「がんに負けない たった3つの筋トレ」出版のお知らせ
5月25日、「がんに負けない たった3つの筋トレ(マキノ出版)」が出版されました。
この本では、がん患者さんにとって、筋トレがなぜ必要か、また、具体的にはどういった筋トレがおすすめか、といったことをわかりやすく解説しています。
おそらく、がん患者さんに筋トレを推奨する日本初(?)の「がん筋トレ本」だと思います。
すべてのがん患者さんに読んでいただきたい本です。
がんが治るかどうかは「筋肉」で決まる
長年、消化器外科医として1000例をこえるがん患者さんの手術や抗がん剤治療を担当してきました。
そんな私が、はじめて外来を受診された患者さんの「がんが治るかどうか」をどうやって判断するかご存じですか?
じつは、患者さんの「ふくらはぎ」を触らせてもらいます。
不思議なことに、ふくらはぎの筋肉がしっかりとしている患者さんは、手術を無事に乗り越えてがんが治るのです。
一方で、ふくらはぎの筋肉が落ち、細くなっている患者さんは、手術後の合併症も多く、がんが再発して亡くなることが多いのです。
これは、べつに私の感覚や経験だけにもとづいた非科学的な話ではありません。莫大な研究データによって裏付けられた事実なのです。
がん治療の決め手となるのは、じつは患者さん自身の「筋肉」なのです。
筋トレでがん患者の生存率が改善
最近、がん患者・サバイバーにとって「筋トレ」の重要性が広く認められるようになってきました。
実際に、海外では、ガイドラインによって、がん患者さんに筋トレを積極的に勧めるようになっています。
こうした変化が生まれたのも、がん治療における筋トレのエビデンス(科学的根拠)が蓄積されてきたためです。
2014年にアメリカで実施された研究をご紹介しましょう。
2863人のがんと診断されたサバイバー(がん体験者)にアンケートを取り、運動機会などについて調査を行いました。
その結果、筋トレを行っているがん患者は、筋トレをしていない患者に比べ、全生存期間が延長しており、がんを含めた全ての死因による死亡リスクが33%も減少していることがわかりました(下図)。
つまり、筋トレを行っているがん患者さんのほうが長生きできた、という結果が出たのです。
どんな筋トレがおすすめか?
こうした多くのエビデンスを踏まえて、私は、どのステージのがん患者さんにも、筋トレを含んだ運動をお勧めしています。
筋トレというと「ものすごく大変な、キツイ運動」というイメージをお持ちのかたがいらっしゃるかもしれません。
しかし、私は皆さんに、歯を食いしばって重いダンベルを持ち上げろ、あるいは、ボディビルダーのようなトレーニングをしろ、などといいたいわけでありません。
私が提案するのは、今のあなたに可能な、かつ、効果のある3つの筋トレです。いずれもシンプルで、簡単にできるものばかりです。
その3つの筋トレは、
- 腕立て伏せ
- フロントブリッジ(プランク)
- スクワット
です。
本書では、これらの筋トレの方法について、図を交えてやさしく解説しています。
また、これ以外にも、気楽にスキマ時間にできる「ながら筋トレ」の方法も追加しています。
ぜひ、お読みいただき、ご感想をいただければ幸いです。
拝読させていただきました。
わかりやすい上に緻密で情報が多く読み応えがありました。
この手のノウハウ本は読みやすさを求めるためか、情報が薄く買った後に後悔することが多いですが、この本は期待以上でした。
筆者のお人柄を感じさせる慈愛に満ちた内容に感謝します。
これからも、期待させていただきたいです。
この度は拙書をお読みいただきありがとうございます。
また「期待以上」というご感想もうれしく思います。
これからも筋トレや運動の重要性について発信していきたいと思います。