抗がん剤の治療効果は免疫力にかかっている!転移性大腸癌患者における研究結果

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「抗がん剤が効くかどうか」は何で決まるのでしょうか?

もちろん、抗がん剤の種類や量、あるいはがんの性質などによって効果(反応)が変わってくるのは当然ですが、じつは患者さん側の要因、すなわち体力免疫力も抗がん剤による治療効果に重要な役割を果たしていると考えられます。

これまでに、がん患者さんの免疫細胞(NK細胞やTリンパ球など)の状態が予後に関係しているという研究報告はありましたが、免疫の状態と抗がん剤治療の効果(生存率)についての詳細な検討はありませんでした。

今回は、治療前の免疫力が、大腸がんに対する抗がん剤治療後の生存率を左右するという報告を紹介します。

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がんを排除する免疫監視システムとは?

まずは、がんを見つけて排除する免疫の働きについて簡単におさらいします。

まず最初にがんに攻撃を仕掛けるのは、細胞傷害性リンパ球の一種であるナチュラル・キラー細胞(NK細胞)です。このNK細胞が血液にのって全身をパトロールし、がん細胞を見つけては除去しています。

次に、弱ったがん細胞のまわりを抗原提示細胞(こうげんていじさいぼう)と呼ばれる樹状細胞(じゅじょうさいぼう)が取り囲み、がんの断片を捕獲します。樹状細胞は、がん細胞の特徴(抗原)を他のリンパ球(ヘルパーT細胞)に知らせる役目をもっています。

がんの存在を知ったヘルパーT細胞は、活性化して増殖を始めます。そして、B細胞に攻撃の指示を出し、武器である抗体をつくらせます。一方、ヘルパーT細胞はキラーT細胞(細胞傷害性T細胞)にも命令し、がんを直接攻撃させます。

一方で、免疫が過剰に反応するのをおさえるブレーキ役も存在します。

制御性T細胞(Treg)単球系骨髄由来免疫抑制細胞(M-MDS)が免疫を抑制する役目を果たしています。

転移性大腸がん患者における化学療法前の免疫の状態と無増悪生存率との関係

Pretreatment Immune Status Correlates with Progression-Free Survival in Chemotherapy-Treated Metastatic Colorectal Cancer Patients. Cancer Immunol Res. 2016 Jul;4(7):592-9. doi: 10.1158/2326-6066.CIR-15-0298. Epub 2016 Apr 28.

オキサリプラチンをベースとした初回化学療法(ファーストライン)を予定した、40人の転移性または再発大腸がん患者を対象とした日本からの研究です。

化学療法のレジメンは、ベマシズマブを併用したFOLFOX(フルオロウラシル+フォリン酸+オキサリプラチン)またはXELOX(カペシタビン+オキサリプラチン)でした。

治療前に末梢血のサンプリングを行い、特異的な抗体を用いて25種類の免疫細胞の分画(細胞の種類と量)を調べました。それぞれの細胞について、中央値より多いグループと少ないグループに分け、無増悪生存率を比較しました。

結果を示します。

■ M-MDSC(単球系骨髄由来免疫抑制細胞)の割合が高いグループでは、低いグループに比べて生存期間が短かった。このM-MDSCは、制御性T細胞とならんでがん患者における免疫抑制に関与している細胞です。
■ CD4陽性エフェクターメモリーT細胞(TEM)の割合が低いグループでは、高いグループに比べて生存期間が短かった。CD4陽性細胞(ヘルパーT細胞)は、免疫の司令塔として抗体を作らせたり、兵士であるキラーT細胞にがんを殺すように指示したりする細胞です。
■ CD8陽性エフェクターメモリーT細胞(TEM)の割合が低いグループでは、高いグループに比べて生存期間が短かった。CD8陽性細胞(キラーT細胞)はヘルパーT細胞からの指示によってがん細胞を直接攻撃する細胞です。
■ さらに、これらの生存率を低下させる3種類の免疫細胞のパターン(高M-MDSC、低CD4TEM、低CD8TEM)のうち、2つ以上を同時に持っているグループ(いわゆる免疫力が低いグループ)では、1種類以下のグループ(免疫力が高いグループ)と比べて有意に生存期間が短かった(P < 0.001)(下図)。

 免疫細胞プロファイリングと無増悪生存

 ■ 多変量解析の結果、高M-MDSC、低CD4TEM、低CD8TEMのうち、2つ以上を持っていることは、独立した予後不良因子であり、増悪または死亡リスクをおよそ9倍に高めるという結果でした。

以上の結果より、治療前の末梢血中の免疫細胞の状態は、転移を認める大腸がん患者における抗がん剤治療の効果を決定する重要な因子であることが分かりました。

やはり抗がん剤治療においても、免疫力が高い患者さんでは生存期間が長いという結果でした。

また今回の結果から、抗がん剤治療の前に免疫細胞のパターンを調べることにより、治療成績(生存率)を予測することができる可能性があると考えられます。

免疫力を高めるためにできることをまとめています↓


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