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ケフィアががんに効く?様々なメカニズムで抗がん作用を発揮する最強のプロバイオティクス

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みなさんはケフィア(あるいはケフィアヨーグルト)をご存じですか?

ケフィアは、一般のヨーグルトとは異なり、乳酸菌と酵母の複合発酵によって作り出される発酵乳で、長寿で有名なコーカサス地方などでの伝統食として話題を集めました。

その効能・効果は多岐にわたり、腸内環境を整えるだけではなく、抗菌作用、抗酸化作用、抗炎症作用、および抗アレルギー効果があるといわれています。

また多くの研究において、ケフィアは悪性腫瘍(たとえば乳がん、大腸がん、悪性リンパ腫、肺がんなど)の増殖を抑制することが示されており、その抗がんメカニズムが徐々に解明されつつあります。

近い将来、ケフィアは強力なプロバイオティクスとしてがんの予防や治療に用いられる可能性が高いとされています。今回、ケフィアの抗がん作用について、研究結果をまとめて解説します。

ケフィアとは?

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ケフィアとは、長寿で世界的に有名なコーカサス地方で、2000年以上も前から伝統的に食されてきた発酵乳です。日本では「ヨーグルトきのこ」としても知られています。

一般のヨーグルトが1~2種類の乳酸菌で発酵して作られるのに対し、ケフィアは複数の乳酸菌と複数の酵母(ケフィアグレイン)による複合発酵によって作られます

ケフィアにはタンパク質をはじめ、各種ビタミン(カロテン、ビタミンA, K, B1, B2, B5, C, B12および葉酸)やアミノ酸、およびミネラル(マグネシウム、カルシウム、リン、亜鉛、銅、マンガン、鉄など)が豊富に含まれており、すぐれた栄養食として知られています。

逆に脂肪分は少なく(10%以下)、ダイエットにも効果があるといわれています。

ケフィアの効能

ケフィアには、整腸作用、抗菌効果、抗酸化作用、抗炎症作用および抗アレルギー効果があるといわれ、消化器症状(消化不良や便秘、下痢など)、高血圧、およびアレルギー疾患(花粉症やアトピー性皮膚炎)の治療に有効であると報告されています。

また、ケフィアは免疫力を高め、コレステロールの代謝を改善し、骨の健康維持にもよいとされています。

ケフィアとがんとの関係

ケフィアがさまざまな悪性腫瘍の予防および治療に有効な可能性を示す研究結果が報告されています。ここでは代表的ながんである乳がんと大腸がんに対するケフィアの抗がん作用について紹介します。

乳がん

■ ケフィアの抽出液はアポトーシス(プログラムされた能動的な細胞死)や細胞周期停止をおこして数種の乳がん細胞の増殖を抑制したことが報告されています(J Med Food. 2007 Sep;10(3):416-22)。

■ マウスの乳がんモデルにおいて、ケフィアは免疫のはたらきを活性化し、またアポトーシスに誘導することで、乳がんの発生を抑制しました(J Dairy Sci. 2007 Apr;90(4):1920-8)。

■ 乳がんを移植したマウスにおいて、ケフィア水(水とケフィアグレインが原料)を与えたグループ(28日間)では、コントロールに比べ、腫瘍の重さ、容積が優位に縮小していました(Integr Cancer Ther. 2016 Dec;15(4):NP53-NP66)(下図)。

ケフィアによるマウス乳がん抑制

大腸がん

ケフィアは、大腸がん細胞の増殖を抑制し、アポトーシスに誘導することが報告されています(Int J Oncol. 2014 Nov;45(5):2117-27)。

さらに、抗がん剤治療を受けている大腸がん患者さんを対象とした臨床試験において、ケフィアの摂取は消化器症状や生活の質(QOL)は改善しなかったものの、睡眠障害を軽減したと報告されています(Oncol Nurs Forum. 2009 Nov;36(6):E335-42)。

この他にもリンパ腫や胃がん細胞におけるケフィアの抗がん作用が報告されています。

しかし、いずれも細胞実験(試験管)および動物実験レベルにとどまり、人での臨床試験のデータはほとんどありません。

ケフィアががんに効くメカニズム

ごく最近、がんとケフィアとの関係について、過去の報告をまとめたレビュー論文が報告されました。

Kefir: a powerful probiotics with anticancer properties. Med Oncol. 2017 Sep 27;34(11):183. doi: 10.1007/s12032-017-1044-9.

この中で、ケフィアががんに効くメカニズムについてまとめています。

ケフィアは、おもに以下のメカニズムによって腫瘍の発生や進展を抑制していると考えられます(下図)。

  • 腸内環境の改善
  • 免疫の賦活化
  • 抗酸化作用
  • DNA障害の軽減
  • がんに対する増殖抑制
  • がん細胞に対するアポトーシス・細胞周期停止の誘導作用

ケフィアの抗がんメカニズム

以上が総合的にがんの抑制につながっていると考えられます。

がんの治療では、腸内環境を整える乳酸菌などのプロバイオティクスや、免疫力を高めるきのこ類がよいといわれていますが、ケフィアはこの両方(乳酸菌+きのこ)を一度にとれる最強の抗がんプロバイオティクスといえます。

ケフィアのつくりかた

さて、毎日でも食べたいケフィアですが、作り方も簡単ですので紹介します。

1.牛乳(または豆乳)に種菌(ケフィアグレイン:市販のもの)をまぜる

2.一定の温度(25℃)以下にならないようにして24時間(~36時間)発酵させる(冬場は市販のセットについてくるケフィアウォーマーがあると便利)

3.冷蔵庫で冷やして食べる(牛乳の種類や発酵時間にもよりますが、あまり固くなりません)

以上です。

ぜひ自宅でケフィア作りにトライしてみましょう。

 


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  • この記事を書いた人

佐藤 典宏

医師(産業医科大学 第1外科 講師)、医学博士。消化器外科医として診療のかたわら癌の基礎的な研究もしています。 標準治療だけでなく、代替医療や最新のがん情報についてエビデンスをまじえて紹介します。がん患者さんやご家族のかたに少しでもお役に立てれば幸いです。

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