進行がんに伴うカヘキシア(悪液質)に効果が期待される栄養素・サプリメント5つ
進行がん患者にみられるカヘキシア(悪液質)とは、骨格筋の持続性の喪失を特徴とした栄養障害であり、食事がとれなくなることに加え、癌による代謝の異常や全身の炎症が原因と考えられています。
カヘキシアはがん患者のQOLを著しく低下させ、また死亡の直接的な原因となるため、これを防いだり、治療することが重要です。これまで、カヘキシアの予防あるいは治療法の発見・確立を目的として、多くの実験や臨床試験が行なわれてきました。
今回、ヨーロッパ緩和ケア研究プロジェクトが、これまでに報告されたがん患者での臨床試験の結果を総合的に調査し、がん患者のカヘキシアに効く可能性がある栄養素・サプリメントについて最新の報告をまとめました。
カヘキシアに効果が期待される栄養素・サプリメント5つ
ヨーロッパの緩和ケア研究グループが、カヘキシアの治療に関するガイドラインを作成するために、過去に報告されたカヘキシアの治療についての論文を総合的に再調査しました。
人における臨床試験によって、カヘキシアに対する治療効果や生存期間の延長などが証明されたビタミン、ミネラル、プロテイン、および他のサプリメントについて解説しています。
このうち、ある程度のエビデンス(医学的根拠)に基づき、カヘキシアに効果が期待される栄養素・サプリメントを5つ紹介します。
1.ビタミン(ビタミンC、D、E)
主にビタミンCを中心に、様々なビタミンがカヘキシアに有効かどうかを調べる研究が行なわれています。
このうち、ビタミンCのサプリメントが39名の進行がん患者に投与され、身体・認知機能、食欲低下、疲労感、および吐き気などを改善し、生活の質を高めたという報告があります。
また、ビタミンDの投与が前立腺がん患者の筋力を改善したという報告があります。
さらに、60人の進行がん(乳がん、消化管がん、肺がん、肝臓がん、膵臓がん)患者を対象とした試験では、ビタミンEとオメガ3脂肪酸の組み合わせによって生存期間が延長したと報告されています。
したがって、ビタミン(おもにC,D,E)の摂取が、カヘキシアの治療に有効な可能性があり、この点からも、癌患者さんにはマルチビタミンの摂取をおすすめします。
2.オメガ3脂肪酸(EPA, DHA)
オメガ3脂肪酸は体で合成されない必須脂肪酸の一種で、αリノレン酸、エイコサペンタエン酸(EPA)、ドコサヘキサエン酸(DHA)などが含まれます。
オメガ3脂肪酸(特にEPA)は炎症を抑え、カヘキシアの治療にも有効である可能性が示されています。
前述のように、60名の進行がん患者を対象とした臨床試験では、オメガ3脂肪酸とビタミンEの併用によって、一部の進行がん患者の免疫機能が改善し、最終的に生存期間が延長したと報告されています。
さらに最近の報告では、オメガ3脂肪酸が進行膵臓がん患者の体重を増加させ、カヘキシアの改善をもたらすことが明らかとなりました。
このようにオメガ3脂肪酸(とくにEPA)はカヘキシアの治療に有効である可能性が高いサプリメントとして期待されています。
EPAを中心に、オメガ3脂肪酸がしっかりと摂取できるサプリメントはこちらです↓
3.HMB、アルギニン、グルタミン
HMBとは3-ヒドロキシイソ吉草酸(β-hydroxy-β-methylbutyrate)の略で、必須アミノ酸の「ロイシン」の代謝物のことです。最近、このHMBが筋肉の分解を防ぐサプリメントとして注目を集めています。
動物を用いたカヘキシアのモデルでは、HMBの投与が筋肉重量および体重の減少を防ぐことが示されています。
カヘキシアを認める32人の進行がん患者(ステージ4)を対象としたランダム化比較試験において、HMB、アルギニン、およびグルタミンの併用投与は、除脂肪体重の増加、心的状態の改善、脱力感の改善など、全体的にカヘキシアに対する効果がみられたと報告されています。
さらに、カヘキシアと似た病態であるサルコペニア(筋肉やせ/筋力低下)を認める高齢の胃がん患者さんに、術前から運動療法(握力トレーニング、ウォーキング、レジスタンス運動)と栄養サポート(必要カロリー+タンパク質摂取のアドバイス)に加え、HMBの投与を行ったところ、サルコペニアが改善し、重大な術後合併症はみられなかったとのことです。
まだ人における臨床データは少ないですが、カヘキシアの予防・治療のため、HMBの摂取が有効と思われます。
わたしが実際に飲んでみて、オススメするのはこの2つです。
スポーツ関連で多数の研究に使用された実績のあるMetabolic Technologies社のHMBカルシウムを使用しています。
まるでガムのボトルのようです(笑)。
カプセルタイプです。
1日8粒で、2,000mgのHMBカルシウムを摂取できます!
次におすすめは、こちらの協和食研 HMBタブレット 360粒です!
袋に入ってます。
こちらはタブレットです。どちらも飲みやすいですね。
国産の原料を使用しており、1粒に250mgのHMBカルシウムを含んでいます。
1日8粒(推奨摂取量は6~12粒)で2,000mgとなります。
こちらの方が若干、コストパフォーマンスがいいようです。あとは、「カプセルとタブレット(錠剤)タイプのどちらが好きか」で選んでもらえればよいと思います。
4.BCAA
分岐鎖アミノ酸(BCAA)とは、必須アミノ酸であるバリン、ロイシン、イソロイシンのことを言います。
このBCAAにはタンパク質の分解を抑制し、合成を促進する作用があります。実際に、BCAA製剤の投与は、肝硬変患者における低アルブミン血症を改善し、生存期間を延長させる効果が証明されています。
いくつかの小規模な臨床試験において、BCAAを50%含む静脈栄養が、カヘキシア患者におけるタンパク(アルブミン)産生を増加させることが証明されています。
[ 大容量約1.2kg ] エクステンド (BCAA+Lグルタミン+シトルリン) ※グレープ風味 [海外直送品]
5.L-カルニチン
L-カルニチンは、必須アミノ酸のリジンとメチオニンから生合成される化合物であり、脂質の代謝に必要不可欠な物質です。最近ではダイエットのサプリメントとしても知られています。
72人の進行した膵臓がん患者を対象とした臨床試験において、L-カルニチンのサプリメントによって体格指数(BMI)が増加した(一方、コントロールでは減少)とのことです。
また、L-カルニチンの投与によって栄養状態およびQOLも改善し、(有意差はなかったものの)全生存期間も延長する傾向にあったとのことです。
L-カルニチンは薬局やアマゾンなどで比較的安く購入できます↓
まとめ
以上、これまでの臨床試験の結果から、カヘキシアの予防や治療に有効な可能性があるサプリメントとして、ビタミン、オメガ3脂肪酸、HMB、BCAA、L-カルニチンが期待されています。
今後のさらなる研究によって、これらのサプリメントのベストの組み合わせなどが確立されることと思います。
応援よろしくおねがいします!
いつも応援ありがとうございます。 更新のはげみになりますので、「読んでよかった」と思われたら クリックをお願いします_(._.)_!
↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓