器外科医として診療のかたわら癌の基礎的な研究もしています。 標準治療だけでなく、代替医療や最新のがん情報についてエビデンスをまじえて紹介します。がん患者さんやご家族のかたに少しでもお役に立てれば幸いです。

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