大腸がんの肝転移と肺転移をあきらめない!積極的な手術(外科切除)で治る可能性は?

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遠くの臓器に転移を認める、ステージ4の大腸がんの5年生存率は、10~20%であると報告されています。

大腸がんの場合、肝臓や肺に転移することが多く、がん診断と同時に両方の臓器に転移がみつかったり、あるいは肝転移の切除後に肺転移が見つかるといったこともあります。

このような場合、一般的には全身にがんが広がっていると考え、化学療法(全身抗がん剤治療)を続けるか、緩和医療へ移行することがほとんどです。しかし最近では、完全にがんが取り除ける可能性がある場合には、肝臓も肺も積極的に切除を試みる施設も増えてきました。

はたして手術で両方の転移病変を切除することに意味はあるのでしょうか?

今回、大腸がんの肝臓および肺転移に対して、両方とも切除した後の生存期間(予後)についての解析結果が海外から報告されてました。

大腸がん肝転移および肺転移の切除後の生存率(予後):海外からの報告

Is Cure Possible After Sequential Resection of Hepatic and Pulmonary Metastases From Colorectal Cancer? (大腸がんからの肝臓および肺転移の一連の切除後に根治は可能なのか?) Clin Colorectal Cancer. 2017 Jun 23. pii: S1533-0028(17)30001-4. doi: 10.1016/j.clcc.2017.06.006. [Epub ahead of print]

フランスから発表されたこの研究では、大腸がんの肝臓および肺への転移に対して、切除術が行われた患者150人(平均年齢56歳)を対象としました。

肝転移

● 肝転移の個数は中央値3個(範囲、1~17個)でした。

● 55%の患者では、大腸がんの診断と同時に肝転移が見つかっていました。

● 51%の患者では、両葉(肝臓の右葉と左葉)に転移がありました。

● 術前の抗がん剤治療が75%の患者で行われていました。

肺転移

● 肺転移の個数は中央値1個(範囲、1~5個)でした。

● 12%の患者では、大腸がんの診断と同時に肝転移が見つかっていました。

● 40%では両側の肺に転移が存在していました。

● 術前の抗がん剤治療が65%に行われていました。

肝転移・肺転移に対する手術

● 31%の患者では、肝転移と肺転移に対して同時に切除が行われていました。

● 残りの患者では、肝転移の切除後に肺転移が見つかり、切除が行われていました。

● 肺転移切除後の肺への再発は101人(67%)に認められ、42%は肺の再手術が行われました。

これら150人の治療成績(生存期間)を調査し、また予後不良と関連する因子を同定しました。結果を示します。

■ 150人全体における生存期間の中央値は76ヶ月(6年2ヶ月)であり、5年全生存率は60%10年全生存率は35%であった(下図)。

大腸がん肝肺転移オペ症例予後

■ ①大腸がんの初診時にすでに転移があること、②肺転移手術の前のCEAが高値(> 100 ng/mL)、③肺転移手術の前のCA19-9が高値(> 37 U/mL)、および④肝臓切除と肺切除の間隔が短いこと(< 24ヶ月)の4つの因子が予後不良と相関していた。

■ 5年以上の経過観察が可能であった75人のうち、5年以上無再発で生存している患者は15人(20%)であり、完全治癒が得られたと考えられた。

以上の結果より、大腸がんの肝転移および肺転移の患者に対する、治癒を目指した外科的切除は比較的良好な結果であると結論づけています。

特に、20%(5人に1人)では5年以上にわたって無再発生存が得られており、がんの完全治癒(根治)も可能であると考えられます。

大腸がんの初診時に転移がなく、肺転移が肝転移切除後しばらく経過してから発見され、また肺転移の術前の腫瘍マーカーの上昇がない症例では、特に切除による長期生存の可能性が高まります。これらの患者さんが手術のよい適応になると思われます。

まとめ

大腸がんの肝転移、肺転移に対する切除後の5年全生存率は60%(一般的なステージ4の大腸がんでは10~20%)と比較的良好でした。

たとえ肝臓および肺に複数の転移がある患者でも、切除可能な場合には、積極的な外科切除によって長期生存の可能性があります

 


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