みなさんは、なにか持病(慢性疾患)をお持ちですか?
以前から、ある種の慢性の病気があると、がんにかかりやすいことがわかっていました。
たとえば、糖尿病の患者では、がんによる死亡率が25%高くなるという報告や、高血圧があるとがんによる死亡率が20%程度上昇するといった報告があります。
そもそも、がんと他の慢性疾患は、加齢や不健康な生活習慣(喫煙、不健康な食生活、活動性の低下、肥満、アルコールの過剰摂取)といった共通のリスク因子を持っています。したがって、慢性疾患がある人は、がんにもかかりやすいことは容易に想像できます。
しかしながら、これまでに慢性疾患ががんの危険因子であるという認識は少なく、がん予防の観点からも注目されてきませんでした。
ところが最近、様々な慢性疾患とがんの関係について、衝撃的な研究結果が発表されました。
今回、慢性疾患ががんの重要なリスク因子になるという大規模な前向きコホート研究の結果を紹介します。
慢性疾患および検査値(マーカー)異常とがんのリスクとの関係
【対象と方法】
BMJというイギリスの一流医学雑誌に報告されたその研究は、台湾における40万人以上を対象とした前向き試験です。
この集団において、心血管系疾患、糖尿病、慢性腎臓病、肺疾患、痛風性関節炎などの慢性疾患(およびその検査値異常)を持っているかどうかを評価しました。
平均8.7年間追跡調査し、これらの慢性疾患とがんの罹患率および死亡率との関係について解析しました。
【結果】
慢性疾患・検査値異常 |
がん罹患率の増加 |
がん死亡率の増加 |
血圧 |
なし |
21% |
総コレステロール値 |
7~44% |
15~64% |
心拍数 |
9% |
12~35% |
糖尿病 |
10% |
42% |
タンパク尿(慢性腎疾患) |
12~21% |
35~70% |
糸球体濾過率(慢性腎疾患) |
11% |
22% |
肺疾患 |
なし |
15% |
尿酸値(痛風性関節炎) |
15% |
22% |
全体 |
7~44% |
12~70% |
【結論】
これらの結果より、慢性疾患は、がん罹患および死亡率の重要なリスク因子であり、がん罹患者の5人に1人、がん死亡者の3人に1人以上に影響を与えていることが証明されました。
一般的に、がんのリスク因子として、喫煙、活動性の低さ、野菜・果物摂取量の低さ、過剰なアルコール摂取、肥満の5つが有名ですが、今回の研究結果から、慢性疾患によるがんリスクが、5つの主要な生活習慣にかかわる因子すべてを合せたリスクと同じくらい重要であるという結果でした。
まとめ
これまでのがん予防において、慢性疾患はターゲットになっていませんでした。しかしながら、慢性疾患を予防または治療することで、がんの罹患率および死亡率を低下させることが可能であると考えられます。
ただし問題もあります。慢性疾患は、とくに初期には自覚症状がほとんどないため、治療を受けずに放置している人が結構います。実際に、会社の健診などで高血圧や高コレステロール血症を指摘されても、そのままにしている人が多いのではないでしょうか?
しかし、慢性疾患が悪化し、後々のがんのリスクが高くなることを考えると、指摘された時点で治療を開始すべきであると思います。
がんで死なないためにも、持病をしっかりと治療(コントロール)しましょう。
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