オメガ3脂肪酸は膵臓がん患者の体重を増加させ、カヘキシア(悪液質)の治療に有効
膵臓がんは初期には症状がほとんどないため、多くの場合、進行した状態で診断されます。
病状が進行するにしたがい、膵臓がんの患者は痛み、嘔吐、嘔気、食欲不振、および体重減少に悩まされることになります。
また、60~80%の進行膵臓がん患者は、カヘキシア(悪液質:あくえきしつ)という、代謝障害を伴う重度の骨格筋の萎縮と臓器の機能不全の病態になると報告されています。いわゆるがんによる「激やせ」の状態です。
このカヘキシアは最終的に死亡の原因となるため、この病態を改善する治療が必要とされています。最近、オメガ3ポリ不飽和脂肪酸の摂取が、がん患者の栄養状態を改善し、予後を改善すると報告されてきました。
今回、膵臓がんの患者に対するオメガ3脂肪酸の臨床試験の結果を、総合的に分析した論文が発表されました。
オメガ3脂肪酸とは?
脂質を構成する成分である脂肪酸には飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸があり、化学構造式で炭素原子どうしが一重結合(すなわち飽和結合)しているものを飽和脂肪酸、二重結合(すなわち不飽和結合)しているものを不飽和脂肪酸といいます。
不飽和脂肪酸は、さらに一価不飽和脂肪酸と多価不飽和脂肪酸に分類され、多価不飽和脂肪酸にはオメガ3脂肪酸とオメガ6脂肪酸があります。オメガ(ω)は、炭素-炭素二重結合の最初の部分が脂肪酸のメチル末端から数えて何番目にあるかを示す記号で、3番目にあれば「オメガ3脂肪酸」、6番目にあれば「オメガ6脂肪酸」といいます。
多価不飽和脂肪酸であるオメガ3脂肪酸とオメガ6脂肪酸はヒトの体内での合成ができず、食物などから摂取する必要があるため必須脂肪酸とよばれています。
このうちオメガ3脂肪酸には、αリノレン酸、エイコサペンタエン酸(EPA)、ドコサペンタエン酸(DPA)、ドコサヘキサエン酸(DHA)が含まれます。
これらのオメガ3脂肪酸は、おもにマグロ(脂身)、イワシ、サバ、アジなどの魚、亜麻仁油、エゴマ油、くるみ、大豆に豊富に含まれています。
最近、このオメガ3脂肪酸(特にEPA)に炎症を促進する物質を減少させ、炎症を抑える作用が確認されました。また、同時にがんに対する治療効果も報告されつつあり、実際にがん患者さんの栄養状態改善や治療の効果を調査する臨床試験が行われています。
膵臓がん患者におけるオメガ3脂肪酸の臨床的有用性
中国の研究グループは、これまでに報告された膵臓がん患者を対象としたオメガ3脂肪酸の臨床試験について文献検索を行いました。
採用基準は、①切除不能膵臓がん患者を対象とし、オメガ3脂肪酸と通常の栄養を比較したランダム化比較試験であること、および②10人以上の患者が含まれている試験であることとしました。
その結果、基準を満たす臨床試験が11あり、これらの試験について、体重、生存期間、除脂肪体重、および安静時エネルギー消費量の変化をを総合的に分析しました。
以下に結果を示します。
■オメガ3脂肪酸の摂取によって、体重が有意に増加していた。
■オメガ3脂肪酸の摂取によって、除脂肪体重(lean body mass)が有意に増加していた。
■オメガ3脂肪酸の摂取によって、安静時エネルギー消費量が有意に減少していた。
■オメガ3脂肪酸の摂取によって、生存期間が延長していた(60-130日に対して130-259日)。
以上の結果より、オメガ3脂肪酸は進行膵臓がん患者の体重を増加させ、カヘキシアの改善をもたらすことが明らかとなりました。ただし、生存期間の延長効果に関しては、統計学的な有意差はなさそうですので、注意が必要です。
いずれにしても、膵臓がんの患者さんにとって、オメガ3脂肪酸を積極的に摂取することは有益である可能性が高いことが示されました。
膵臓がんあるいは他のがん患者さんも、カヘキシアを予防するためにオメガ3脂肪酸の摂取をおすすめします。
オメガ3脂肪酸(EPA&DHA)が750mg(厚生労働省が定める、一日あたりに推奨されるオメガ3脂肪酸摂取量の75%)もとれるサプリメントがこちらです!
↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓
オメガ3脂肪酸(EPA&DHA)が750mgもとれるサプリメント
応援よろしくおねがいします!
いつも応援ありがとうございます。 更新のはげみになりますので、「読んでよかった」と思われたら クリックをお願いします_(._.)_!
↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓