がん克服のために!高額なサプリメントなしで抗がん免疫力を高める方法(1)森林浴
がん患者さんでは、免疫力が低下していることが多くの研究結果から明らかとなっています。特に、術後や抗がん剤治療中には免疫力が低下することが分っています。
がんの克服には、免疫力の維持・向上が必要不可欠です。強力な免疫力なくしてがんの自然治癒、完全寛解は期待できません。
では、どうしたら免疫力を高めることができるのでしょうか?
今回は、高額なサプリメントに頼らずに自分でできる免疫力アップの方法として、ナチュラルキラー細胞を活性化する森林浴を紹介します。
がんの予防と治療におけるNK細胞の重要性
免疫細胞にも色々ありますが、がんの予防と治療において欠かせない存在がナチュラルキラー細胞(NK細胞)です。
NK細胞は、その名の通りがん細胞を自然に殺す免疫細胞であり、がんの発生・増殖・転移を抑制する免疫監視機構において重要な役割を果たしています。つまりこのNK細胞が、がんの発生や進行を防止し、また治療後の再発を防ぐために第一線でがんばってくれている兵隊なのです。
実はこのNK細胞は、たばこや紫外線などの活性酸素、ストレスや睡眠不足、不規則な生活などで働き(活性)が低下することが分っています。このような状態ではがんになりやすい、あるいはがんの治療がうまくいかない可能性があります。
じっさい、過去の研究から、NK細胞の活性が高い人ほどがんの発症率が低くなることが分かっています。
ではNK細胞のはたらきを高めるためにはどうしたらいいのでしょうか?
研究報告によると、森林浴にNK細胞の活性を高める作用があるとのことです。
医学研究によって明らかとなった森林浴の効果
日本医科大学 衛生学・公衆衛生学 李 卿(り けい)准教授が森林総合研究所と共同で行った有名な森林浴実験を紹介します。彼らは、森林浴が免疫力に与える影響を調べるため、次のような実験を行いました。
都内の大手企業に勤める健常な男性(35~56歳)12名と、都内の大学病院に勤務する健常な女性看護師(25~43歳)13名を対象とし、長野県飯山市、上松町、および信濃町の森林環境内に3日間滞在し、ブナや杉の森林遊歩道を散策してもらい、その前後に血液検査を行ってNK細胞の活性および細胞数を測定したとのことです。
そして以下の結果が得られたとのことです。
一方で、対照実験として行われた緑の少ない都市部への一般旅行では、このようなNK細胞への効果は見られず、NK細胞活性の上昇はなかったとのことです。
以上の実験結果より、李准教授によると、
森林浴では、「がん抗原などを使わずに抗がん免疫機能を高めることが出来、その結果がんになりにくい体作りが可能になると考えられます」
また、「極端に言うと毎月一度の森林浴で、がんに対する予防的な体づくりが期待出来るのです」
さらに、日帰りの森林浴を埼玉県の森林公園で実施し、2泊3日の森林浴と同様の効果があることを確認したことより、「遠出しないで済む身近な森林浴であっても、NK細胞活性の上昇とその持続効果が見られます」
と述べています。
また、森林浴によるこのようなNK細胞活性化のメカニズム(原因)については、森林からのフィトンチッドおよび森林浴によるリラックス効果が関係している可能性があると考えられています。
今後のさらなる研究が期待されます。
森林率とがん死亡率との関係
さらに李准教授によると、「森林が多いところでは、がんの死亡率が低いのではないか?」という仮説に基づき、各都道府県の森林率とがんの標準化死亡率との関連性を調べています。
その結果、各都道府県の森林率との間に有意な逆相関を示し、森林率の高い地域の住人のがんの死亡率は、森林率の低い地域の住民より低いことが判明したとのことです。
したがって、確かに森林はがんによる死亡の減少に寄与していることが示されました。
まとめ
森林浴は、おそらく森林から放出されるフィトンチッドおよび森林浴によるリラックス効果により、NK細胞の数および活性を高めることが明らかとなりました。
森林浴はがんの予防および治療にとって必要な免疫力を高めるとっても手軽な手段であると考えられます。
日本は世界でも有数の森林大国だそうです。国土の67%を森林が占め、先進国ではフィンランドに次いで2番目に森林率が高いとのことです。月一回の日帰り森林浴でも免疫力が高まるとのことですので、今週末あたり森林浴はいかがですか?
参考文献
李 卿. 森がもたらす現代人の健康. 登山医学(Japanese Journal of Mountain Medicine)29: 10-14, 2009
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