エビデンスに基づいた「がん患者さんのための補完代替医療」米国ガイドラインより
がんの告知を受け、治療を続ける患者さんの多くは、不安や精神的ストレスなど精神的な問題をかかえています。
また、抗がん剤などの治療にともなう副作用は、患者さんの生活の質をいちじるしく低下させます。
このような問題を解決するセルフケアの方法の一つとして、補完代替医療(または統合医療)があります。
今回、米国臨床腫瘍学会(ASCO)が推奨する「乳がん治療中または治療後の患者さんに対する補完代替医療」のガイドラインを紹介します。
乳がん患者さんを対象としたものですが、他のがん患者さんにも参考になると思います。
代替補完療法とは?
代替補完医療とは、瞑想、ヨガ、針灸、ハーブ(漢方)、サプリメント、マッサージ、アロマセラピー、音楽療法、運動療法、その他、標準治療(おもに西洋医学)の代わりに、あるいは補うかたちで行われるすべての医療の総称です。
欧米では、補完代替医療は、多くの臨床研究で有効性が認められており、エビデンスに基づいた治療として広く行われています。
一方、日本では、患者さんの心理的な問題や軽い副作用は軽視されがちで、十分な対策がとられていません。
さらに、「あやしい」といった既成概念から、まだ補完代替医療についての理解が乏しいのが現状です。
しかし、ようやく日本でも、がん患者さんの生活の質を高めるための代替補完療法の重要性が認識されるようになり、日本緩和医療学会からガイドラインやクリニカル・エビデンスが作成・公開されています。
がん患者へ推奨される代替医療
Integrative Therapies During and After Breast Cancer Treatment: ASCO Endorsement of the SIO Clinical Practice Guideline. J Clin Oncol. 2018 Sep 1;36(25):2647-2655. doi: 10.1200/JCO.2018.79.2721. Epub 2018 Jun 11.
米国の統合腫瘍学会(SIO)が2017年に発表した、エビデンスに基づく補完統合医療のガイドラインを、米国臨床腫瘍学会(ASCO)の専門メンバーが評価・承認し、推奨される治療法を提示しました。
グレードAまたはB(中等度~高い効果(有益性)が期待できるエビデンスがあるもの)の治療法は、以下のとおりでした。
● 瞑想
● 音楽療法
● リラクゼーション
● ストレスマネジメント
● ヨガ
● 瞑想(とくにマインドフルネス・ストレス低減法)
● リラクゼーション
● ヨガ
● マッサージ
● 音楽療法
● 瞑想
● ヨガ
● 指圧
● 電気鍼灸
以上が、エビデンスに基づいた推奨される補完代替医療です。
その他、サプリメントに関しては、「乳がん治療による有害事象(副作用)を軽減するというしっかりとしたエビデンスのあるものはない」という結論でした。
マインドフルネス瞑想のすすめ
上記ガイドラインによると、瞑想が不安・ストレスの軽減、抑うつ・感情障害、および生活の質(全般)に効果が期待できるとのことです。
瞑想に関しては、最近、マインドフルネスが注目されています。
マインドフルネスとは、ごく簡単にいうと、過去や未来のことをあれこれ思い悩むのをやめ、今という瞬間につねに注意を向けて、自分が感じている感覚や感情、思考をあるがままに受け入れることです。
実際に、乳がんサバイバーを対象とした臨床試験において、マインドフルネス・ストレス低減法の有用性が証明されています。
マインドフルネスについて詳しく知りたい人に参考になる本を紹介します。
マインドフルネスの初歩から学びたい方はこちら
より専門的な内容(マインドフルネス・ストレス低減法)を知りたい人はこちら
マインドフルネスの起源(ヴィパッサナー瞑想)を知りたい人はこちら
まとめ
日本では、まだまだ浸透していない補完代替医療ですが、米国からの最新のガイドラインでは、瞑想など、いくつかのセルフケアを推奨しています。
がん治療中の副作用や精神的なストレスに悩んでおられる患者さんには、上記のガイドラインを参考にし、まずは手軽にはじめられるもの(瞑想、音楽療法など)から試してみてはいかがでしょうか?
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