黒にんにく(発酵ニンニク)はがん患者にいいのか?免疫システム(NK細胞)への影響
最近、患者さんからいただいた手作りの黒にんにく(熟成にんにく)にハマっています。
甘くて美味しいし、食べだしてから何となく疲れが減ったような気がします(あくまで私個人の感想です(笑))。
この黒にんにくですが、調べてみると過去にがん患者さんの免疫との関係を調べた研究がありました。
今回は、にんにくのがん予防効果および黒にんにくががん患者さんの免疫におよぼす影響について解説します。
にんにくのがん予防効果
そもそも、にんにく(ガーリック)はがん予防に有効な食べ物として、アメリカのデザイナーフーズの頂点に位置します。
以前、にんにくのがん予防効果について記事を書きましたが、にんにくにはがんを抑制する成分(二硫化アリルなど)が含まれています。
また最近、ランダム化プラセボ対照比較試験において、ピロリ菌の除菌と同様に、ビタミンまたはにんにくのサプリメントが胃がんの死亡率を低下させることが報告されました。
Effects of Helicobacter pylori treatment and vitamin and garlic supplementation on gastric cancer incidence and mortality: follow-up of a randomized intervention trial. BMJ. 2019 Sep 11;366:l5016. doi: 10.1136/bmj.l5016.
この研究では、にんにくのサプリメントを長期に摂取することで、胃がん死亡リスクを34%も低下させることができるとしています。
にんにくは、人においてがん予防効果が証明されたエビデンスがある食べ物といえるでしょう。
発酵にんにくがナチュラルキラー細胞(NK細胞)の数と活性を高める
調べたところ、発酵にんにくの抽出液ががん患者のNK細胞に与える影響についての論文がありましたので紹介します。
Aged garlic extract prevents a decline of NK cell number and activity in patients with advanced cancer. J Nutr. 2006 Mar;136(3 Suppl):816S-820S. doi: 10.1093/jn/136.3.816S.
対象は、手術不能の進行がん患者50人(肝がん42人、膵臓がん7人、結腸がん1人)でした。
発酵にんにくエキス(Aged garlic extract (AGE) )群とコントロール群にランダムに割り付けました。投与期間は6ヶ月間としました。
その結果、生活の質には差が見られませんでしたが、NK細胞の数および活性ともに発酵にんにくエキス群で有意に増加していました(下図)。
この結果より、発酵にんにくはがん患者さんの自然免疫系を活性化することが示されました。
もちろん「黒にんにくでがんが消える」といった極端な話をするつもりはありませんが、がん治療にもよい影響がでる可能性があります。
黒にんにくの作りかた
黒にんにくの作り方は比較的簡単で、生のにんにくを炊飯器に入れ、保温で1週間~1ヶ月間発酵させるだけだそうです。
ただし、においがきついため家の中ではできないそうですし、炊飯器に臭いがこびりついて二度と他の調理には使えなくなるそうです。
結構、手間がかかりますし、覚悟がいります(笑)。
そこで、市販のものを利用するのがお手軽です。
私が以前ためしてみて美味しかったものを紹介します。
通常のにんにくと違い、臭くないのもうれしいですね。
最初はクセがあるので食べにくいかもしれませんが、慣れくると本当に美味しく感じます。
好き嫌いがあるとは思いますが、ぜひ一度お試しください。