コーヒーは大腸がんの再発を予防し、死亡率を低下:海外からの2つの研究結果より
がんの手術後の患者さんに、「コーヒーは飲んでいいですか?」と聞かれることがあります。
術後の生活指導のパンフレットなどには、「コーヒーなどの刺激物は控えるように」と書かれているものもあります。また、「なるべく飲まないよう」指導している医師もいるようです。
私は、自分自身がコーヒーを好きなこともあり、患者さんにも「空腹時を避ければ飲んでいいですよ」とお答えしています。
以前より、コーヒーに含まれるポリフェノールは生活習慣病やがんを防ぐといわれており、じっさいに、肝臓がんに対する予防効果があることが日本から報告されています。
では、がんの手術後のコーヒーはどうなのでしょうか?
今回、コーヒーが大腸がんの再発を防ぎ、死亡率を低下させる(予後を改善する)という最近の2つの研究結果を紹介します。
大腸がん患者におけるコーヒー摂取、再発、および死亡率との関係
研究1
【対象と方法】
米国における、大腸がん(ステージIII)患者に対する術後補助化学療法(抗がん剤)についての臨床試験(CALGB 89803試験)に登録された患者のうち、食事内容や生活習慣などのアンケート調査に解答した953人が対象となりました。
術後抗がん剤治療中および6ヶ月後に、カフェイン入りコーヒー(caffeinated coffee)、カフェインなしコーヒー(decaffeinated coffee)、およびハーブティー以外のお茶(nonherbal tea)の摂取量について、詳細なアンケート調査を行いました。
これらの結果と、がんの再発および死亡率との関係についてCox比例ハザードモデルを用いて解析しました。
【結果】
【結論】
以上の結果より、ステージIIIの大腸がん患者において、コーヒーの摂取(1日4杯以上、とくにカフェイン入りのコーヒー)は、再発および死亡リスクを低下させることが証明されました。
研究2
【対象と方法】
米国における、医療従事者を対象とした大規模なデータベースのうち、ステージ1、2、または3の大腸がん患者1599人を対象としました。
大腸がんの診断後(6ヶ月以上、4年未満)のコーヒー摂取について、アンケート調査を行いました。
追跡調査を行い、大腸がんによる死亡およびすべての原因による死亡との関係を解析しました。
【結果】
【結論】
以上の結果より、大腸がん(ステージ1~3)患者において、コーヒーの摂取は、大腸がんによる死亡およびすべての死亡リスクを低下させることが証明されました。
まとめ
コーヒーが、大腸がんの再発を低下させる直接的なメカニズムについては、まだ解明されていません。
しかし、コーヒーに含まれるクロロゲン酸などのポリフェノールの抗酸化作用や抗炎症作用、血糖値の上昇を抑制する効果(糖尿病を予防する作用)などが関与していると考えられます。
今後さらなる研究が必要ですが、コーヒーは大腸がん患者さんにとって、制限する必要はなく、むしろ再発予防のためすすんで摂取すべき飲み物であるようです。
ただし、ご存じのようにコーヒーは刺激性が強く、胃酸の分泌を促進させる作用があるため、空腹時に飲むと胃を荒らすことにつながります。
また、夕方以降に飲むと、カフェインの覚醒作用で眠れなくなることもあります。
ですので、午前中から午後3時ごろまでに、空腹時をさけてコーヒーを楽しみましょう!
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