がん患者さん・家族のコミュニティ(SNS)を利用するメリット
がんの治療を続けるうえで、医師など医療者側からの情報だけでなく、実際に治療を受けた人からの情報が役立つことがあります。
また、同じ境遇を乗り越えてがんを克服したサバイバーがいることを知ることで、「自分もがんを克服できる」という前向きな気持ちになれるという利点もあります。
そこで、がん患者さんには、患者会やサロンに参加して、悩みを共有したり、情報収集することをおすすめしています。
最近では、がん患者さんやがんサバイバーがネット上で情報交換できるSNS(ソーシャルメディア)のコミュニティなども増えてきています。
今回は、ソーシャルメディアのがん患者コミュニティのメリットや利用する際の注意点などについてまとめてみました。
がん患者SNSコミュニティサイトのメリット
がん患者さんを対象としたコミュニティサイトでは、一般的に以下のことができます。
- 情報交換する
- 体験談を読む・投稿する
- 質問する
- 患者会などのグループがつくれる
がん患者さん(および家族)が、SNSコミュニティに参加するメリットをあげてみます。
- 匿名でできる
- 手軽にはじめられる
- 自宅にいながら(あるいは入院中でも)参加できる
- 都合のいい時間に利用できる
- 多くの人から意見や体験談を得ることができる
- 自分の体験が他のがん患者さんの役に立つことがある
- 本音で話しやすい(面と向かって聞きにくいことも質問できる)
このようなメリットがあると考えられます。
がん患者SNSコミュニティサイトを利用する際の注意点
一方で、顔が見えないコミュニケーションにはリスクもあります。
たとえば、
- 医学的に間違った情報が伝わる可能性があること
- 特殊ながん治療(代替医療、民間療法など)、高額なサプリメントなどをすすめられる
などのリスクもあります。
すべての情報を鵜呑みにするのではなく、あくまで1つの例として参考にするといった付き合いかたが理想です。
また、がんサバイバーにすすめられたセルフケアなどを取り入れたい場合には、主治医や家族に相談してから試しましょう。
代表的ながん患者さんのためのSNSコミュニティサイト
代表的ながん患者さんのコミュニティサイトを紹介します。
5years
https://5years.org/
5years(ファイブイヤーズ)は、NPO法人5yearsが運営する日本最大級のがん経験者コミュニティです。
がん患者さんと家族が思い悩むさまざまな問題を解決するために情報交換をする場として多くの人に利用されています。
すべての種類のがん患者さんが参加可能であり、2019年8月18日の時点で7446名もの登録者を数えています。
以下に、「サイトへ登録する意義」を引用します。
がん患者さん、ご家族、経験者の方
がんという病気を患うと、解らないことだらけの中に身を置くことになります。
治療中の患者さんはもちろん、ご家族も同様に解らないことだらけの状況になると思います。
だけど、もし、みんなが自分の体験・知識を教えあえば、自分が探し求めている情報が見つかりやすくなるはずです。
ご自身の貴重な経験は、必ず、誰かの役に立ちます。
だから、このサイトに登録して、体験プロフィールを掲載してください。
「5years」登録者になれば、登録している人たちとコミュニケーションができます。
また、このサイト上で5years登録者たちが「教えてください」と掲載する質問の中で、ご自身の経験が役立ちそうであれば、ぜひ教えてあげてください。
そして、みんなで、がんを乗り越えていきましょう!
Peer Ring (ピアリング)
https://peer-ring.com/
乳がん・子宮がん・卵巣がんなど、女性特有のがんに直面する人のためのピアサポート・
ダイアリー&質問機能で、同じ病気・似た状況のなかまとつながり、安心して情報交換できるささえあいの場です。
8月18日現在、会員数3,847人となっています。
Peer Ringの目指すこと
治療をがんばっている自分、病気に向き合う自分を記録したい
自分と似た状況の人とつながり、はげましあいたい
つらい状況を乗り越えた今、過去の自分と同じように闘っている仲間を応援したい
Peer Ring はそんな想いをカタチにする
コミュニティです。
あなたの参加をお待ちしています。
サバイバーネット
https://sns.gsclub.jp/login
サバイバーネットは、日本対がん協会が、がん告知経験者やそのご家族や支える人たち向けに開設したWEBサイトサービスです。
以下に、サバイバーネットの4つの特徴(機能)を紹介します。
1.自分の経験を記録できる
がん患者や家族として、自らの経験を記録することができます。また、カレンダー機能を使えば、ブログを書くイメージで、その日の出来事や検査結果、次回の診察日の予定などを書き込むことができます。
書き溜めた内容は、闘病記として、サバイバーネットの利用者に公開することもできます。
2.友達登録で直接つながる
自分と同じ治療や同じような立場の人とつながりたい。直接相談したり、もっと体験談を知りたい! そんなときには「友達登録」です。
同じ病気や同じ薬を使っている人、また、公開範囲を設定したプロフィールから自分に近い人を検索したりできます。
友達申請・承認のうえで、メッセージのやり取りが可能です。「自分の経験が誰かの役に立った」と思えることは、生きがいにもつながります。
3.グループ機能で患者会などをつくる
実際の入院なら、同じがん種、同じ病室、年齢が近い、同じ治療をした等で、患者同士で親しくなり、患者会などのグループをつくろうと発展することもあります。
サバイバーネットのグループ機能を使えば、ネット内で知り合った仲間と手軽にグループをつくれます。
現在、がんサバイバー・クラブのサイトでご紹介している全国の患者会情報も、サバネット上で表示されるようになります。
4.イベント情報などを伝える
グループができれば、イベントなど活動予定の通知が必要になります。サバイバーネット上で、グループで開催するイベントを登録すると、グループのメンバーに自動的に伝えられます。毎週行うサロンも1度にまとめて登録できます。
それによって、会のホームページや活動情報を独自に作成・更新する労力と時間を短縮できます。
がんサバイバー・クラブのサイトに掲載しているイベント情報も、サバイバーネット上で表示されるようになります。
くわしい操作方法は、以下の動画で解説されています。
PanCafe
https://pancafe.net
PanCafeは、膵臓がんサバイバーである木下義高(キノシタ)さんが運営する「膵臓がん患者とその家族、ご遺族が参加できるSNS(コミュニティサイト)」で、以下の特徴があります。
- PanCafeは『膵臓がん患者と家族の集い』のオンラインの集まりという趣旨で開設しました
- 会員登録は無料です
- 会員にならなくても、投稿を読むことはできますが、投稿をするには会員となることが必要です
- 会員同士でプライベートメッセージを交換できます
- 会員は「グループ」を立ち上げて、特定の話題について交換することができます
- 「グループ」には公開と非公開があり、非公開にすると、そのグループのメンバー以外は投稿内容を見ることができません
PanCafeは、2018年10月にスタートし、10ヵ月で参加メンバーが200人になったとのことです。
PanCafeの参加メンバーが200人になりました。
PanCafeは、膵臓がん患者とその家族、ご遺族が参加できる、無料のSNS(コミュニティサイト)です。 https://t.co/Bs4gRFUVkB pic.twitter.com/7JMpTdqQa8— キノシタ (@Oncle1316) August 18, 2019
以上、代表的ながん患者さんのためのSNSコミュニティサイトでした。
まとめ
がん患者さんや家族を対象としたSNSコミュニティサイトが増えています。
がんの体験談をシェアしたり、治療や日常生活についての質問などが気軽にできるのがメリットです。
一方で、間違った情報が伝わるなどのリスクもあります。すべての情報を鵜呑みにするのではなく、あくまで1つの例として参考にするといった姿勢が大切です。
いずれにしても、同じ病気の人や病気を克服した人から得た情報は貴重ですので、試しに参加してみてはいかがでしょうか?
PanCafeをとり上げていただき、ありがとうございます。
サバイバーネットの中にもグループ『膵臓がん患者と家族の集い』を作ったのですが、メンバーは私だけで閑散としてます。