リンゴや四季柑に含まれるポリフェノール、フロレチンの抗がん作用:最新の研究結果
リンゴなどのフルーツをたくさん食べる人は、がんの発症率が低いことが明らかとなっています。
また、以前の記事で紹介したように、乳がんの再発を防ぐための食べ物のひとつに、リンゴがあります。
リンゴには、がんの予防や治療の手助けをするポリフェノールがたくさん含まれているのですが、とくにフロレチン(phloretin)という成分に注目が集まっています。
過去の研究では、フロレチンはがん細胞の増殖を抑制し、細胞死(アポトーシス)に導くことが報告されていました。
今回、このフロレチンが、乳がん細胞の増殖と遊走能(がんの転移に必要な運動能力)を阻害したという実験結果を紹介します。
リンゴのポリフェノール、フロレチンが乳がん細胞の増殖と遊走を阻害
本研究では、トリプルネガティブ乳がん細胞(MDA-MB-231)を用い、フロレチンの増殖および遊走(細胞の運動能)に対する作用を調べました。
最後に、マウスのがん移植モデルにおいて、フロレチンの抗がん作用を調べました。
結果を示します。
フロレチンは乳がん細胞の増殖を抑制する
フロレチンの治療(150 μM)により、乳がん細胞MDA-MB-231の増殖が抑制されました。一方で、正常の乳管細胞の増殖には影響を与えませんでした(下図)。
フロレチンは乳がん細胞の遊走を阻害する
フロレチンは、濃度依存的に、乳がん細胞MDA-MB-231の遊走を阻害しました(下図)。
フロレチンはマウス乳がんモデルの腫瘍成長を阻害する
マウスを用いた実験により、フロレチン(50mg/Kg)は移植した乳がんの成長を抑制しました(下図)。
フロレチンの抗がんメカニズム:GLUT2経路を介したグルコース取り込み阻害
フロレチンによる抗がんメカニズムを考察します。
フロレチンは、細胞のグルコース取り込みのポンプ作用を持つグルコーストランスポーター(GLUT2)を阻害するはたらきがあるといわれています。
つまり、フロレチンはがん細胞のグルコース取り込みを阻害し、その結果、がん抑制遺伝子p53に依存した細胞周期停止と、遊走分子であるFAK(焦点接着キナーゼ)を介した細胞遊走能の低下をもたらすと考えられます(下図)。
フロレチンを含むフルーツ
フロレチンはポリフェノールの一種で、リンゴやナシに含まれています。
また、シークワーサーと似た柑橘系フルーツの四季柑(しきかん)にも豊富に含まれています。
四季柑(別名:カラマンシー)は、フィリピンなど東南アジアで人気の柑橘類で、フロレチンに加え、クエン酸、ノビレチン、シネフリン、ビタミンC、β-クリプトキサンシン、ヘスペリジン、カルシウムなどの栄養成分を豊富に含んでいることから、健康食品として注目されています。
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