プロバイオティクスでがん治療:乳酸菌由来の新規抗がん物質フェリクロームとは?

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プロバイオティクスとは、乳酸菌やビフィズス菌など、腸内フローラ(腸内細菌叢)のバランスを改善し、人体に有益な作用をもたらす生きた微生物(いわゆる善玉菌)のことです。

最近、プロバイオティクスには、整腸作用はもちろんのこと、過剰なアレルギー反応の改善やがんを抑制する効果もあることがわかってきました。

実際にいくつかの実験では、乳酸菌などのプロバイオティクスによる抗がん作用が証明されています。しかし、そのメカニズムやどのような物質/分子が関与しているかについてはよくわかっていません。

今回、乳酸菌由来の物質フェリクロームによる抗腫瘍効果とそのメカニズムについて紹介します。

乳酸菌由来の新規抗がん物質フェリクロームによる大腸がんの抑制

旭川医科大学の研究チームは、乳酸菌由来の物質フェリクロームの大腸がんに対する強力な抗がん作用について、英国の一流科学雑誌ネイチャー・コミュニケーションズ誌に報告しています。

Probiotic-derived ferrichrome inhibits colon cancer progression via JNK-mediated apoptosis. Nat Commun. 2016 Aug 10;7:12365. doi: 10.1038/ncomms12365.

彼らは、乳酸菌(ラクトバチルス・カゼイ)の培養液から、大腸がん細胞に対して抗腫瘍効果を有する物質を発見し、単離しました。これが、フェリクローム(ferrichrome)です。

試験管内および動物(マウス)実験において、大腸がん細胞に対するフェリクロームの抗腫瘍効果とそのメカニズムについて詳細に検討しました。

以下に結果を示します。

■ フェリクロームは試験管内で大腸がん細胞の増殖を抑制し、またアポトーシス(プログラムされた細胞死)を誘導した。一方、正常の細胞(腸上皮細胞)の増殖には影響を与えなかった。
■ フェリクロームによる大腸がんの増殖抑制作用は、抗がん剤である5-FUやシスプラチンよりも強力であった。
■ フェリクロームは、マウスに移植した大腸がんの増殖をほぼ完全に阻害した(下図)。

フェリクローム マウス大腸がんモデル

■ フェリクロームによる大腸がん細胞の細胞死(アポトーシス)には、JNK(c-jun N-terminal kinase)の活性化が関与していた。

以上の結果より、乳酸菌由来のフェリクロームは、JNKシグナル経路を介して強力な抗腫瘍効果を発揮することがわかりました。

まとめ

乳酸菌由来のフェリクロームは、大腸がん細胞にアポトーシスを誘導し、腫瘍増殖を抑制することが示されました。乳酸菌による抗がん作用のメカニズムの1つとして、フェリクロームの重要性が示されました。

このフェリクロームは食品に用いられている乳酸菌由来であることより、比較的安全であると考えられます。

プロバイオティクスの抗がん効果を裏付ける新たなエビデンスであり、今後フェリクロームを使った新薬や機能性食品の開発が期待されます。

プロバイオティクスを摂取しましょう!

善玉菌は、腸内を通過し、やがて体外に排泄されてしまいます。

そこで、腸内フローラをベストな状態にするためには、毎日、乳酸菌をはじめとした善玉菌をできるだけたくさん摂る必要があります。

より効率的にプロバイオティクスをとる方法として、乳酸菌飲料(ヤクルトなど)や乳酸菌のサプリメントなどもあります。

ヤクルトからは、乳酸菌シロタ株(プロバイオティクス)と、腸内の乳酸菌を増やすガラクトオリゴ糖(プレバイオティクス)の両方がミックスされた乳製品乳酸菌飲料(ヤクルト400Wやシンバイオティクス ヤクルト W)も販売されています。

ヤクルト400W(九州地区限定)

シンバイオティクス ヤクルト W(ヤクルト)

 

また、海外から並行輸入などで比較的安いプロバイオティクスのサプリメントが入手できますので、こちらを利用するのもいいでしょう。

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プロバイオティクスは便から排出されますので、毎日とる必要があります。

プロバイオティクスとプレバイオティクスを積極的にとりましょう。


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