このたび、青春出版社より「がんにならないシンプルな習慣」を出版させていただきました。
「がんにならないシンプルな習慣」とは？
この本では、多くのがん患者さんをみてきた経験とがん研究者の立場から、科学的根拠（いわゆるエビデンス）にもとづいた「がんにならない方法、がんが再発しない方法、そして、がんになっても死なない生活習慣」について、わかりやすく紹介しています。
- 過去にがんを経験した人
- 今まさにがんと闘っている人
- がんの再発をおそれている人
- がんで死にたくないと思っている人
こういった方にぜひ読んでいただきたいと思います。
「はじめに」より一部を抜粋して紹介します。
たとえば、一つの食べ物についても、「がんに効く」という人がいる一方で、「がんには効果がない」という人もいて、様々な情報が混在しています。
私が担当する患者さんのなかにも、がんのことをよく理解していない人や、間違った情報を信じている人が少なくありません。
わたしは現在、大学病院で外科医として働いています。がん診療連携拠点病院のため、多くのがん患者さんが受診され、わたし自身もすい臓がん手術を中心に、これまでに１０００件以上の外科手術をおこなってきました。過去にはアメリカの大学でがん研究をしていたこともあり、今でも時間を見つけては世界中の論文を読み、がんの最新情報を集めています。
そうしてたくさんのがん患者さんを診察し、治療後の経過を観察していくなかで、がんにかかりにくい人、かかっても治療がうまくいく人、治療後に再発しない人のおおよその傾向が見えてきました。そして、それはわたしたち医療者による治療の成果というだけでなく、患者さん自身が患者さんにしかできないことを意識的におこなっていただいたことで、がんを遠ざけられたということがわかってきました。
それが本書で紹介する、がんに対する心構えであり、食事、運動、睡眠などの生活習慣であり、ストレス対処法なのです。
そのいずれも、世界の最新の研究で「科学的根拠がある」と裏づけられているので、安心しておこなっていただいていいものばかりです。
がん治療には、手術、抗がん剤、放射線治療の「３大療法」以外にも、免疫治療、先進医療、補完代替医療など、たくさんの選択肢があります。いずれも医学の進歩で日々精度が高まっています。
ただ、どの治療法を選んだとしても、患者さん自身の心構えや生活習慣、ストレス対処法あっての効果的治療だということを、長年がん治療にかかわって実感しています。
ぜひ本書で、がんに対する正しい知識を身につけ、がんの告知を受けて不安な毎日を送っている人や、治療後に再発を恐れている人が、少しでも明るく前向きに生きることができるように願っております。
がんは増えている
今、がんになる人はどのくらいいるかご存じですか？
日本では、年間じつに１００万人以上が新たにがんにかかると報告されています。
つまり、おおざっぱに言って毎日「２７００人」以上の人ががんの告知を受けている計算になります。
がんは本当に特別な病気ではなく、ごく身近な病気になってきました。
がんにならない方法、がんで死なない方法とは？
おそらく、みなさんは、漠然と「がんは怖いな」、「がんになりたくないな」あるいは「がんになったとしても、長生きしたい」と思っていることでしょう。
でも、毎日の生活のなかで、「がんにならないため」あるいは「がんで死なないため」に具体的に何をすべきかという質問に対して、きちんと答えられる人は少ないと思います。
じっさいに、ある調査によると、60歳未満の成人の男女のうち「これまでがん予防を意識して何かしら対策をした経験がある」と答えた人は、わずかに20％以下だったそうです（株式会社GMSが2018年に実施したがんに関する調査結果）。
GMS調べ 「がんに関する意識調査 2018（https://www.g-ms.co.jp/news/cancer_questionnaire_2018/）」より改変引用
つまり、多くの人が、いつかはがんになる可能性があると知っていて、がんは怖いと思っているにもかかわらず、がんを遠ざける対策はとっていないということです。
そこで今回、がんをおそれている人、そして、実際にがんを経験した人のために、がんを遠ざける生活習慣として、エビデンスにもとづいた食事、運動、睡眠、ストレス対処法、がんに対する心構えなどを、1冊の本につめこみました。
毎日の生活にとりいれて頂ければうれしく思います。
動画での紹介はこちらになります。