脳転移(転移性脳腫瘍)でもあきらめない!10年生存例の解析
脳転移(転移性脳腫瘍)とは、肺がんや乳がんなど、脳以外の部位にできたがんが脳に転移した状態をいいます。
一般的に脳転移が認められた場合、がんの終末像(いわゆる末期の状態)とされ、治癒する可能性はほとんどないと考えられています。
しかし、実際には脳転移についての大規模な調査はなく、その自然史(どのような経過をたどるか)や長期生存の可能性については情報がほとんどありません。
今回、10年以上にわたる長期の追跡調査による脳転移の生存率および予後と関連する因子について報告した論文を紹介します。
脳転移の10年生存者についての解析:治癒は可能である
1973年~2004年までの10年以上の追跡調査が可能である脳転移(転移性脳腫瘍)患者1953人を対象としました。
これらの脳転移の患者について、その臨床学的特徴と予後(生存率)について調べ、さらに予後不良の因子を解析しました。
結果を示します。
以上の結果より、まれではあるが、がんの脳転移を認めた患者でも根治および長期生存の可能性があることが示されました。
単発性の脳転移など予後が期待できる患者には、手術を含めた積極的な治療をすべきであると結論づけています。
日本における脳転移(転移性脳腫瘍)の治療
脳転移の治療は難しく、一般的に予後不良とされています。
しかしながら、がんの進行状況や原発巣(もともとの臓器)の状況、脳転移の状態(部位や個数)、および全身の状態などにより、いろいろな治療法の選択があります。実際に、手術、薬剤、放射線治療などを組み合わせることにより治療成績は向上しているとのことです。
以下に、脳神経外科疾患情報ページを参考に治療法についてまとめてみます。
手術
手術による腫瘍摘出は、一般的に以下の項目をみたす場合に考慮されます。
しかし、手術は患者さんに対する体力的、精神的負担は大きく、その適応については慎重に決定されます。
放射線治療
放射線治療の種類には、脳全体に照射する全脳照射と、腫瘍部のみに一回で多くの放射線を照射する定位放射線照射(ガンマナイフ、サイバーナイフ、ライナックなど)があります。
これまでの臨床試験の結果から、単発の脳転移に対しては手術+全脳照射が世界的に標準治療法となっています。また最近の試験結果から、単発性転移に対しては全脳照射+定位放射線照射の方が治療効果が高いとの報告も出てきています。
定位放射線治療は、大きな身体的侵襲なく、かつ短期間の治療が可能であるため、腫瘍の大きさが3cm以下の小さい病巣で、転移病巣が数個以内の場合、有力な治療法となることがあり、我が国では定位放射線照射が選択されることも多くなっています。
応援よろしくおねがいします!
いつも応援ありがとうございます。 更新のはげみになりますので、「読んでよかった」と思われたら クリックをお願いします_(._.)_!
↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓