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がん患者さんが主治医(担当医師)との関係をよくするための5つのポイント

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がんの治療を受ける場合、主治医(担当医)との信頼関係はもっとも大切なことのひとつです。

なぜならば、がんの治療は患者さんと医師との共同作業であり、お互いの信頼関係が欠かせないからです。

じっさいに、がんを克服した患者さんの多くは主治医と良好な人間関係を保っています。

たとえば、私の担当させていただいている患者さんのなかでも、進行がんを克服した人はみな医師とのつきあい方が上手だと感じます。

では、どうしたら主治医と上手につきあい、信頼関係を築くことができるのでしょうか?

今回は、がん患者さんが、主治医との人間関係をよくするためのポイントを5つ紹介します。

1.できるだけコミュニケーションをとる

まず、会話を通じてできるだけコミュニケーションをとることです。このためには、医師から一方的に話を聞くのではなく、自分から積極的に会話のキャッチボールに参加することです。

気になることや自分の希望はしっかりと伝え、わからないことは遠慮せずに質問しましょう。

うまく質問できない場合には、事前にメモなどに質問する内容を書いておき、診察のときに持参しましょう。

また、これはどんな人とのコミュニケーションでも大切なことですが、大きな声であいさつすること、できるだけ相手の目をみて話すこと、そして感謝の気持ちを伝えることを忘れないようにしましょう。

2.自分でもがんの情報を集める

主治医の話を理解し、良好なコミュニケーションを続けるためには、患者さん自身もがんについて調べ、情報を集める必要があります

たとえば、「あなたのがん(部位、ステージ)に対して、ガイドラインですすめられている標準治療は何か?」といった基本的なことについては知っておく必要があります。

がんについての知識が全く無いまま主治医の話を聞いても、よく理解できず、コミュニケーションエラーがおこる可能性があります。

がんについての情報はインターネットでも調べることができますが、正しくない情報や高額なサプリメントや民間療法をすすめる広告サイトもあり、注意が必要です。

インターネットからがんについての情報を入手する際の注意点を挙げておきます。

  1. まずは公的な機関(国機関や大手の製薬会社など)が運営している、信頼できるサイトを見つける(本章の末尾に紹介しています)
  2. 同じ情報を集める場合も、できるだけ多くのサイトで入手して比較する
  3. 極端な表現を使ったサイトの情報に振り回されないように注意する(「この治療法、食べ物、サプリメントで末期がんが消えた」など)
  4. 情報の出典やしっかりとした医学的根拠があるかどうかを確認する
  5. 入手した情報を試す場合には自分だけで判断せず、家族や主治医と相談する

3.医師まかせにしない

治療法の選択や中止などの重大な決定のさい、いまだに「先生におまかせします」という患者さんがいらっしゃいます。

これは、一見すると医師を信頼しているようですが、実際には自分では責任を負わないという意味にもとれます。これでは、医師側のモチベーションもあがりません。

患者さんと医師は対等なパートナーです。がんの治療では、どちらか一方が頑張るものではありません。ともに責任をもち、二人三脚で治療にのぞむ必要があります。

最終的な治療の決定は、患者さん自身が行ってください

そして、医師に丸投げするのではなく、患者さん自身が積極的に治療にかかわる姿勢をみせることが大切です

 

関連記事:がんの治療法は受け身でなく自分で決めましょう!奇跡を起こす「自己治癒力」

4.医師の職場事情を理解する

一般的に、医師の外来は忙しいものです。とくに患者さんが多い病院では、たとえば午前中に30人~50人もの患者さんを診ないといけないこともあります。

この場合、ひとりの患者さんに当てられる時間がどうしても限られてきます。

大学病院などでは、「3時間待ち3分診療」と揶揄されるように、とくに再診の患者さんでは診察時間が3~5分ということも普通です。

われわれ医師も、できれば患者さんとゆっくり日常生活のことや世間話をしたいのですが、なかなかそうもいかないのです。

患者さんには、このような医師の事情を理解して頂きたいと思います。

(医師が忙しそうだと感じたら)あまりにも長い話や、延々とつづく質問攻めはできれば避けてください。

事前に伝えたい情報と知りたいことを明確にしておくと、短い外来の時間でもしっかりとコミュニケーションがとれます

5.主治医に好意を示す

「奇跡的治癒とはなにか」の著者である外科医のバーニー・シーゲル博士は、病気から奇跡的に生還する患者になるためには、主治医に対して愛情を持つことが大事で、「医師を抱きしめなさい」と忠告しています。

主治医を抱きしめることは大げさですが、患者さんも医師に対してできるかぎり好意を示し、「先生を信頼しています」と伝えることが大事です

医師も人間です。差別するつもりはありませんが、自分に対して不信感を抱く患者さんよりも、信頼を寄せる患者さんのほうが、一緒にがんばっていこうと思うものです。

「このまま死んでる場合じゃない!」の著者で、全身に再発した子宮頸がんを様々な治療によって克服した善本考香さんは、医師との関係について次の様に述べています。

がんが再発した場合、一般的には医師は「もう助からない」「全身抗がん剤治療しかありません」とあきらめてしまい、「標準治療」以外の積極的な治療をすすめることはありません。

しかし、この「再発・転移したらもう治らない」という常識を覆すためには、主治医の心に残るような患者となり、「この人を死なせたくない」「助けてあげたい」と思わせることが必要です

そして、主治医とこのような「医師と患者」を超えた人間関係を築くためには、「主治医の人間的な良さを見つけて、好きになること」が大切であるとしています。

まとめ

がん患者さんが、主治医と良好な人間関係を築く上で重要なポイントを5つ解説しました。

1.できるだけコミュニケーションをとる

2.自分でもがんの情報を集める

3.医師まかせにしない

4.医師の職場事情を理解する

5.主治医に好意を示す

以上です。

主治医とよい関係を保ち、二人三脚でがんを克服しましょう。

追記

医師とのコミュニケーション力を高めるためにとても参考になる本を紹介します。

 

  • この記事を書いた人

佐藤 典宏

医師(産業医科大学 第1外科 講師)、医学博士。消化器外科医として診療のかたわら癌の基礎的な研究もしています。 標準治療だけでなく、代替医療や最新のがん情報についてエビデンスをまじえて紹介します。がん患者さんやご家族のかたに少しでもお役に立てれば幸いです。

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