トリプルネガティブ乳がんの余命(生存率)を決めるのはやっぱりナチュラルキラー細胞(免疫)だった?
トリプルネガティブ乳がんとは、ホルモン受容体であるエストロゲンレセプターとプロゲステロンレセプターおよび細胞の増殖や悪性化に関わるHER2(ハーツー)の3つがすべて陰性の乳がんのことをいいます。
乳がん全体の10~15%を占めるといわれ、35歳未満のいわゆる若年性乳がんに多いことがわかっています。
トリプルネガティブ乳がんは悪性度が高く、ホルモン療法やハーセプチンなどのHER2をターゲットとした分子標的薬の効果が期待できないため、予後が悪いとされています。
では、トリプルネガティブ乳がんの生存率を決定する因子(いわゆる予後因子)は何なのでしょうか?
今回、免疫に注目したトリプルネガティブ乳がんの予後スコアについて解説します。
トリプルネガティブ乳がんの予後リスクモデルの確立:間質NK細胞、腫瘍関連マクロファージ、Gas6
昨年(2016年)のCancer Science誌に報告された論文です。中国の研究者らは、278人のトリプルネガティブ乳がんの切除標本について、予後に関連する免疫細胞の状態およびタンパク発現について調べました。
彼らは、免疫化学染色法という方法を使い、以下の3つについて調べました。
ちなみに、NK細胞はがん細胞などの異物を排除する免疫の最前線で活躍する細胞です。一般的に、がんの近くに存在するNK細胞が減るとがんの予後が悪くなると考えられます。
またTAMは腫瘍内とその周辺に存在するマクロファージ(がん細胞を貪食・消化する免疫細胞の1種)のことで、 がんの増殖や進展に影響を与えていると考えられています。最近ではTAMが多いと予後が悪いと言われています。
さらに、Gas6は細胞増殖促進作用やアポトーシス抑制作用を持つがん関連のタンパク質のことで、その発現が陽性(高い)であると予後不良であるとされています。
これらの結果をもとにスコア化(0, 1, 2, 3)を行い、予後リスクを評価しました。
結果を示します。
以上より、間質のNK細胞、TAM、および腫瘍部のGas6の発現に基づいた予後スコアは、トリプルネガティブ乳がん患者さんの生存期間を予測する有用なマーカーであるとしています。
免疫力を高めましょう
この研究からも、やはりトリプルネガティブ乳がんの予後を決定する因子の1つはNK細胞をはじめとする免疫システムであることがわかります。
したがって免疫力を高めてがん細胞を排除することが重要です。
免疫力を高める(主にNK細胞を活性化する)ために自分自身でできることを改めてまとめておきます。
1)規則正しい生活
- 睡眠時間をしっかりとる(7~8時間)
- 適度な運動を毎日
- 禁煙
- お酒は適度に
2)ストレスを減らす生活
- くよくよ悩まない
- 瞑想、マインドフルネス、ヨガなどを取り入れる
- 笑う(おもしろいテレビ、映画、DVD、漫画などで毎日笑う)
- 森林浴など、自然にふれる機会をつくる
3)免疫力をアップする食事
- 野菜を中心としたバランスのよい食事をとる
- 腹八分目、できれば小食(1日1~2食)
- 腸内フローラ(細菌叢)をととのえる(ヨーグルトや酵素をとる)
4)体温をあげる
- できるだけ部屋をあたたかくする
- サウナや熱めのお風呂にゆっくりつかる
- 冷たい飲み物はさけ、あたたかい飲み物を飲む
- 生姜(しょうが)、養命酒などをとる
以上です。
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