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ステージ4は手遅れなのか?生存率だけでは分らないがんサバイバーになれる可能性

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有名人が「ステージ4のがん」であることを告白することがあります。最近では、小林麻央さんが自身のブログの中で、ステージ4の乳がん(肺や骨などに転移あり)であることを告白しました。

よく「ステージ4=末期がん」と考えている方がいますが、正確にはちがいます。なかにはステージ4から生還し、がんサバイバーとなった人や、がんを持ちながらも5年、10年と生きる人もいます。

ステージ4は決して「手遅れ」ではないのです。

がんのステージ4とは?

一般的に、がんの進行具合はステージで分類します。日本の学会などが定めている癌取扱い規約(がん診断・治療のルール)によると、ステージ1(または0)が最も早期がんで、がんが進行するにつれてステージがあがります。ステージ4はがんが最も進行した段階のことです。

ステージ4は、一般的には「がんが他の臓器に転移している」状態です。しかし、実際にはステージ4の定義はがんの種類によって違います。

例えば胃がんのステージ4はがんが腹膜や遠くの臓器(肝臓や肺など)に転移している状態です。一方、膵臓がんでは転移がなくても、がんが近くの大きな血管や臓器に及ぶ場合もステージ4(正確にはステージ4a)となります。つまり、同じステージ4でも、がんの種類によってその状態は異なっているのです。

また、転移に関しては、ある臓器の1か所に小さな転移がある場合と、体のあちこちに10か所以上転移がある場合、どちらもステージ4になります。

つまり、ステージ4といえども、がんの種類、転移の状態などによって治療成績(予後)が変わってくる可能性があります。

がんステージ4の生存率

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国立がん研究センターによる調査によると、日本におけるがん全体の10年生存率(治療開始から10年後に生存している人の割合)は58.2%であり、およそ6割の人ががんが治ったということになります。

このうち、ステージ1の10年生存率が86.3%と非常に高いのに対し、ステージ4での10年生存率は12.2%とかなり低くなります。つまり、ステージ4のがん患者さんのうち、およそ9割の方は10年以内に亡くなるということです。

しかし逆に考えると、1割以上の患者さんがステージ4のがんを克服したことになります。つまり、ステージ4だとしても、がんの完全寛解の可能性はあるのです。

また、この生存率は、がんセンターなど限られた施設(全16施設)で治療を受けた患者さんのデータですので、標準的な3大療法(手術、抗がん剤、放射線)以外の治療(たとえば免疫治療、粒子線治療など)を受けた患者さんは含まれていないことが予想されます。

したがって、実際のステージ4のがん患者全体の生存率はこの報告だけでは判断できない可能性もあります。

がんステージ4の治療法

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がんの種類によっても異なりますが、一般的に転移があったり、まわりの臓器へ及ぶステージ4のがんに対しては、薬物治療(抗がん剤治療)が行われます。

ステージ4では基本的に手術による切除は難しくなりますが、がんの種類によっては転移も含めて根治切除が可能な場合もあります。

例えば大腸がんの肝転移や肺転移では、個数と場所によっては切除ができる可能性もあり、たとえステージ4でも手術による根治が期待できるのです(↓)。

さらに最近、新たな全身化学療法の導入によって、ステージ4の胃がんが縮小して切除手術(コンバージョン手術)が可能となり、長期生存が得られる症例が増えつつあります(↓)。

また、分子標的治療薬免疫チェックポイント阻害剤といった新しい薬が次々と開発され、ステージ4のがん患者さんに使うことができるようになってきました。

特に、免疫チェックポイント阻害剤(抗PD-1抗体)オプジーボ(ニボルマブ)は、悪性黒色腫(皮膚がん)非小細胞肺がん、腎細胞がん、ホジキンリンパ腫、および頭頸部がんに対して適応が承認されています(2017年7月時点)。

また、別の抗PD-1抗体薬キイトルーダ(ペブロリズマブ)も悪性黒色腫と非小細胞肺がんに対して承認されていますが、特に非小細胞肺癌に対しては、未治療の患者(ファーストライン)を対象とした第三相臨床試験において、通常の抗がん剤治療をはるかに上まわる治療成績を示しました

これらの薬は、現在、日本において以下のがんで第三相試験(あるいはすでに申請中)が行われており、近い将来承認される可能性があります。
      
● 胃がん                                      ● 乳がん
         
● 小細胞肺がん      
● 肝細胞がん      
● 食道がん        
● 膠芽腫(脳腫瘍)         
● 尿路上皮がん 

今後は、オプジーボやキイトルーダをはじめとした免疫チェックポイント阻害剤の適応がさらに拡大され、1人でも多くのステージ4のがん患者さんに使用可能となることが期待されます。

ステージ4のがんを克服するためには

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まずはがんの広がりについての正確な情報を知り、現時点で受けることのできるすべての治療法について調べましょう。

ステージ4にもいろいろな状態が含まれていることを考えると、一概に「末期がん」とあきらめてしまう必要はありません。

がんの種類や状態によっては手術で切除ができる場合もありますし、分子標的治療薬や免疫チェックポイント阻害剤の適応も拡大し、ステージ4全体の治療成績が向上しています。

そして何より、ステージ4のがんを克服するためには最も大切なことは、あきらめず、「自分は絶対に10%に入る」という強い信念を持ち続け、自然治癒力を最大限に発揮できるようにすることです

最後に、「がんが自然に治る生き方」の著者であるケリー・ターナーは、ステージ4を含めたがんの劇的寛解(radical remission)を示したがんサバイバーのほぼ全員が「がん治療を目指して実行した」という次の9項目を挙げています。

●抜本的に食事を変える

●治療法は自分で決める

●直感に従う

●ハーブとサプリメントの力を借りる

●抑圧された感情を解き放つ

●より前向きに生きる

●周囲の人の支えを受け入れる

●自分の魂と深くつながる

●「どうしても生きたい理由」を持つ

以上です。ぜひ参考にしてください。

 


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  • この記事を書いた人

佐藤 典宏

医師(産業医科大学 第1外科 講師)、医学博士。消化器外科医として診療のかたわら癌の基礎的な研究もしています。 標準治療だけでなく、代替医療や最新のがん情報についてエビデンスをまじえて紹介します。がん患者さんやご家族のかたに少しでもお役に立てれば幸いです。

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