経口分子標的薬パルボシクリブ、進行乳がん治療薬として国内承認申請

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日本における乳がんの年間罹患数は約7.4万人で、女性の部位別罹患数として第一位です。また2014年には乳がんの年間死亡者数は1.3万人を超えました

がんが診断された時にすでに転移がある場合、5年生存率は26.3%と予後は大変厳しい状況です。また、転移・再発乳がんは切除可能な局所再発を除いて治癒は極めて困難であり、化学療法後の10年生存率はわずか5%です

このような状況をふまえ、進行乳がんに対する治療薬が開発され、臨床応用の段階まできました。2016年10月31日、「手術不能又は再発乳癌」の効能・効果で、サイクリン依存性キナーゼ(CDK)4/6阻害薬パルボシクリブの国内における製造販売承認が申請されました。

パルボシクリブは経口分子標的薬であり、米国ではすでに画期的な乳がん治療薬として使用されています。この薬が承認されれば、乳がん患者さんに対する治療の選択肢がさらに広がり、予後の改善に役立つと考えられます。

新規の乳がん治療薬としてパルボシクリブの製造販売承認を申請

ファイザー株式会社は、2016年10月31日、「手術不能又は再発乳癌」の効能・効果で、パルボシクリブの国内における製造販売承認を申請しました。

パルボシクリブは、世界初の経口サイクリン依存性キナーゼ(CDK)4/6阻害薬であり、細胞周期の調節に重要な役割をはたすCDK4および6を選択的に阻害して、細胞周期の進行を停止させることにより、腫瘍の増殖を抑制すると考えられています。

パルボシクリブは、米国ではすでに乳がんに対する治療薬として使用されており、現在の適応症は、「ホルモン受容体(HR)陽性・ヒト上皮増殖因子受容体2(HER2)陰性閉経後進行または転移乳がんに対する初回内分泌療法(レトロゾールとの併用)」および「内分泌療法により疾患が進行したホルモン受容体陽性・ヒト上皮増殖因子受容体2陰性の進行または転移乳がん(閉経の有無を問わない)に対する治療(フルベストラントとの併用)」です。 

閉経後進行乳がんに対するパルボシクリブの臨床試験

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進行乳がん患者におけるパルボシクリブの効果を調査した2つの国際共同第III相試験(PALOMA-2、PALOMA-3)の結果を紹介します。

PALOMA-2試験では、ER+HER-の閉経後進行乳がん666例を対象に、初回内分泌療法としてパルボシクリブとレトロゾール併用を検討しました。

その結果、プラセボ・レトロゾール併用投与群と比較して、パルボシクリブ・レトロゾール併用投与群で有意な無増悪生存期間(PFS)の延長が認められました。PFS中央値はパルボシクリブ・レトロゾール併用投与群24.8ヵ月、プラセボ・レトロゾール併用投与群14.5ヵ月でした。

PALOMA-3試験では、内分泌療法を受け疾患進行を認めたHR+/HER2-進行乳がん(閉経の有無を問わない)521例を対象に、パルボシクリブとフルベストラント併用療法を検討しました。

その結果、プラセボ・フルベストラント併用投与群と比較して、パルボシクリブ・フルベストラント併用投与群において有意な無増悪生存期間(PFS)の延長が認められ、中間解析の結果、試験は有効中止(有効性が明らかなため、早期に試験を中止すること)となりました。PFS中央値はパルボシクリブ・フルベストラント併用投与群9.2ヵ月、プラセボ・フルベストラント併用投与群で3.8ヵ月でした。

 

以下、ファイザー取締役 医薬開発部門長 マリエピエール・ガスティノーより

「進行乳がんの5年生存率は依然として低く、継続的な治療による疾患進行のコントロールがとても重要です。

パルボシクリブは、既存の内分泌療法に比べ、初回内分泌療法との併用では無増悪生存期間(PFS)を約10ヵ月(内分泌療法を受けた患者さんでは約5ヵ月)延長することが第Ⅲ相試験の結果で示されており、本日、日本においてもパルボシクリブを申請したことは、新たな治療選択肢を必要とする進行乳がんと闘う日本の患者さんにとって非常に重要なステップと考えています。

 

このような進行乳がんに対する治療薬では、画期的な効果だと考えられます。一刻も早くパルボシクリブが承認され、進行乳がんの患者さんの治療に使えるようになればいいですね。

 

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