大腸がんでも長生き!エビデンスにもとづいた「免疫力を高める」5つの生活習慣とは?
大腸がん患者は増加の一途をたどっています。
日本における2017年のがん罹患者数予測(男女計)では、大腸がん患者は15万人ちかくまで増えており、胃がんや肺がんをおさえて第1位となっています。
分子標的薬など最近の治療の進歩にもかかわらず、いぜんとして再発・転移のある大腸がんの治療はむずかしく、日本における大腸がんによる死亡者数(予測)は5万人を突破しました。
大腸がんは、他のがんと比べても、運動や食生活といった生活習慣と深く結びついていることが以前よりわかっていました。
しかし、「がんを克服するためにはどのような生活をおくるのがベストか」については、じゅうぶんなエビデンスがありませんでした。
今回、最新の研究データから、がんに対する免疫力を高め、大腸がん患者の生存期間(予後)を改善するための5つの生活習慣について紹介します。
免疫システムを強化して大腸がんの予後を改善する生活習慣について:レビュー論文から
多くの大腸がんは生活習慣病(一部は遺伝性のものがあります)とも言われています。つまり、運動や食事・栄養がとても重要です。
これまでの多くの研究から、大腸がんの生存率を高める生活習慣(身体活動および食事・栄養)が明らかとなってきました。
The potential role of exercise and nutrition in harnessing the immune system to improve colorectal cancer survival. Gastroenterology. 2018 Aug 1. pii: S0016-5085(18)34826-1. doi: 10.1053/j.gastro.2018.07.038. [Epub ahead of print]
このレビュー論文で解説されている「免疫力を高めて大腸がんの生存率を改善する5つのこと」を以下に紹介します。
1.運動(Exercise)をする
大腸がんの生存者における少なくとも4つの大規模なコホート研究の結果によると、診断後に活発に運動をすると、がんの再発、大腸がんによる死亡、または全体の死亡率をそれぞれ50%も改善することが分かりました。
そのメカニズムとして最近注目されているのは、運動による免疫システムの変化です。
たとえば、以下のことが報告されています。
- 運動によって、血液中のがんの免疫監視システムで重要や役割をはたしているナチュラル・キラー細胞(NK細胞)が増加する
- 運動によって、腫瘍内へのTリンパ球の浸潤数が増える
- 運動によって、筋肉からマイオカインのひとつであるインターロイキン6(IL-6)が分泌され、NK細胞を活性化する
- 運動によって、腫瘍内の乳酸濃度が減少する(乳酸は、NK細胞やTリンパ球など免疫細胞のはたらきを弱め、腫瘍の増殖をもたらす)
以上のような免疫システムを介したメカニズムで、運動は大腸がん患者の生存率を改善していると考えられます。
ちなみに必要な運動量の目安としては、1週間に2.5時間程度(1日30分を週に5日間)のウォーキングを目標にしましょう!
2.魚を食べる:海洋性オメガ3脂肪酸(Marine omega-3 fatty acid)
いくつかの研究において、大腸がん診断後に海洋性オメガ3脂肪酸を多く摂取することで、がん再発率、がん死亡率および全死亡率を低下することが示されています。
例えば、1659人の大腸がん患者を対象とした前向き試験(Gut. 2017 Oct;66(10):1790-1796)では、海洋性オメガ3脂肪酸を1日に0.10g未満しか摂取しない患者に比べ、1日に0.30g以上摂取する患者のほうが、およそ40%も大腸がんによる死亡リスクが低下していました。
さらに、診断後に海洋性オメガ3脂肪酸の摂取を(少なくとも0.15g/日以上)増やした患者では、診断後も摂取量を変えなかった(または0.02g/日以下しか変えなかった)患者に比べ、約70%も大腸がんによる死亡リスクが低下していました。
つまり、もともと魚をあまり食べなかった人でも、がん診断後に食べるようにすれば、少しでも長生きできる可能性があります!
海洋性オメガ3脂肪酸をとりましょう!
厚生労働省によると、日本人には1日1g(1000mg)以上のオメガ3脂肪酸の摂取を推奨しています。
海洋性オメガ3脂肪酸は、おもに脂肪が多い魚(たとえば、マグロ、イワシ、サンマ、サバ、カツオ)に含まれています(下図)。ちょっとぜいたくですが、脂ののったマグロのトロがベストですね。
3.ビタミンD(Vitamin D)をとる
ビタミンDは、骨を強くする作用だけではなく、さまざまな遺伝子を調節することで、がんの治療効果を持っていることがわかってきました。
例えば、ビタミンDは、がん細胞の増殖を抑制し、分化やアポトーシスを誘導し、血管新生を阻害し、また炎症をおさえると報告されています。
さらに、ビタミンDには「がんに対する免疫」のはたらきを活性化し、がん治療をサポートする機能があります。
実際に、大腸がんの診断前および診断後の血中ビタミンD(25-hydroxyvitamin D)の濃度が高い人は、低い人に比べて生存期間が長くなることが明らかとなっています。
さらに、転移がある大腸がん患者を対象とした第2相ランダム化比較試験において、高用量ビタミンDのサプリメントは無増悪生存期間(PFS)を有意に延長したと報告されています(http://ascopubs.org/doi/abs/10.1200/JCO.2017.35.15_suppl.3506)。
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4.食物繊維(Fiber)をとる
大腸がん患者の食事内容と死亡リスクとの関係を調査した研究結果では、診断後に食物繊維をより多くとることで、生存期間が長くなることがわかりました。
例えば、1575人の大腸がん患者を対象とした研究によると、1日の食物繊維摂取量が5グラム増加するにつれて、大腸がんによる死亡率が22%低下しており(ハザード比0.78)、全死亡率も14%低下していました(JAMA Oncol. 2018 Jan 1;4(1):71-79)。
また、がんと診断される以前にはあまり食物繊維をとってなかった人でも、診断後に食物繊維を多く摂ることで、死亡率を低下させることが示唆されました。
食物繊維を摂りましょう!
食物繊維は、以下の食品に多く含まれています。
- 穀物:玄米、麦ごはん
- いも類:さつまいも、コンニャク
- 豆類:大豆、煮豆、おから
- 野菜:ゴボウ、レンコン、パセリ、モロヘイヤ
- 果物:(干し)イチジク、(干し)プルーン、アボカド
- 海藻・きのこ類
- 乾物:乾燥きくらげ、切り干し大根
個人的には、筑前煮(がめ煮)が最強の食物繊維フードだと思います!
5.コーヒー(Coffee)を飲む
コーヒーの効果については以前の記事でも紹介しましたが、最近の報告では、コーヒーを多く飲むことで、大腸がんの再発率を低下し、生存期間が延びることが明らかとなりました。
例えばステージ1~3の大腸がん患者1599人を対象とした米国での研究によると、コーヒーを全く飲まない人と比較して、1日に4杯以上コーヒーを飲む人では、大腸がんによる死亡リスクが52%低下しており、すべての原因による死亡リスクが30%低下していました。
コーヒーだけでこれだけの効果が得られるというのは驚きです!
1日4杯はちょっと多すぎるような気もしますが(笑)、機会があれば紅茶ではなく、コーヒーを飲みましょう。
以上です。
まとめ
最近のエビデンスより明らかとなった、「大腸がんの再発を防ぎ、生存率を高めるために、自分でできること(生活習慣)」は、以下の5つでした。
- 運動する
- オメガ3脂肪酸をとる
- ビタミンDをとる
- 食物繊維をとる
- コーヒーを飲む
ぜひ、毎日の生活にとりいれてみてください!!
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