がん患者さん必見!外科医が教える、腕のいい理想的な外科医を見抜く方法
がんの手術が成功するためには、第1に経験豊富で腕のいい外科医に巡り会うことが必要条件となります。特に、複雑で難易度の高い手術であれば、なおさら外科医の経験や技能によって術後合併症や再発率に差がでる可能性があります。
では、どうやったら腕のいい外科医を見抜くことができるのでしょうか?
今回は、外科医の私が「手術を受けるのならこんな医師に執刀(しっとう)して欲しい」と思えるような理想の外科医を見抜くポイントを紹介します。
どんな外科医が理想的か?
まずは私の考える理想的な外科医像について述べたいと思います。
1.手術の経験が豊富
まず、ある程度の手術例数をこなしている必要があります。
このためには、手術をたくさん行っている比較的大きな病院に勤めている(あるいは過去に勤めていた)ことが前提となります。一般的に地方の小さな病院よりも、都会の大きな病院や大学病院の方が症例数が多く、おのずと経験できる手術例数も多くなります。
また、医師としての経験年数が長く(少なくとも大学卒業後10年以上)、また肩書きが管理職(一般病院なら外科副部長、大学病院なら講師)以上の外科医のほうが手術例数が多いでしょう。病院のホームページなどで卒業年度、肩書きを調べてみましょう。
ただし、高齢過ぎても細かい作業ができなくなっていたり、また外科部長や教授が一番手術が上手いとも限りませんので、この辺の判断も難しいところです。
また、専門医(例えば外科専門医など)や技術認定医であるからといって必ずしも腕がいい訳ではありませんが、ある程度の手術例数をこなしている証拠となります。
2.自分の腕を過信せず、慎重である
手術の説明の際に、いいことばかりでなく、悪いこと(手術の危険性や合併症・後遺症)についてもしっかりと説明してくれる外科医が信頼できる外科医です。医療は不確実であり、何が起るかわかりません。どれだけ腕のいい外科医が手術をしても合併症をゼロにすることは不可能です。
手術には常に謙虚な姿勢で望む必要がありますが、自分の腕を自慢したり、「絶対大丈夫」などと言う外科医は自信過剰で慎重さを欠くため、思わぬミスを招く可能性があります。
3.落ち着いていてイライラしていない
手術は時に長丁場です。細かい作業の連続で、集中力と穏やかな性格を必要とします。ちょっとしたことでイライラしたり、キレたりする医師は腕のいい外科医とはいえません。
ですので、外来などで診察時に落ち着いているか?忙しそうなときにもイライラしていないか?質問したときに時間をとってきちんと答えてくれるか?などをチェックしましょう。
4.患者さんの全身を見てくれる
当たり前のようですが、しっかりと全身を診察してくれる外科医は腕のいい外科医です。というのも、手術(特に大きな手術)に耐えられるかどうかを判断するのに、検査データだけではなく患者さんの見た目(活気や動作)がとても大事なのです。
例えば、歩行がおぼつかなかったり、極端に筋肉が落ちていたり、顔色が悪いなどのサインがあった場合、術後の合併症が増えたり、がんの再発率が上昇する傾向にあります。腕のいい外科医は診察時に患者さんの動作や全身を観察し、これらのリスクを把握した上で手術にのぞみます。
電子カルテの画面や検査データばかり見て、患者さんをほとんど診ないような外科医は避けた方がよいでしょう。
腕のいい外科医に巡り合うためには?
手術が成功するためには、上であげたような信頼できる腕のいい外科医に巡りあう必要があります。では、そのためには実際どうしたらよいのでしょうか?
誰が執刀医(あるいは手術の最高責任者)かを確認する
まず第1に、どうやって執刀医は決まるのでしょうか?
病院によって異なりますが、基本的には臓器別・専門分野別にチームが分かれており、例えば「XXがんの〇〇の手術ならこの外科医が執刀で、この外科医が助手」という具合におよそ決まっています。
まずは誰が術者になるのかを確認してください。多くの場合、難易度の高い手術は指導的立場の上級医が執刀します。一方、比較的難易度が低い手術では、上級医が責任を持って監督・指導しながら若手の外科医に執刀させることもあります。ただし、若手の外科医では難しいと判断された場合には、指導医が途中から執刀することになります。
執刀予定の主治医(または手術の最高責任者)が経験豊富で信頼できそうな医師であれば問題ないでしょう。
執刀医を変えてもらう
担当となる外科医(執刀予定医)が信用できない(経験不足)、性格的に合わない、十分に説明してくれない、などの不満や不安がある場合には、執刀医の変更を申し出て下さい(もちろん病院によっては無理なところもあると思われますが)。
この際、勇気を持って「できればもっと経験豊富な先生に執刀してもらうことはできますか?」と聞いてください。
例えば、指導的立場の経験豊富な医師が、若手の医師に手術をさせようと計画していても、このように患者に頼まれれば自分で執刀するように変更するといったこともあり得ます。
違う病院を紹介してもらう
通常、専門性の高い複雑な手術の場合、病院で執刀できる医師は決まっています。ですので、その病院での執刀可能な外科医が全員経験不足であったり、信頼できない場合には、他の病院(できればより専門性の高い大きな病院)を紹介してもらう(あるいは直接受診する)ほうがよいでしょう。
また、セカンドオピニオン(この場合、他の病院の外科医に意見を求めることになります)もひとつのオプションです。ちなみに、セカンドオピニオンの結果で手術を受ける病院を変えたいと判断した場合には、改めてその旨を元の病院の主治医に伝え、紹介状(診療情報提供書)を書いてもらう必要があります。
口コミで腕のいい外科医を探す
最後に、雑誌やインターネットに病院ランキングや名医リストなどがありますが、実際にはあまり当てにはなりません。また情報が古いことも多く、すでに現役を退いた医師がリストに載っていることもあります。
むしろ、口コミ(特に医療従事者からの情報)のほうが信頼できるでしょう。ただし、医師と患者さんは性格的に「合う合わない」があります。ある患者さんにとって名医であっても、他の患者さんにとって名医であるかどうかはわかりません。
口コミ情報を鵜呑みにするのではなく、最終的には自分の目で本当に信頼できる外科医かどうかを見極めましょう。
まとめ
がんの手術は命を左右する一大事です。手術を成功させ、がんを克服するためには、もちろん患者さん自身の努力も必要ですが、それに加えて腕のいい外科医が必要です。
妥協せず、あなたの命をあずけるのにふさわしい外科医を選んで下さい。がんの治療では、信じて治療を受けることが最も大切です。
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