進行肝細胞がんにオプジーボが有効:第1/2相試験(CheckMate040)の結果報告
肝細胞がんは肝臓にできる腫瘍の最も一般的なタイプです。日本における肝細胞がんの最大の原因はC型肝炎ウイルスであり、およそ70%を占めています。アルコール性の肝炎・肝硬変が肝細胞がんの原因となることもあります。
また最近、アルコール摂取がないにもかかわらず脂肪肝からNASH(ナッシュ)とよばれる肝炎に進行し、その過程で発生した肝細胞がんが増加しています。
新たな抗がん剤などの導入にもかかわらず、肝細胞がんで死亡する患者さんは毎年3万人を超えています。特に進行した肝細胞がんの場合、使用可能な抗がん剤の種類やその成績も十分とは言えず、新たな治療法開発が待たれています。
今回、免疫チェックポイント阻害剤ニボルマブ(オプジーボ)の肝細胞がんに対する第1/2相臨床試験の結果が報告されました。
免疫チェックポイント阻害剤ニボルマブについて
そもそも人にはがん細胞を排除する免疫監視システムが備わっています。一方で、この免疫にも暴走しないようにブレーキがあります。このブレーキのひとつが、免疫チェックポイント分子PD-1(programmed cell death-1)と呼ばれる「カギ穴」です。このPD-1に、PD-L1およびPD-L2というがん細胞が持っているカギが結合すると、免疫細胞にブレーキがかかり、がん細胞に対する攻撃をやめてしまうのです。
抗PD-1抗体のニボルマブ(オプジーボ)とペムブロリズマブ(キイトルーダ)は、このPD-1に先回りして結合することで、PD-1とPD-L1およびPD-L2の結合をじゃまします。これにより、免疫細胞にかかっていたブレーキを解除することができ、再びがん細胞への攻撃力を高めることができるのです。
現在日本では、ニボルマブ(オプジーボ)は悪性黒色腫(メラノーマ)、非小細胞肺がん、および腎細胞がんに承認を受けています。
またオプジーボは、ホジキンリンパ腫、頭頸部がん、および胃がんに対しても承認申請をしています。これらが承認されれば、オプジーボは6種類のがん治療への使用が可能になります(下図)。
またニボルマブは他の種類のがんに対しても臨床試験中であり、その1つが肝細胞がんです。
肝細胞がんに対するニボルマブの第1/2相臨床試験(CheckMate040)
CheckMate040試験は、米国、ヨーロッパや日本を含む様々な国で合同で行われた多施設研究で、慢性ウイルス性肝炎(C型肝炎またはB型肝炎)の有無を問わず進行した肝細胞がんの患者さんを対象とし、ニボルマブ単独治療の安全性と有効性を調査した試験です。
全部で262人(48人が用量増量パートで214人が拡大パート)が治療を受け、最終的に202人(77%)が治療を完遂することができました。現在も追跡調査中です。
おもな結果を示します。
以上の結果より、ニボルマブ単独療法は安全で比較的良好な奏功率を示し、肝細胞がんに対する新たな治療法として有望であると結論づけています。
この結果をうけ、現在、進行肝細胞がんに対する第3相試験(分子標的薬ソラフェニブとの比較試験)が行われています。日本でも患者さんを募集していますので、詳しくはこちらをどうぞ。
進行肝細胞がん患者の一次治療としてニボルマブとソラフェニブを比較する無作為化多施設共同第3相試験
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