がんの治療をうける人にお勧めの本(その2):免疫・代替補完・緩和医療編

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前回に引き続き、(治療別)がん患者さんにお勧めの本を紹介します。

今回は、免疫療法代替補完療法(統合医療)、そして緩和医療についてです。

がん患者さんにおすすめの本

1.免疫療法をうける患者さんへ

これで分かる!「がん免疫」の真実

福岡がん総合クリニックの院長、森崎 隆先生による、がん免疫治療の本です。

森崎先生はもともと外科医(九州大学 臨床・腫瘍外科出身)で、私の大先輩にあたる人です。

大学でずっと腫瘍免疫(がんの免疫)の研究を続けてこられました。現在は開業され、福岡で免疫治療など、がんの最先端の治療を行っています。

本書では、いろいろな免疫療法について、その歴史や基本的なメカニズムについて、非常に分かりやすく解説しています

免疫療法について理解するには、これ1冊で十分といえます。

免疫革命がんが消える日

免疫チェックポイント阻害剤「オプジーボ」について、日本経済新聞社の専門記者がまとめた本です。

その開発秘話から実際の臨床現場での治療成績、薬価の問題まで、幅広い話題をとりあげています。

「免疫チェックポイント阻害剤」による治療を知りたい人にお勧めします。

2.代替補完療法(統合医療)をうける患者さんへ

がんに効く生活

なんといっても、がん統合医療のバイブルはこの本でしょう。

自らがん(脳腫瘍)を克服した精神科医であるダヴィド・S・シュレベール医師が、食事、心のケア、運動など「抗がん体質」を身につける生き方を紹介した本です。

多くの研究論文やエビデンスを引用しており、信頼できるセルフケアの方法を解説しています。

内容が多岐にわたりページ数が多いのですが、いつも手元に置いて少しずつ読んでもらいたい一冊です。

がんに効く最強の統合医療

標準治療では、もうできる治療法がないと言われた・・・。あるいは、標準治療に加えて代替補完療法を考えているがん患者さんにお勧めの本です。

漢方、針灸、栄養療法、サプリメントなどの代替補完療法について、各分野の専門家が解説しています。

また、現在、日本で受けることのできるがんの最新治療法(血管内治療、ラジオ波焼灼療法、KM-CART、粒子線治療、ガンマナイフ、サイバーナイフ、ハイパーサーミア、腹腔内投与療法など)を紹介しています(問い合わせ用の連絡先まで書かれています)。

補完代替医療(統合医療)について具体的な方法を知りたい人におすすめします。

3.緩和医療をうける患者さんへ

国立がん研究センターのこころと苦痛の本

国立がん研究センターによる、がん患者さんのこころの苦しさ、痛み、吐き気、呼吸困難感などに対する緩和ケアについての解説本です。

どこで緩和ケアをうけられるのか?、誰に相談したらよいのか?いやな症状の対処法は?といった患者さんや家族がいだく疑問に対して、実際の症例も交えて分かりやすく答えています。

がんとともに、自分らしく生きる

虎ノ門病院の腫瘍内科医である高野利実先生の「がんとともに生きる」ための本です。

緩和医療は「絶望」ではなく、「いつでもそこにある希望」の医療であるとしています。

高野先生は、理想のがん治療について「HBM(人間にもとづく医療)」という考え方を紹介しています。つまり、EBMがエビデンスに基づいて、「最大多数の最大幸福」をめざすのに対して、HBMは「人間」に基づいて、「一人ひとりの、その人なりの幸せ」をめざす医療であるとしています。

患者さん自身がHBMを実践するための15箇条を挙げています。

1.医療は自分のものであると心得る
2.生老病死ときちんと向き合う
3.自分の想い、価値観や大事にしていることを医療者や家族に伝える
4.治療目標を明確にし、医療者や家族とも共有する
5.イメージに惑わされず、うまく情報の波に乗る
6.最低限のエビデンスとEBMのルールを知る
7.リスクとベネフィットのバランスを考える
8.自分にとってプラスとなる治療を受け、マイナスになる治療は受けない
9.医学の進歩と限界を知る
10.緩和ケアを積極的に活用する
11.医療者や家族とよく語り合う
12.しんどいときは、まわりに頼る
13.がんとうまく長くつきあう
14.希望を持って生きる
15.自分なりの幸せをめざす

たとえ進行がんであっても、「患者さん自身が主体となって、患者さん自身の想いに基づいて、患者さん自身が幸せを感じられるような医療」を目指しましょう。

以上、「がんの治療をうける人にお勧めの本(その2):免疫・代替補完・緩和医療編」でした。

手術・抗がん剤・放射線治療編は、こちらをどうぞ↓


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