食事療法

がん診断後には何を食べるべきか?食事の質と死亡率との関係

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がんの原因として、食事や運動などの生活習慣が関係していることはご存じだと思います。

一方で、がん診断後の生活習慣(運動や食生活など)についてはあまり重要視されていません。

「がんになった人はどんな生活を送るべきか」については、医師からきちんとした指導はないのが一般的で、また日本ではガイドラインなどもありません。

なかには、「もうがんになったのだから、今さら生活習慣を変えたところでしょうがないだろう」とお考えの人もいるでしょう。

しかし、がんになってからの生活習慣も、実はその後の生存率を決める重要な因子なのです。

例えば、がん診断後に運動をしたり、活動的な生活を送ることで、生存率が改善するという報告があります。

では食生活についてはどうでしょうか?

がん診断後の食べ物は、予後に影響するのでしょうか?

今回は、がんサバイバーにおける食事の質と死亡率との関係についての研究を紹介します。

がんサバイバーにおける食事の質と死亡率との関係:NHANES III

The Association Between Dietary Quality and Overall and Cancer-Specific Mortality Among Cancer SurvivorsNHANES III.  2018 Apr;2(2):pky022. doi: 10.1093/jncics/pky022. Epub 2018 Jun 5.

対象と方法

米国における国民健康・栄養調査(NHANES III)から、1191人のがんと診断された人を対象としました。

健康食事インデックス(HEI: Healthy Eating Index)とよばれる食事内容のスコア(0~100点)が最も高いグループと、最も低いグループの間で、全体(すべての死因)の死亡率と、がんによる死亡率を比較しました。

ちなみに、健康食事インデックス(HEI-2015)では、13項目の食べ物(栄養)の項目について、以下のようにスコアを決定します。

食べ物(栄養) 最大ポイント 最大ポイントの基準 最低ポイントの基準
十分にとるべきもの      
1.すべての果物 5 (1000Kcal中)0.8カップ以上 果物なし
2.皮ごと果実 5 (1000Kcal中)0.4カップ以上 皮ごと果物なし
3.すべての野菜 5 (1000Kcal中)1.1カップ以上 野菜なし
4.緑色野菜と豆 5 (1000Kcal中)0.2カップ以上 緑色野菜と豆なし
5.精白していない穀物 10 (1000Kcal中)1.5カップ以上 精白していない穀物なし
6.乳製品 10 (1000Kcal中)1.3カップ以上 乳製品なし
7.全てのタンパク食品 5 (1000Kcal中)2.5オンス以上 タンパク食品なし
8.魚介と植物性タンパク 5 (1000Kcal中)0.8オンス以上 魚介と植物性タンパクなし
9.脂肪酸 10 (PUFA+MUFA)/SFAが2.5以上 (PUFA+MUFA)/SFAが1.2以下
控えるべきもの      
1.精白した穀物 10 (1000Kcal中)1.8オンス以下 (1000Kcal中)4.3オンス以上
2.食塩 10 (1000Kcal中)1.1グラム以下 (1000Kcal中)2.0グラム以下
3.砂糖 10 総エネルギーの6.5%以下 総エネルギーの26%以上
4.飽和脂肪酸 10 総エネルギーの8%以下 総エネルギーの16%以上

結果

■ およそ17年(中央値)の観察期間中に、607人にがんによる死亡が確認されました。

■ 食事の質が最も高いグループ(トータルのHEIスコアが上位4分の1)では、最も低いグループ(HEIスコアが下位4分の1)と比べ、全ての死因による死亡率が41%低く(ハザード比 = 0.59, 95% confidence interval [CI] = 0.45 to 0.77)、またがんによる死亡率が65%も低い(ハザード比 = 0.35, 95% CI = 0.19 to 0.63)という結果でした。

■ 個々の食事項目に関しては、飽和脂肪酸のスコアが最も高い群でがんの死亡リスクが最も低くなっていました(45%のリスク低下)。

結論

以上の結果より、がん診断後のサバイバーにとって、食事の質はがんによる死亡率(および全ての死因による死亡率)を左右する重要な因子であり、トータルでの食事改善が望ましいとしています。

まとめ

海外におけるがんサバイバーの食事についての詳細な調査より、食事の質が高い人は低い人に比べてがんによる死亡リスクが65%も低下していることが明らかとなりました。

やはり、がんの予防だけでなく、がん診断後にも「何を食べるか」が重要なようです。

健康的な食事として、しっかりと食べるべきものは、フルーツ(とくに皮付き)、野菜(とくに緑黄色野菜と豆)、精白していない穀物、乳製品、タンパク質、魚介類、植物性タンパク質、不飽和脂肪酸です。

逆に、控えめにすべきものは、精白した穀物、食塩、砂糖、飽和脂肪酸です。

これらを参考にして食事メニューを考えたいですね。

  • この記事を書いた人

佐藤 典宏

医師(産業医科大学 第1外科 講師)、医学博士。消化器外科医として診療のかたわら癌の基礎的な研究もしています。 標準治療だけでなく、代替医療や最新のがん情報についてエビデンスをまじえて紹介します。がん患者さんやご家族のかたに少しでもお役に立てれば幸いです。

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