抗がん剤の副作用対策:吐き気・嘔吐を抑えるために自分でできる非薬物療法
がんの治療を受けている多くの患者さんが経験する吐き気・嘔吐。
原因が様々なことから、治療することが難しい場合もあります。
特に、抗がん剤治療中の吐き気・嘔吐は睡眠や食事など日常生活に悪影響をおよぼし、生活の質を低下し、治療への前向きな気持ちを失わせる原因となります。
もちろん吐き気・嘔吐に対しては、くすり(薬物療法)で治療することが多いのですが、自分でできる対策もあるのです。ここでは、吐き気・嘔吐に対して自宅でできる対策(非薬物療法)を紹介します。
吐き気・嘔吐を軽くする対策・非薬物療法
1.環境を整える
まずは、基本的なことですが、吐き気がひどくならないように、まわりの環境を整えましょう。具体的には、次のことが効果的です。
■ においの強い食事、香水、芳香剤を避ける(においが吐き気を悪くする原因のことが多いため)
■ 吐いた物や汚れた服、シーツなどはすぐに片付ける
■ 換気を良くし、部屋のにおいを減らす
■ 部屋に食べ物などの強いにおいが入ってこないようにする
■ 食事のにおいで吐き気が悪くなる場合、家族との食事の時間や場所を変える。
2.マッサージ
10分間の足のマッサージを3日間続けることで、がん患者さんの吐き気や痛みが軽くなったという研究報告があります。
ご家族の方がマッサージをしてあげるといいですね。
3.指圧
嘔吐・吐き気を軽くするつぼ「内関(ないかん)」を指圧することが有効であったとする報告がいくつかあります。別名をP6あるいはPC6とも呼ばれています。
「内関」の見つけ方は?
手のひらを上に向けた状態にし、手首の付け根のしわの中央から、指をひじに向かって3本分置いたところが「内関」です(上の写真の赤いところ)。
決まった方法はありませんが、指でこのつぼを数回ゆっくりと押さえましょう。
また、何度も押さえるのが面倒な方は、指圧リストバンドなど市販のものを使うのもよいでしょう。
4.TENS(経皮的末梢神経電気刺激)
TENS(経皮的末梢神経電気刺激)とは、皮膚に電極をつけて電気刺激を行う方法です。
TENSにはがん性疼痛を軽くする効果が確認されていますが、吐き気にも効くようです。
指圧と同様に、さきほどの「内関」に電極を設置することで、吐き気・嘔吐が軽くなったという報告があります。
ちなみにTENSの装置は市販されていますので、試してみてもよいでしょう(通常のマッサージ器としても使えます)。
5.しょうが
しょうがが吐き気・嘔吐の軽減に有効であったとする報告があります。
特に3つの外科治療後の患者さんを対象にした試験では、2つの試験でプラセボより有意に嘔気・嘔吐を軽減し、吐き気止めの薬(メトクロプラミド)と同等であったとしています。
しょうがの他の効果についてはこちらの記事でも詳しく取り上げています。
6.イメージ療法
好ましいイメージを連想することで、リラクセーションを得る方法です。
音楽とともに行ってもOKです。例えば、大好きな場所(山や海など)への旅行を連想してみましょう。
7.音楽療法
音楽を聴いてリラクセーションを得る方法です。
もちろん好みの音楽でよいのですが、できればクラシックなどの落ち着く音楽がいいでしょう。
以上が、吐き気・嘔吐を軽くするために自宅でできる非薬物療法です。これらを組み合わせて試してみてください。
参考資料
がん患者の消化器症状の緩和に関するガイドライン2011年版(日本緩和医療学会(編))
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