膵臓がんと他臓器がんの合併例(重複がん)は膵臓がんの単独例より予後良好

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膵臓がんは予後不良のがんとして知られていますが、欧米ではおよそ10%程度は遺伝性に発症するといわれています。

また膵臓がん患者のうち、比較的まれですが、同時または他の時期に他の臓器にがんを発症する人がいます。

わたしの外来にも、膵臓がんと他のがんを合併された患者さんがいらっしゃいます。

これまでに、このような他臓器のがんをみとめる膵臓がん患者さんの特徴や予後に関するデータはほとんどありませんでした。

今回、膵臓がんと他臓器がん(重複がん:ダブルキャンサー)を合併した患者さんは、膵臓がんだけの患者さんより予後がよいという興味深い研究結果が報告されました。

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膵臓がんの重複がん症例は膵臓がん単独よりも予後良好

Prognosis of Pancreatic Cancer Patients with Synchronous or Metachronous Malignancies from Other Organs Is Better than Those with Pancreatic Cancer Only. Cancer Res Treat. 2017 Dec 20. doi: 10.4143/crt.2017.494. [Epub ahead of print]

【対象と方法】

対象は、1352人の膵臓がん患者です。このうち、113人(8.4%)に(膵臓がんの診断と同時に、あるいは前後に)他臓器のがん(重複がん)が認められました。

この膵臓がん+他臓器がんの113人と膵臓がんだけの1239人について、臨床的な特徴や生存期間を比較しました。

【結果】

■ 113人の膵臓がん+他臓器がん患者のうち、44人(39%)は同時性(膵臓がんと同時に診断)であり、残りの69人(61%)は異時性(膵臓がんの診断の前後)でした。
■ 他臓器がんのうち、多い部位としては胃がん26人(21.5%)大腸がん25例(20.7%)肺がん18例(14.9%)甲状腺がん13人(10.7%)、肝臓がん9例(7.4%)、そして乳がん6人(5.0%)でした。
■ 膵臓がんと他臓器がんの合併患者の全生存期間(中央値)は23ヶ月であり、膵臓がんだけの患者の17ヶ月より有意に延長していた(下図)

膵臓がん 重複がん 生存曲線

■ 膵臓がんと他臓器がんの合併例のうち、膵臓がんが他臓器がんより先に切除された患者生存期間は49ヶ月であり、膵臓がんが他臓器がんより後に切除された患者(13.5ヶ月)他臓器がんと同時に切除された患者(19ヶ月)よりも有意に予後良好であった。
■ また他臓器がんのうち、胃がんを合併した患者(34ヶ月)、甲状腺がんを合併した患者(118ヶ月)の予後が最も良好であった

【結論】

膵臓がん患者のうち、およそ8%に他臓器のがんを合併をみとめ、これらの患者は(とくに膵臓がんが他臓器のがんよりも先に診断・切除された場合)膵臓がんだけの患者よりも予後が良いという結果でした。

どうして膵臓がんに他のがんを合併した患者さんの方が予後が良いのかについて、はっきりとした理由は分りません。

考えられる理由としては、

● 膵臓がん切除後のフォローアップによって定期的にCT検査などを行うため、他臓器のがんが早期に発見される可能性があること
● 一部にリンチ症候群といった比較的予後がよい遺伝性の疾患が含まれている可能性があること
● 膵臓がんの長期生存例の経過観察中に、たまたま他臓器がんが発見されるリスクが増えた可能性があること、

などが考えられました。

いずれにしても今回の研究では、膵臓がんでは、他の臓器のがんを合併した患者さんの方が予後良好であるという結果でした。

また、膵臓がんを切除して、その後の経過中に他のがんを合併した患者さんでも長期予後が期待できるということです。

実際に私の患者さんでも、他のがんを合併した膵臓がん患者さんには長期生存例が多い印象があります。

今後、さらなる研究によって原因が明らかになることを期待します。


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