医師ががん患者さん(がんサバイバー)に旅行をすすめる理由5つ
外来で、がん患者さんからよく聞かれることのひとつに、「旅行に行っても大丈夫ですか?」という質問があります。
多くのがん患者さんは、「何か起こったら心配だから」という理由で旅行に行くことに消極的です。特に手術を受けて間もない患者さんや、抗がん剤治療中の患者さんは、旅行なんて無理だと思い込んでいるようです。
このような質問をすると、「危ないからやめた方がいい」という医師もいるでしょう。なぜなら、何か起こった場合に責任取れませんから。しかし、私はあえて「もちろんいいですよ。楽しんできてください!」とお答えしています。
これは別に無責任に答えているわけではなく、旅行にいくメリットがあると考えているからです。
がん患者さん(あるいはがんサバイバー)に旅行をすすめる理由を5つあげてみます。
がん患者さんにとっての旅行のメリット
1.ストレスが減る(がんのことを忘れる)
旅行の一番のメリットは、現実からはなれ、いつもと違った風景をみることにあります。
日々のがん闘病生活をすこしでも忘れることができ、ストレスから解放されます。これによって、がんに対する免疫力が高まることでしょう。とくに森林など自然とふれあうことで免疫細胞が活性化されることがわかっています。
2.食欲がでて栄養状態がよくなる
旅の楽しみはなんといっても美味しい食事でしょう。がん患者さんの中には食欲がない人もいらっしゃいますが、旅行での食事がきっかけで食欲がもどったり、栄養状態が改善することも期待できます。ただ、食べ過ぎには注意しましょう!
3.適度な運動になる
がん患者さんにとって適度な運動はとても重要です(くわしくは、がん患者さんへ!運動のすすめ)。
旅行に行くと、移動などで多かれ少なかれ自分で歩かなくてはいけません。これが結構いい運動になります。いつもはあまり歩かない人でも、旅行では知らず知らずに結構歩いていることがあります。
ただ、山登りや長距離のトレイルなどは、体力に自信のない方にはおすすめできません。ご自分のいつもの行動範囲より少し移動距離が長い程度の旅行を計画しましょう。
4.家族(あるいは友人)との絆が深まる
いつもがん治療のサポートをしてくれている家族とのコミュニケーションがとれ、絆がさらに深まります。いつもは伝えられない感謝の気持ちも、旅行中には伝えることができるかも知れません。
また友人とのつきあいも大事です。がんになったからといって引きこもってばかりいないで、ちょっとした旅行で友人との親睦を深めましょう。人付き合いをあきらめないでください。
5.次の旅行を計画することで、生きる目的ができる
また旅行に行きたい。今度は違うところに行きたい。といった次の旅行の目標や計画をたてることで、生きる目的ができ、がん治療でもっとも大切な「自分で治す自己治癒力」が生まれます。
「来年も絶対に旅行に行く、だからそれまでは絶対に生きている」という強い信念が大切です。
がん患者さんが旅行に行くときの注意点
ただし、がん患者さんが旅行に行く際には以下のことにご注意ください。
- ひとりでは行かない。
- ハードな旅程(日程)は組まない。
- 薬を忘れない(お薬手帳と保険証も)。
- かかりつけ医(主治医)の連絡先を準備しておく。
- 念のため旅行先の救急病院を調べておく。
- 調子が悪いときは早めに引き返す。
- 抗がん剤治療中の患者さんは主治医に確認する(とくに白血球(好中球)減少などの副作用がある場合)。
以上です。
今まで、たくさんのがん患者さんが旅行に行くのを後押してきましたが、みなさん「楽しかった」、「美味しかった」、「思い切って行ってよかったです」と喜んで帰ってこられます。その後の治療にもいい影響がでていると感じます。
ですので、私はがん患者さんには旅行をオススメしています。
最初は日帰り旅行からはじめるのがいいでしょう。慣れてきたら、1泊2日温泉旅行といったぐあいに、徐々にグレードアップしていきましょう!
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