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筋トレ後のホエイプロテイン摂取で筋肉量増加:サルコペニア予防に有効な可能性

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がん患者さんにとって、筋肉を維持することはとても大切です

一般的に、年齢とともに筋肉量と筋力は低下していきますが、骨格筋量と筋力・身体機能が異常に低下した状態をサルコペニアと呼びます、

このサルコペニアは、加齢によるものだけでなく、がんなどの疾患にともなって引き起こされることがあります(二次性サルコペニア)。

サルコペニアがあるがん患者さんでは、手術後の合併症が多く死亡率が高い、抗がん剤の副作用がでやすく、さらに長期の予後も悪い(生存期間が短い)ことが報告されています。

したがって、とくにがん患者さんではサルコペニアを防ぐことが重要になりますが、具体的な方法については確立されていません。

私は、筋肉を維持・増加させるため、患者さんにはホエイプロテイン(乳清タンパク質)の摂取をオススメしています。

以前の記事で、ホエイプロテインが、がん患者さんの栄養および免疫力を改善するというエビデンスを紹介しました。

今回、日本から「レジスタンス運動(筋トレ)後のホエイプロテイン摂取が、筋肉量の維持・増加および身体機能の改善に有効である」というランダム化比較試験の結果が報告されました。

筋トレの後にホエイプロテインを飲むことがサルコペニアの予防・改善につながる可能性があります。

レジスタンス運動後のホエイプロテインの摂取が筋肉量および身体機能にあたえる影響:ランダム化比較試験

Effect of whey protein supplementation after resistance exercise on the muscle mass and physical function of healthy older women: A randomized controlled trial. Geriatr Gerontol Int. 2018 Aug 16. doi: 10.1111/ggi.13499. [Epub ahead of print]

【対象と方法】

対象は、65歳から80歳までの健康な日本人の高齢女性81人です。

以下の3つのグループ(それぞれ27人)にランダムに割り付けました。

1.運動+プロテイン群

2.運動のみ群

3.プロテインのみ群

レジスタンス運動(筋トレ)は、週2回、体重負荷(椅子を使ったトレーニング)およびゴムバンドによる運動が行われました。

プロテインのサプリメント(グリコ)は、1回25グラム中、タンパク質22.3gを含み、アミノ酸としてバリン、ロイシン、およびイソロイシンが含まれていました。

また、すべてのグループにおいて、食事から少なくとも1日体重あたり1.2グラムのタンパク質を摂取するように指導しました。

24週間にわたって試験をつづけ、その前後で、体重、筋肉量、筋力(握力)および身体機能(歩行速度)が評価されました。

【結果】

■ 体重の増加率は、運動のみ群、プロテインのみ群に比べ、運動+プロテイン群で有意に高かった
■ 下肢筋肉量の増加率は、運動のみ群、プロテインのみ群に比べ、運動+プロテイン群で有意に高かった
■ 骨格筋量の増加率は、運動のみ群、プロテインのみ群に比べ、運動+プロテイン群で有意に高かった(下図)。

骨格筋量インデックス

■ 握力の増加率は、プロテインのみ群に比べ、運動+プロテイン群で有意に高かった。
■ 歩行速度の増加率は、プロテインのみ群に比べ、運動+プロテイン群で有意に高かった。

【結語】

以上の結果より、レジスタンス運動(筋トレ)後のホエイプロテイン摂取は、筋肉量を維持・増加させ、筋力および身体機能を高め、サルコペニアの予防に有効な可能性があると結論づけています。

まとめ

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今回の臨床研究は、健康な高齢女性を対象としたものであり、がん患者さんにそのまま当てはめることはできません。

しかし、個人的には、サルコペニアの予防や治療に「筋トレ後のホエイプロテイン」が有効である可能性が高いと思います。

すでにプロテインを摂取している方は、自宅での筋トレ(スクワットやダンベル運動)のあとに飲んでみましょう。あるいは、スポーツジムにプロテインを持参し、帰りがけに飲むのがよいでしょう。

具体的な筋トレの方法とおすすめのホエイプロテインについては、こちらの記事で紹介しています↓


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  • この記事を書いた人

佐藤 典宏

医師(産業医科大学 第1外科 講師)、医学博士。消化器外科医として診療のかたわら癌の基礎的な研究もしています。 標準治療だけでなく、代替医療や最新のがん情報についてエビデンスをまじえて紹介します。がん患者さんやご家族のかたに少しでもお役に立てれば幸いです。

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