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大腸がんを予防するための生活習慣!早めの夕食、食後の散歩、適度な睡眠時間

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皆さんは、何時頃に夕食を食べ、何時頃に寝ていますか? 夕食後に散歩していますか? また、睡眠時間はどのくらいですか?

要約:大腸がんと生活習慣との関係を調査した論文によると、1.夕食から寝るまでの時間が短い(3時間未満)、2.夕食後に散歩しない、3.長時間の睡眠(9時間以上)の3つの習慣は、大腸がんのリスクを高めることがわかりました。

先日リリースされた国立がん研究センターからの報告によると、2014年に新たにがんと診断された患者数は約86万7千人で、部位別では大腸がんが胃がんを上回り最も多かったとのことです。

これは、若い世代を中心にピロリ菌感染が減り、胃がんの患者が減少しているためことと、大腸がんの患者が増加していることが理由と考えられています。

大腸がんは、一部の遺伝性のものをのぞき、とくに生活習慣の影響を受けるがんであるといわれています。

今回、大腸がんと非常に基本的な生活習慣(夕食後から寝るまでの時間、夕食後の散歩、および睡眠時間)との関係についての研究報告を紹介します。

大腸がんの予防についての研究ではありますが、他のがん予防、あるいはがん患者さんの再発防止にも当てはまると思います。

夕食から寝るまでの時間、夕食後の散歩、および睡眠時間と大腸がんとの関係:ケースコントロール研究

Associations of dinner-to-bed time, post-dinner walk and sleep duration with colorectal cancer: A case-control study. Medicine (Baltimore). 2018 Aug;97(34):e12038. doi: 10.1097/MD.0000000000012038.

中国からのケースコントロール研究です。

対象は、新たに診断された大腸がん患者166人と、年齢・性別をマッチさせた健常者166人の生活習慣について、以下の項目について比較検討しました。

  • 夕食から寝るまでの時間(dinner-to-bed time)
  • 夕食後の散歩(post-dinner walk)
  • 睡眠時間(sleep duration)

これらの項目についてアンケート調査を行い、大腸がんの発症リスクとの関係を調査しました。

結果

結果を示します。

■ 夕食から寝るまでの時間が短い人(2~3時間)では、長い人(4時間以上)に比べて大腸がんの発症リスクが2.5倍に増加していました(P<0.05)。
■ 夕食後に散歩する人は、しない人に比べて大腸がんのリスクが66%減少していました(P<0.05)。
■ 睡眠時間が6~9時間の人に比べ、9時間以上の人は約3.4倍(P<0.05)、6時間未満の人は約2.2倍(有意差なし)大腸がんのリスクが増加していました。

結論

以上の結果より、夕食から寝るまでの時間が短い(3時間未満)こと、夕食後に散歩しないこと、そして9時間以上の長時間睡眠は、大腸がんの発症リスクを高めることが示唆されました。

大腸がんを予防するために:基本的な生活習慣を見直しましょう

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これまでの多くの疫学研究から、大腸がんの危険因子として、赤身の肉や加工肉を多く食べること身体活動の低下過体重肥満喫煙、そしてアルコールの多飲などが報告されてきました。

しかし、今回の研究からは、もっと基本的な生活習慣が重要であるということが示されました。

この結果をふまえ、大腸がんを予防するために以下のように生活習慣を改善するべきであるといえます。

1.なるべく夕食を早めにとる(できればベッドにはいる4時間以上まえ)
2.夕食後に散歩する
3.睡眠時間を6~9時間にする

以上です。とても基本的なことですが、仕事などの関係上、実践するのは難しいですね。

しかし、大腸がんや他の生活習慣に関連したがんの予防には、まずはこのような生活習慣を見直すことをおすすめします。

 

大腸がんの予防に関しては、以下の記事も参考になります。

関連記事:炎症を引き起こす食べ物は免疫力を弱めることで大腸がんリスクを高める:最新の研究報告

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  • この記事を書いた人

佐藤 典宏

医師(産業医科大学 第1外科 講師)、医学博士。消化器外科医として診療のかたわら癌の基礎的な研究もしています。 標準治療だけでなく、代替医療や最新のがん情報についてエビデンスをまじえて紹介します。がん患者さんやご家族のかたに少しでもお役に立てれば幸いです。

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