膵臓がんの局所再発に対する体幹部定位放射線治療(SBRT)の有効性

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膵臓がんの治療成績は依然として厳しい状態にあり、切除可能な膵臓がんであっても術後に転移・再発することが少なくありません。

膵臓がんの切除後には色々な再発のパターン(遠隔転移や腹膜播種など)がありますが、20~30%では局所(残った膵臓や切除した部位の周囲組織)だけに再発が認められます。

このような局所の再発に対しては、一部の施設では放射線治療が試みられてきましたが、治療成績についてのまとまったデータの報告はあまりありませんでした。

今回、膵臓がん術後の局所再発に対する体幹部定位放射線治療(SBRT)の安全性および有効性について、アメリカから報告されました。

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体幹部定位放射線治療(SBRT)とは?

体幹部定位放射線治療(SBRT; stereotactic body radiotherapy)は、放射線を多方向から標的となる病変に集中して照射する治療法です。

がんだけに高い線量が当たるようにする方法で、「ピンポイント照射」ともいわれます。

従来の放射線治療よりも多い線量を、より少ない回数(4~10回)で照射できるため、短期間で高い効果が期待できる治療として注目されています。

また合併症が少なく、外科切除と比較して侵襲(からだへの負担)が少ないといわれています。

現在、SBRTは早期の肺がん、肝臓がん、および前立腺がんなどに行われています。

また、一部の施設では、SBRTががんの局所再発オリゴメタスタシスに対しても試験的に行われています。

膵臓がんの局所再発に対する体幹部定位放射線治療(SBRT)の安全性および有効性について

Stereotactic Body Radiation Therapy for Isolated Local Recurrence After Surgical Resection of Pancreatic Ductal Adenocarcinoma Appears to be Safe and Effective. Ann Surg Oncol. 2018 Jan;25(1):280-289. doi: 10.1245/s10434-017-6134-6. Epub 2017 Oct 23.

この研究では、切除手術後の(単独)局所再発に対して、SBRTが行われた膵臓がん患者51人を対象としました。

51人中、 26人(51%)はSBRTの以前に放射線治療を受けていませんでした。

照射線量の中央値は、トータル25グレイ(25-33グレイ)としました。

また、30人(59%)では、SBRT後に、4ヶ月間(中央値)の維持化学療法が行われていました。

結果を示します。

■ 診断後の全生存期間の中央値は、36ヶ月でした。
■ SBRT開始日からの全生存期間、無増悪生存期間、および局所無増悪生存期間の中央値は、それぞれ16、7、および10ヶ月でした(下図)。

SBRT後の全生存率

■ 手術後の無再発期間が9ヶ月以上の患者は、全生存期間が有意に延長していました(P = 0.019)。
■ SBRT後の維持化学療法は、全生存期間を有意に延長していました(P < 0.001)。
■ 痛みのあった16人中、10人(63%)では痛みが軽快していました。
■ 合併症として、5人(10%)でグレード3以上の消化管毒性(消化管閉塞や出血)が認められました。

以上の結果より、術後に(単独)局所再発をきたした膵臓がんに対するSBRTは、比較的安全であり、痛みを軽減する効果にすぐれ、また(維持化学療法と併用することで)生存期間の延長が期待できる治療法であるといえます。

SBRTのことがよくわかる本

SBRTのことを詳しく知りたいかたは、放射線科の武田篤也先生の著書「世界一やさしいがん治療」を読むことをおすすめします。

武田先生は大船中央病院(神奈川県)放射線治療センターのセンター長をされており、2000例以上のSBRTを行われたとのことです。


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佐藤 典宏

医師、医学博士、メディカル・サプリメント・アドバイザー。 消化器外科医として診療のかたわら癌の基礎的な研究もしています。 ☞ くわしいプロフィールはこちら ☞ 標準治療、代替医療、最新のがん情報についてエビデンスをまじえて紹介します。がん患者さんやご家族のかたに少しでもお役に立てれば幸いです。☞ 当ブログが本になりました!「ガンとわかったら読む本」マキノ出版 ☞ 
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