多くの研究により、ウコンの成分であるクルクミンには強力ながん予防・治療効果があることがわかってきました。
その抗がん作用のメカニズムとして、抗酸化・抗炎症作用、血管新生阻害作用、およびがん細胞の増殖を直接抑制したり、アポトーシス(細胞死)を誘導する作用などが明らかとなっています。
今回これらに加え、クルクミンが癌を抑制する全く新しいメカニズムが報告されました。
大腸がん患者を対象とした最新の研究によると、クルクミンは、がんに対する免疫の働きを回復させることによって、抗がん作用を発揮することが明らかになったのです。
この新たなクルクミンの免疫調節作用について解説します。
クルクミンががんを抑制する作用機序(メカニズム)
これまでの研究によって、クルクミンのがんに対する様々な抗がん作用のメカニズムが明らかとなっています。代表的なものをあげてみます。
このように、クルクミンは様々なメカニズムでがんの治療効果を発揮しているのです。
さて今回発表された報告では、クルクミンが「制御性(せいぎょせい)T細胞」をターゲットにして、がん免疫を調節しているということが分かりました。
一体どういうことでしょうか?まずは、この制御性T細胞について説明します。
制御性T細胞とは?
制御性T細胞(Tregともいいます)とは、Foxp3をマスター遺伝子(その機能に必須となる遺伝子)として免疫を抑制するT細胞(リンパ球)です。要するに免疫が過剰に反応するのをおさえるブレーキ役です。
この制御性T細胞が免疫の暴走をコントロールすることで、免疫が自分を攻撃してしまう病気(自己免疫疾患)を防いでいると考えられています。
一方で、がん患者では、制御性T細胞はがん細胞を攻撃しようとする免疫細胞の邪魔をする悪者となるのです!
多くのがんにおいて制御性T細胞は増加しており、また腫瘍内に入り込んだ制御性T細胞の存在は予後不良因子として報告されています。
治療に関しては、この制御性T細胞は、がん免疫治療の妨げになっています。したがって、制御性T細胞の作用を封じることができれば、免疫細胞のがんへの攻撃力を回復させ、治療効果を高めることが可能になると考えられます。
現在、多くの研究者や製薬企業は、制御性T細胞をターゲットにした新たながん治療法・治療薬を探しています。
クルクミンが大腸がん患者の制御性T細胞を減少させ、Th1細胞を増加させる
研究者らは、大腸がん患者を対象として、クルクミンの投与が、制御性T細胞による免疫抑制システムに与える影響について調査しました。
40人の大腸がん患者(男性20人、女性20人)の手術直後から、クルクミンのカプセルを1日2回(計3g)あるいはプラセボ(偽薬)を1ヶ月間投与するグループに無作為(ランダム)に分けました。
クルクミン(またはプラセボ)の投与前後に採血し、末梢血単核細胞を単離しました。なお、コントロールとして健康な人からも採血しました。
結果を示します。
以上より、クルクミンは大腸がん患者の制御性T細胞を減少させ、Th1細胞を増加させることが示されました。
同様の研究結果が、肺がん患者においても報告されています。
まとめ
今回の研究結果より、クルクミンに、がん免疫のブレーキとなる制御性T細胞を減少させ、一方がん攻撃の司令塔となるTh1細胞を増加させ、がんに対する免疫力を回復させる作用があることが示されました。
これはクルクミンの新しい抗がんメカニズムであり、クルクミンが癌免疫療法の効果を高める可能性もあると考えられます。
クルクミンの抗がんサプリメントとしての有用性がさらに確認された研究報告として重要です。

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