食物繊維は大腸がんの生存率(予後)を改善する:大規模データベース解析より

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がんの予防における食物繊維(dietary fiber)の重要性はみなさんご存じだと思います。

たとえば、食物繊維をたくさん摂ると大腸がんの発生率が下がるということは、多くの疫学研究で証明されています。

一方で、食物繊維の摂取が、大腸がん患者(サバイバー)の生存期間に与える影響についてはよくわかっていません。

今回、アメリカの大規模データベース解析により、大腸がん診断後の食物繊維摂取量と生存率(予後)との関係が報告されました。

やはり食物繊維をたくさん摂るほうが、生存期間が長くなるという結果です。大腸がんのサバイバーにとっては、たとえがんの診断後でも、食生活をあらためるベネフィットがあるようです。

大腸がん診断後の食物繊維の摂取と生存率との関係

Fiber Intake and Survival After Colorectal Cancer Diagnosis. JAMA Oncol. 2017 Nov 2. doi: 10.1001/jamaoncol.2017.3684. [Epub ahead of print]

大腸がん診断後の食物繊維摂取と生存率との関係を明らかにするために、医療従事者が登録されたアメリカの2つの大規模データベース(Nurses’ Health StudyおよびHealth Professionals Follow-up Study)を解析しました。

遠隔転移を認めないステージIからIIIまでの大腸がん患者1575人(平均年齢68.6歳)について、詳細な食事内容のアンケートを行い、食物繊維の全摂取量および摂取原について調査を行いました。アンケート調査は大腸がんの診断後6ヶ月から4年の間に行われました。

この結果と、(他の予後を規定する因子で調節した)大腸がんによる死亡率および全死亡率との関係について統計解析を行いました。

結果を示します。

■ 8年間(中央値)の経過観察期間中に、773人が死亡しており、うち174人が原病死(大腸がんによる死亡)でした。

■ 診断後の食物繊維の摂取量が多いことは、死亡率の低下と関連していました。たとえば1日の食物繊維摂取量が5グラム増加するにつれて、大腸がんによる死亡率が22%低下しており(ハザード比0.78)、全死亡率も14%低下していました(ハザード比0.86)。

■ 診断後に(診断前のレベルより)食物繊維の摂取量を増やした患者では、死亡率が低下しました。1日の食物繊維摂取量を(診断前のレベルより)5グラム増やすにつれて、大腸がんによる死亡率が18%低下しており、全死亡率も14%低下していました。

■ 食物繊維の種類のうち、穀物繊維大腸がんによる死亡率の低下(5グラム毎に33%)および全死亡率の低下(5グラム毎に22%)と関連しており、野菜の繊維全死亡率の低下(5グラム毎に17%)とのみ関連していましたが、果物の繊維は死亡率との関連を認めませんでした。

■ 食物繊維とは別に、全粒粉(未精白の穀物)の摂取大腸がんによる死亡率の低下(20グラム毎に28%)と関連していました。

以上の結果より、大腸がんの診断後に食物繊維(特に穀物繊維)を多くとることは、大腸がんによる死亡および全死亡率を低下させると結論づけています。

また、がんと診断される以前にはあまり食物繊維をとってなかった人でも、診断後に食物繊維を多く摂ることで、死亡率を低下させることができる可能性が示されました。

がん診断後でも食生活をあらためる重要性を示した研究結果であると考えられます。

食物繊維が多い食べ物

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では、どのような食べ物に食物繊維が多く含まれているのでしょうか?

比較的食物繊維の量が多い(100gあたり5g以上)食品を以下に紹介します。

分類 食品名 食物繊維 (可食部100gあたりの含有量)(g)
穀類 ライ麦粉 12.9
オートミール 9.4
ライ麦パン 5.6
野菜 切り干し大根 20.7
グリーンピース 7.7
パセリ 6.8
モロヘイヤ 5.9
ごぼう 5.7
えだまめ 5
きのこ きくらげ(乾) 57.4
干ししいたけ 41
果物 干しがき 14
干しいちじく 10.9
干しプルーン 7.2
アボガド 5.3
豆類 いんげん豆(乾) 19.3
ささげ(乾) 18.4
あずき(乾) 17.8
えんどう(乾) 17.4
大豆(乾) 17.1
きなこ 16.9
あずき こしあん 6.8
挽きわり納豆 5.9
種実類 ごま(いり) 12.6
くり(ゆで) 6.6
海藻類 ひじき(乾) 43.3
焼きのり 36
わかめ(乾) 32.7
昆布(乾) 27.1
飲み物 抹茶(粉) 38.5
ミルクココア 5.5

参考:日本食品標準成分表2010(文部科学省科学技術・学術審議会資源調査分科会報告)

やはり乾物(乾燥きくらげや切り干し大根)豆類、野菜ではごぼうパセリ、モロヘイヤ、果物では(干し)イチジク、(干し)プルーンアボカドなどに多く含まれています。

穀物ではオートミールやライ麦パンなどに食物繊維が多いですが、日本人にはあまりなじみがありませんね。

いずれにしても今回の研究結果では、食物繊維を診断前のレベルよりも5g増やすごとに大腸がんによる死亡リスクをおよそ20%近く低下させることができるということです。

まずは1日5g多く食物繊維を摂取するようにがんばりましょう!

 


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