タマネギに驚きの抗がん成分:オニオンA(ONA)は卵巣がんの発育を抑制する
卵巣がんは、女性のがんの中でも非常に予後の悪いがんです。
特に、進行した卵巣がんの場合、がんが腹膜へ転移(播種:はしゅ)したり、腹水がたまることが多いのですが、手術で完全に切除することが困難となり、また抗がん剤もあまり効かないことが問題となります。
したがって、抗がん剤の治療効果を高める新たな治療戦略が必要と考えられています。
今回、日本から、あのタマネギの成分が卵巣がんの治療に有効であるという研究結果が報告されました。もともと食べ物からの成分であり、副作用などが少ないことが予想され、今後のがん治療に向けての応用が期待されます。
卵巣がんについて
現在日本では、卵巣がんに罹患する女性が毎年約1万人を超え、その死亡者は年間約5000人にもせまろうとしています。
卵巣がんの治療は、原則的に手術(外科療法)ですが、手術だけで完治することは極めてまれです。その理由としては、卵巣がんは発見されたときには進行がんが多いこと、また早期がんでも、種類によっては再発の危険が高いことがあげられます。
したがって、多くの場合、手術と薬物療法(抗がん剤治療)とを組み合わせて行われます。
現在、卵巣がんに対する標準的な化学療法としては、タキサン製剤(パクリタキセル、ドセタキセルなど)とプラチナ製剤(カルボプラチン、シスプラチン)の併用療法ですが、再発あるいは転移性の卵巣がんでは、多くの場合抗がん剤治療の効果は限定的です。
先日発表された、全がん協による卵巣がんの10年相対生存率(診断後10年目に生存している人の割合)では、ステージIが82.0%、ステージIIが58.9%、ステージIIIが18.1%、さらにステージIVでは15.7%と、進行がんではきびしい状況が明らかとなりました。
タマネギの成分オニオンA(Onion A:ONA)が卵巣がんを抑制する
熊本大学のTsubokiらは、タマネギから抽出された新しい成分であるオニオンA(ONA)の卵巣がんに対する治療効果を、免疫細胞であるマクロファージとの関係を含めて調べました。
マクロファージとは免疫に関係した細胞であり、特にがんを取り巻くマクロファージは腫瘍随伴マクロファージ(TAM)と呼ばれています。
このTAMですが、以前はがん細胞を直接攻撃したり、抗腫瘍免疫の一員としてがん細胞の増殖を抑制する事で抗腫瘍作用を示すと考えられてきましたが、最近では逆にがん細胞の増殖を促進する作用があることがわかってきました。
今回、このオニオンAについて、卵巣がん細胞の増殖抑制効果、マクロファージに対する抑制効果、他の抗がん剤との併用効果、さらにマウスの卵巣がんモデルにおける抗腫瘍効果について調べています。
結果を示します。
Sci Rep. 2016 Jul 12;6:29588. doi: 10.1038/srep29588.より引用(一部改変)
まとめ
タマネギから抽出された新成分オニオンA(ONA)は、卵巣がんに対して、単独で、またシスプラチンとの併用において、抗腫瘍効果を示しました。
また、このオニオンAの抗腫瘍効果には、腫瘍を増殖させるマクロファージの機能抑制が一部で関与している可能性が示されました。
これまでにも、タマネギにはケルセチン(フラボノール)、硫化アリルやイソチオシアネートといった抗がん作用をもった成分があることがわかっていました。
今回の研究から、タマネギのさらなる抗がんパワーが明らかとなりました。
今後のさらなる研究が必要ですが、オニオンAそのもの、あるいはタマネギを主体としたがんに対する食事療法の臨床試験が待たれます。
タマネギをとりましょう!
というわけで、毎日の献立にタマネギを使ってみましょう。
タマネギを使ったレシピ
タマネギを使った料理としては、カレーやオニオングラタンなどは定番ですが、オニオンサラダ、オニオンスープ、オニオンリング、焼きタマネギ、タマネギの煮物、(牛肉や豚肉との)炒め物、卵とじ、マリネ、和え物、などなど・・いっぱいありますね!
ピロコさんによるタマネギの酢漬けを紹介します。
美味しそうですね。
工夫次第ではタマネギのレシピは数え切れないほどありそうです。
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