がん患者さんが勇気と希望をもらえる本『5度のがんを生き延びる技術』を紹介

以前から、がん患者さんには、同じ境遇を乗り越えてがんが治ったサバイバーの実際の体験や考え方に触れることで、「自分にもできる」という前向きな気持ちになれるというメリットがあることをお伝えしてきました。

ですから、がんから生還した患者さんの手記(闘病記)を読むことも、よい手段だと思います。

今回は、タイトルも含めて、ある意味、衝撃的な本が出版されましたので、紹介します。

「5度のがんを生き延びる技術 がん闘病はメンタルが9割」

高山知朗(たかやま・のりあき)さんの著書、「5度のがんを生き延びる技術 がん闘病はメンタルが9割」です。

YouTube「がん情報チャンネル」での紹介動画はこちらです。

じつは、高山さんのことは、以前からブログや本でご自身の病気について発信されているのを拝見していましたが、今回、これまでに経験した5つのがんの闘病記を出版されたということで、読んでみました。

高山さんは、40歳で最初のがんになり、その後、53歳の現在までに脳腫瘍、悪性リンパ腫、白血病、大腸がん、肺がんを経験したサバイバーです。

5つのがんのうち、なかには治療が難しくて生存率が低いものもあって、5つのがんをすべて合わせると、予測される5年生存率は、約2%だったそうです。

それでも、高山さんは、あきらめずに、手術、抗がん剤、放射線治療などの標準治療を受けて、現在、5つのがんはほぼ治ったということです。

この間、治療はすんなりいったわけではなく、とくに白血病の治療は自死を考えるほどつらいものだったそうですし、不安、苦痛、絶望に押しつぶされそうになったり、あるいは副作用で生死の境をさまよった日もあったということですが、そういったピンチを何度も乗り切ったわけです。

もっとも重要なポイントとして、5度にもわたるがん闘病についての経験から、がんを克服するために最も大切なことは不安や苦痛に負けない「折れないメンタル」であると述べています。

がんを乗りこえるためのフレームワーク

具体的には、どうやって、高山さんが「5つのがんを克服したのか」について、第4章の「がんを乗りこえるためのフレームワーク」を一部、紹介したいと思います。

がんという現実を受け入れる

まずステップ1は、がんという現実を受け入れる、ということです。

高山さんだけでなく、ほとんどの人は、がんの告知を受けた時、ショックで目の前が真っ暗になります。

しかし、大切なのは、できるだけ早く、自分ががんであることから目をそらさずに現実をしっかり受け入れ、その上で治療に向けて覚悟を決めることだと述べています。

目標を定める

ステップ2は、目標を定める、ということです。

これは、「生きがい」と言ってもいいと思いますが、私自身、他の患者さんを診てきた経験から、とても大切なことだと感じています。

高山さんの場合、「娘の二十歳の誕生日を、家族3人でおいしいお酒で乾杯してお祝いする」という目標でした。これは、別の言い方をすると「死ぬわけにはいかない絶対的な理由」だそうです。

たしかに、「家族や愛する人のために、絶対に生き延びる」という強い意志が、がん克服には必要なことがあります。

こういった人生の目標を持つことで、治療の方針が立てやすくなりますし、長く苦しい治療を乗りこえていくための力にもなると述べています。

主体的な患者になる

ステップ3は、主体的な患者になる、ということです。

これは、どういうことかと言うと、治療を医師や家族などの人任せにせず、患者自身が積極的に治療とその意思決定に関わるということです。

昔よくあった「先生にお任せします」は、命に対して無責任であると述べています。

まず、病気について自分で勉強すること、医師に質問して話し合うこと、医師と信頼関係を構築すること、さらに、自分自身でも、イメージ療法で治療の効果を高めること、などを実践すべきであると述べています。

「今ここ」に集中する

そして、ステップ4は、「今ここ」に集中する、ということです。

これはマインドフルネス的な考え方で、今この瞬間に意識を集中して、その瞬間をありのままに受け入れるというものです。

がん患者さんは、当然ですが、未来への不安や過去への後悔にしばられることが多いのですが、それを手放して、「今ここ」つまり、目の前にある困難を乗りこえることに集中する必要があると述べています。

そこで、マインドフルネス瞑想などを利用したり、あるいは、高山さんが述べておられる「リフレーミング」という方法を取り入れることをすすめています。

このリフレーミングとは、ものごとのとらえ方や解釈を変えることで、例えば、「もっと早くがんが見つかっていたら」という後悔について、あらためて、たとえ早く見つかっていたとしても、生存率はさほど変わらないと理論的に考え直すことで、後悔を手放したということです。

以上、高山さんの、「がんを乗りこえるためのフレームワーク」でした。

まとめ

5度のがんを乗りこえたサバイバーである高山さんの実体験から生まれた方法論だけに説得力がありますし、すべてのがん患者さんに役立つとてもいい方法だと思います。

この他にも、「がんになる前と同じ自分は目指さなくていい」、あるいは、「がんが教えてくれた幸せもある」といった、がん患者さんが励まされるお話もありました。

ぜひ読んでみてください。

 

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