免疫チェックポイント阻害剤ニボルマブ(オプジーボ)が進行胃がんの生存期間を延長

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胃がんは、日本における最も多いがんの一つです。

胃がんの死亡率は年々減少傾向ではありますが、肺がん、大腸がんに続き、がん死亡の第3位(2014年)です。

早期の胃がんの場合には手術で根治(完全に治ること)が望めますが、進行あるいは再発胃がんの治療は未だ困難です。例えば、転移をともなうステージ4の胃がんの場合、10年生存率はわずかに7.5%です。

このような状況を打開すべく、免疫療法を含め、進行胃がんに対するあたらしい治療薬の開発や臨床試験が進んでいます。

このたび小野薬品によると、免疫チェックポイント阻害剤オプジーボが、進行胃がんの生存期間を有意に延長することが臨床試験において示されたとのことです。

免疫チェックポイント阻害剤とは?

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がん治療の新しい流れとして、免疫チェックポイント阻害剤の開発、臨床研究、および実用化が加速しています。

免疫チェックポイント阻害剤とは、免疫細胞に対するブレーキ(免疫チェックポイント)を解除する薬剤で、がんに対する免疫細胞(T細胞)の攻撃を持続的に活性化する作用が期待されます。

現時点(2016年11月現在)では、ヤーボイ(抗CTLA-4抗体)とキイトルーダ(抗PD-1抗体)がメラノーマ(皮膚がん)に、オプジーボ(抗PD-1抗体)がメラノーマ、非小細胞肺がん、および腎細胞がんに承認を受けています

オプジーボは、ホジキンリンパ腫および頭頸部がんについても承認申請をしています。また、食道がん小細胞肺がん肝細胞がん膠芽腫(脳腫瘍)卵巣がん尿路上皮がん悪性胸膜中皮腫胆道がん(胆管がんなど)を対象とした臨床試験を実施中です。

一方、もう一つの抗PD-1抗体であるキイトルーダ(ペムブロリズマブ)も、国内外での臨床試験において、多くのがんに対しての効果が示されつつあります。

例えば、海外から報告された、非小細胞肺がんに対する比較試験(KEYNOTE-024試験)の結果によると、通常の抗がん剤治療よりも、キイトルーダのほうが圧倒的に効果が高いことが示されました(くわしくは、肺がんの治療が変わる?免疫チェックポイント阻害剤による癌免疫療法の驚くべき効果)。

胃がんに対しても、ニボルマブ(オプジーボ)、ペンブロリズマブ(キイトルーダ)による単独治療あるいは他の抗癌剤との併用治療の有効性を調べる臨床試験がいくつか現在進行中です。

切除不能な進行または再発胃がんに対するオプジーボの第III相臨床試験(ONO-4538-12試験)の結果

小野薬品工業株式会社は、2016年11月10日、標準治療が不応または不耐の切除不能な進行または再発胃がん(食道胃接合部がんを含む)患者を対象としたオプジーボ(ヒト型抗ヒトPD-1モノクローナル抗体)の二重盲検無作為化第III相臨床試験(ONO-4538-12試験)の最終解析において、オプジーボ投与群においてプラセボ(ニセ薬)群に対して全生存期間(OS)の有意な延長が示されたとの結果をリリースしました。

詳しい結果については今後、関連学会にて公開されるそうですが、オプジーボは、切除不能な進行または再発胃がんにおいて、全生存期間の延長を世界で初めて示した免疫チェックポイント阻害剤となります。

この結果を受けて、近い将来、進行・再発胃がんの患者さんに対してもオプジーボが治療の選択肢に加わることは確実と考えられます。

また、胃がんに対してはペムブロリズマブ(キイトルーダ)が先駆け審査制度の対象となり、現在第III相試験が行われています。したがって、この結果次第ですが、今後オプジーボとキイトルーダがいつ承認され、胃がん患者さんにどのように使われるかが注目されます。

いずれにしても、免疫チェックポイント阻害剤は、従来の抗がん剤治療が効かない、あるいは使えない進行胃がんの患者さんにとっては新たな希望となる薬であることは確かです。

 


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