高齢の膵臓がん患者は手術と抗がん剤のどちらを選ぶべきか?研究報告

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膵臓がんの患者は年々増えており、日本における死亡者数は2013年には年間3万人を突破しました。

また膵臓がんは高齢者に多く、診断時の平均年齢は70歳以上と報告されています。したがって、日本における加速度的な高齢化にともない、高齢の膵臓がん患者が増加することが予想されています。

膵臓がんに対する治療のうち、根治(完全に治ること)が望める唯一の方法は手術(膵臓切除)ですが、高齢患者では死亡率や合併症の発生率が高いため、手術あるいは抗がん剤のどちらを選ぶべきか難しいことがあります。

今回、切除可能な高齢の膵臓がん患者に対して、手術と抗がん剤のどちらがよいのかを調査した研究について解説します。

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高齢の膵臓がん患者に対する膵切除と抗がん剤治療の比較

米国の研究者は、2000年~2010年までの10年間の癌患者データベース SEERから、手術(膵切除)または抗がん剤治療(±放射線治療)だけを受けた、(比較的ステージが早期で併存疾患の少ない)膵臓がんの患者2629名について調査しました。

A comparative analysis of survival outcomes between pancreatectomy and chemotherapy for elderly patients with adenocarcinoma of the pancreas(高齢の膵臓腺がん患者に対する膵切除と化学療法の生存期間の比較解析). Cancer. 2016 Nov 15;122(21):3378-3385.

その結果、以下のことが分りました。

●患者さんが若い場合、また腫瘍が小さい場合に、より手術が行われていた。

膵臓がん患者さん全体では、手術を受けた患者さんの方が、抗がん剤治療よりも生存期間が有意に長かった(生存期間中央値は、手術グループで15ヶ月で、抗がん剤グループで10ヶ月)。

●しかし、患者さんが高齢になるにしたがって、手術による生存期間の延長効果が弱くなった(例えば、80歳以上では、手術グループで13ヶ月で、抗がん剤グループで10ヶ月と、わずかに3ヶ月だけ長かった)。

以上の結果より、「高齢の膵臓がん患者に対しては、手術が最も生存期間が長い治療法であるが、抗がん剤も正当な治療法として考慮すべきである」と結論づけています。

高齢の膵臓がん患者に対する治療法について

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現在、高齢の膵臓がん患者に対する決まった治療法はありません。日本における標準治療指針となる「膵癌診療ガイドライン2016年版」でも、とくに高齢者に限定した膵臓がんの治療方針については記載がありませんでした。

したがって、施設(病院)や主治医の判断で、手術または抗がん剤(あるいは放射線)のどちらか(または、何も積極的な治療をしないか)を選んでいるのが現状です。一般的に、高齢であればあるほど侵襲(からだへの負担)の少ない治療を選ぶ傾向にあります。

今回の結果では、特に高齢の膵臓がん患者さんの場合、手術のメリットが少ない可能性があるという結論でした。

きつい思いをして手術を乗り越えても、たった数ヶ月しか長生きできないと考えると、むしろ楽な治療の方がいいと思われる患者さんのほうが多いのではないでしょうか?

今後のさらなる検討が必要ですが、特に高齢の患者さんの場合、生存期間だけではなく、生活の質なども考慮し、1人1人に合ったベストの治療法を選んでいただく必要があると思いました。


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