膵臓がんの予後(生存期間)を決めるのはやっぱり腫瘍の大きさだった!早期発見の重要性
膵臓がんは、多くの場合、進行した状態で発見されることが多いがんです。このため、治療が非常にむずかしく、すべてのがんの中でも最も予後(治療成績)が悪いがんです。
膵臓がんの予後を決める因子は、ステージ(がんの進行度)、転移の有無など、いろいろと報告されています。
今回、イタリアとアメリカの研究チームから、大規模な膵臓がん患者さんの予後を決める因子についての解析結果が報告されました。
この研究結果では、がんの大きさ(サイズ)が最も予後に関係していたことが分りました。
1507名の切除術を受けた膵臓がん患者における解析
研究チームは、1998年から2012年までに切除をうけた1507名の膵臓がんの患者さんを対象に、腫瘍の大きさ、広がり具合、ステージ、リンパ節転移、腫瘍マーカー(CA19-9)の値などいろいろな因子と予後(生存期間)との関係を詳しく調査しました。
ちなみに、腫瘍の大きさは、術前の画像検査で計測した大きさと、実際に切除した標本の病理検査で計測した大きさの2種類を調べました。
Ann Surg 2016, Jun 17. [Epub ahead of print]
腫瘍の大きさ(サイズ)が最も予後と関係
解析から次の結果が得られました。
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20 mm以下の小さな腫瘍をもつ患者の生存期間は33ヶ月であり、それ以上の大きな腫瘍の患者の生存期間の23ヶ月よりも長かったが、膵液ろう(膵液がもれる)など術後の合併症が多く、また手術による死亡率も高かった。
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腫瘍の大きさ(実際に切除標本で測定した大きさ)は、CA19-9、悪性度(組織グレード)、リンパ節転移と同様、予後と有意に関係していた(ハザード比1.26)。
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術前の画像検査で測定した腫瘍の大きさ(中央値23 mm)は、実際の大きさ(中央値30 mm)より有意に小さく、予後との関係を認めなかった。
以上の結果より、膵臓がんでは、腫瘍の大きさが最も予後に関係する因子であることが分りました。
つまり、「がんが2センチ以上になると、治療がむずかしく、生存期間が短くなる」ということです。
また、術前の画像検査で計測したばあい、腫瘍の大きさを過小評価(実際より小さく評価)することが分りました。したがって、著者らは、画像検査で2センチを超えている場合には、術前の抗がん剤治療を考慮した方がいいのではないかと結論づけています。
膵臓がん早期診断の重要性
この研究結果からも、膵臓がんの早期発見の重要性があらためて確認されました。つまり、できるだけ腫瘍のサイズが小さな段階で発見することが、治療成功の鍵をにぎっているのです。
膵臓がんを早期に発見するためにはどうしたらよいのでしょうか?
現在、膵臓がんを早期に発見する簡便な検査法はありませんし、確立された「膵臓がん検診」というものもありません。
膵臓がんをできるだけ早期に発見するためには、年に1回は人間ドック(あるいはがんドック)でがんのチェックをするのが理想です。
また、膵臓がんを発症するリスクの高い人は積極的に専門施設(総合病院など)や、がんドックの受診などを受けていただく必要があります。
膵臓がんの危険因子(どんな人が膵臓がんになりやすいか?)
膵臓がんの危険因子(なりやすい因子)として、以下のことが報告されています。
■糖尿病の人(とくに、最近発症した人)
■膵管内乳頭粘液性腫瘍(一般的にIPMNと呼ばれています)や、膵のうほうのある人
■慢性膵炎の人
■肥満体型の人
■喫煙習慣のある人
■大量飲酒の習慣のある人
これらの危険因子(とくに2個以上)に当てはまる方や、膵臓がんが心配な方は、一度がんドックを受けてみませんか?
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