緑茶抽出物(カテキン)が大腸ポリープ/大腸癌を予防する:ランダム化比較試験
緑茶はすぐれた健康飲料であり、心臓病や脳血管疾患、およびがんを予防する効果があるといわれています。
実際に、緑茶を習慣的に摂取する人たちでは、これらの疾患で死亡するリスクが減少するという研究結果が示されています。
特に緑茶の成分であるカテキンには抗酸化作用や抗血管新生作用があることより、がんの予防や治療に有効ではないかと考えられてきました。さらに、多くの実験において、カテキンによるがん細胞の増殖抑制効果や転移阻害作用が示されています。
一方で、国立がん研究センターによるがんの種類別の検討では、緑茶が女性における胃がんの予防には効果があることが示されていますが、大腸がんの予防については明らかな関連はなかったと報告されています。
今回、緑茶抽出物による大腸ポリープ/大腸がんの予防効果についてのランダム化比較試験の結果が報告されました。
大腸ポリープ・大腸癌の予防に関する緑茶抽出物の効果
大腸がんは、大腸にできるポリープのうち、腺腫(せんしゅ)という良性腫瘍が、時間の経過とともに段階的に悪性化して発生することがわかっています。つまり、腺腫は大腸の前がん病変と考えられています。
今回、韓国から、緑茶抽出物と大腸ポリープ(腺腫)との関係を調べたランダム化比較試験が報告されました。
この研究では、大腸内視鏡によってすべての大腸ポリープ(大腸腺腫)を除去した166人の患者を対象としました。
この166人を、緑茶抽出物(1日0.9グラムを12か月間)を投与するグループ(緑茶群、88人)と、投与しないグループ(コントロール群、88人)の2つのグループにランダムに割り付けました。
緑茶抽出物に関しては、新鮮な緑茶の葉から抽出物を作成し、錠剤としました。1錠でおよそ日本の湯呑み2杯分(約400 cc)に相当するカテキンを含んでおり、緑茶群では、この錠剤を1日2回、2錠ずつ投与しました(つまり、およそ緑茶8杯分のカテキンに相当)。
そして、1年後に再度、大腸内視鏡検査を行い、新たに発生した大腸ポリープ(腺腫)について評価しました。
以下に結果を示します。
これらの結果より、緑茶抽出物は大腸ポリープ(前がん病変である腺腫)の発生を減少させることにより、大腸がんを抑制する可能性があるとしています。
カテキン(エピガロカテキン 3-ガラート)の大腸がんに対する治療効果
カテキンは大腸がんの予防だけではなく、大腸がんに対する抗がん剤治療の効果を高める可能性を示す実験結果が報告されています。
この実験では、カテキンの成分であるエピガロカテキン 3-ガラート(没食子酸エピガロカテキン;EGCG)が、特にがん幹細胞と呼ばれる抗がん剤が効きにくい細胞を攻撃することにより、大腸がんに対する抗がん剤(5-フルオロウラシル;5-FU)治療の効果を高めることを示しています(下図)。
5-FUは大腸がんで一般的に使われている抗がん剤であり、緑茶カテキンをサプリメントとしてとることで、抗がん剤治療の効果が高まる可能性があります。
このように、緑茶のカテキン(特にエピガロカテキン 3-ガラート)は、大腸がんの予防だけでなく、治療にも効果が期待されます。
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